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心に砂糖を



お願いがあります。ここ最近で、とても嬉しかった、楽しかった、美しかった、面白かった、そんなお話を聞かせてください。こんな時に、あえてSNSに書くこともないか…と心の内に閉まっていたとびきりの(ささやかでも)出来事を、ぜひ聞かせていただきたいです。私が読んで、喜びます……


……とつぶやいたところ、200を超える、嬉しかった、楽しかった、美しかった、面白かった話がどんどん集まってきていて、心がすっかり温まってしまった。

近所の池に泳ぐオタマジャクシに脚が生えていたとか、推しのアーティストに笑顔が戻ったとか、スーパーで買ったバスク風チーズケーキがとても美味しかったとか、芍薬の花に顔をうずめると最高に気持ちいいとか。あぁ、それはたいそう気持ちよかろう……と、想像するだけで頬がこそばゆくなり、香りまでしてくるように感じる。なんだ、他人の不幸は蜜の味だなんて言うけれども、今どこかで生きている誰かの幸せも、しっかり蜜の味がするじゃないか。


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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。