フェムテック展に見た市場と課題1
◆フェムテックとは
フェムテックとは英語のFemale(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた表現であり、月経、妊娠、更年期といった女性特有の悩みをテクノロジーで解決する、2020年ごろから注目を集めている分野である。
著名なサービスとしては、体温を記録して月経予定日を知らせるアプリや、陣痛記録アプリが以前から国内では知られている。fermata社の調査(※1)によると2020年上期では51社ほどであったフェムテック関連企業が同年下期には97社にまで拡大し、より多くのサービスが展開されるようになった。
◆なぜ今フェムテックなのか
近年フェムテックが注目されるようになった背景としては以下が考えられる。
①女性が社会へ進出し、男性社会へ適応することに伴う『ひずみ』に対応するため
2020年の政府調査によると2019年における女性の就労者数は2992万人と、就業者数が公表されている1985年以降、なだらかではあるが増加の一途をたどっている(※2)。しかしジェンダーギャップ指数でも記憶に新しいように、管理職ポジションに占める女性の割合は2020年でも8.9%(※3)と、国内の労働環境ではいわゆる『男性社会』が根強く、必ずしも女性の就労に適切な制度が整えられていない現状が残る。
②①によるひずみがSNSの台頭で人々に見える化・共有されたため
00年台後半ごろから日本でも浸透したtwitter、FacebookといったSNSでは公の場では言いづらい女性特有の苦労、悩みが投稿され、人気の投稿には多くの『いいね』や、拡散がなされている。悩みが可視化されたことでそれを解決できるような製品・サービス開発に取り組むベンチャー企業が誕生している
③『モノ』が飽和し、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求めるようになったため
やや抽象的な表現となるが、特に先進国では身の回りでモノのに溢れており、車や家といった従来はステータスを示す象徴であったものがコモディティ化し、モノを所有することによる豊かさよりも精神的に充足していることによる豊かさへ目を向ける層が増えたことも挙げられる。
ライター:Kashiwa
化学メーカー勤務。