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2019年、買わなくてよかったものと、



2019年。私にとっては、これまでの生活を、仕事を、考え方をすべてひっくり返して、将来に持っていくものと、ここでお別れするものを線引し、静かに爪とぎをしていたような1年でした。


とくに生活、ことさら「なにを買って、なにを買わないのか」に関しては、ていねいな暮らしとかそうした枕詞で飾り立てるようなものではなく、これから地球で生きていくにあたってできるだけ大人数で、確たる意志を持って邁進していくようなものだとも思っています。


消費税増税からクリスマス商戦、年の瀬、新春セールにかけて「買うべきもの」「買ってよかったもの」が洪水のように溢れている世の中。でも本当に必要なものは、これからを生きていくうえで無理のない消費というのは、そんなに沢山ないんじゃないかな。

……ということで。今年さいごのnoteには、私の「買わなくてよかったもの」「それでも、買ってよかったもの」を書いておきたいです。



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買わなくてよかったもの。まずは、ペットボトル飲料。何よりも、美味しいお茶を適温で持ち歩けるという感動体験から、もうすっかりマイボトル派になってしまいました。

それに、これまでは、せっせとペットボトルのラベルをはがして、水で洗ってちゃんとリサイクル!……と心がけていたのですが、いろんな情報に触れていく中で、本当の本当の本当にどれだけリサイクルされているのか? というところまで個人で追いかけることは難しい……と思い始めるようにもなり…。

とはいえ、ペットボトルほど便利なものもそうそうありません。だから飲料メーカーや自治体には、環境負荷の低いペットボトルの研究や、無駄の少ないリサイクルを期待しながら、微力ながら個人で出来る取り組みとして、「入り口で止める」ことを心がけていました。


ペットボトル飲料のPR案件もお断りしたり、トークイベントで沢山配られるペットボトルもお断りしているうちに、周囲に気を使われすぎてしまったところもありますが……。


ただ、「買わない」ということ=「消費の冷え込み」を促進させるのでは? と言われたりもするけれど、美味しい茶葉を買うことにすっかりハマってしまっている身としては、個人的にはむしろ散財しちゃっております……という…。



ちなみに、私のペットボトル消費を減らしてくれたマイボトルはこちらです。

基本的には大満足だけど、ココアとか味の濃い飲み物を入れてしまうと香りがつきやすいので、すぐ洗うもしくは、水やお茶しか入れない……というマイルールで活用中。


茶葉はまだまだディグり中ですが、ストーリーテラーとして美濃加茂茶舗のお手伝いもすることになったので(関係性明示)、そちらも是非。

私のおすすめは煎茶、夫のお気に入りは和紅茶だそうです。日本茶の茶葉で作った紅茶は、渋さが少なくて飲みやすいです。




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次に買わなくてよかったものは、ビニール傘

そもそも、日本のビニール傘って本当にスゴい。安いし、丈夫だし、どこでも売ってるし、企業努力の塊や……と思わされます。アメリカやヨーロッパで生活してみると、あんなにコスパの良い便利なものは売ってないし、30ドルで「とりいそぎ」買った傘が低品質すぎてイライラすることも……。

そこで、天気予報が怪しい日には、折りたたみ傘をちゃんと持ち歩くようになりました(当たり前かもしれませんが、お恥ずかしながら、かつての私には出来なかった……)。その習慣が身についてからは、日本でも折りたたみ傘を持ち歩くようになり、今年は1本もビニール傘を買わなかった!

「あぁ〜…ちゃんと天気予報みないから…」と、100均やコンビニに駆け込んではビニール傘を買っては家に貯めていた2018年に比べて、「ほら、降ってきた!」という瞬間、折りたたみ傘があることの心地良さ。自己肯定感爆上がりですわ……

そもそも、折りたたみ傘って、畳むのが面倒だし、重いし……と思っていたけれど、最近のものは圧倒的に進化しているんですよね……。



※こちら、グリップ部分のボタンを押すとものすごいスピードで傘が閉じるので、お子様やおじいさん、おばあさんが使うのは気をつけたほうが良いかもしれません。


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続きましては、トラベル用の基礎化粧品やシャンプー類

私は肌がとても弱いので、パウチに入った旅行用のものだと突然の肌トラブルに見舞われやすく……。

だからこれまでは、小さなプラスチックボトルに入れて基礎化粧品の類を持ち歩いていたのですが、ああいうものにトリートメントを少しだけ入れると、底の方に固まっちゃって使い切りにくい……。

ということで、今は好きな分量だけ入れられて、グニュグニュと絞り出せて、使ったあとは水洗いできるこちらを使ってます。やや衛生問題とのトレードオフにはなるかもしれませんが、私はシャンプーとコンディショナーはこちらに入れてます。ぶら下げる輪っかがあるのも使いやすい。

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(私はアメリカで買ったのでもう少し安かったのですが、日本で買うとかなり高いですね……)

ただ、究極的に言えば、石鹸ひとつ、シアバターひとつで旅行できるようになりたいなぁ……。



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あとは、いよいよ各地で有料となったレジ袋

有料の紙袋すらないアイルランド生活を経て、エコバックを持ち歩くようになってからは、圧倒的にレジ袋を買わなくなりました。

それぞれ家にあるものを使えば良いと思うのですが、個人的に本当に便利に使っているのはこちらの網目状でビヨーンと延びるもの。

白と黒を持ってますが、おしゃれだし、持ち運びやすいし、洗えるし、本当に良い!

かばんのなかでクシャクシャっとすれば存在感は薄いのに、いざ野菜やお肉を入れ始めると、信じられないくらいに伸びます。あと、肩に掛けられるから、お米や飲み物など重いものを運ぶときに手が痛くならない。

旅行中、スーツケースを置いて、ポーチと財布だけ持ってちょっと出かけるときにも重宝しています。(治安の悪い国だと、財布丸見えは危ないと思いますが…)

難点は、中身がバレバレかつ、紙類や鋭利なものを入れたりすると穴から飛び出てくる点でしょうか。あと乾燥機にかけると縮んでチリヂリになりいきなりダサくなるので、洗濯後は自然乾燥がオススメです。


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そして最後は、1つにまとめられないのだけれど、心の隙間を埋めるように衝動買いしていた嗜好品。前のものが使い終わってないのに買ってしまっていたリップクリームとか、観光の記念になんとなく買っていたお土産品とか、オンラインショッピングで送料無料にするために買っていた本当は必要のないものとか……。

不安を煽る広告に促されて、場の空気に踊らされて、お得だからと焦らされて「なんとなく」買っていたものをピタリと辞めました。

お買い物は大好きだったはずだけど、今は家にあるものを磨いていくことのほうが、ずっと健やかに感じる。そして、長年かけて磨いていきたいものだけを、ちゃんとお金を出して迎え入れるようにしています。


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ちなみに、こうして取捨選択をしていっても、使い捨てコンタクトレンズも使っているし、飛行機にも乗っているし、たまにペットボトルも使ってしまうし、Amazonの梱包材に関してはあぁぁぁ……と自責の念に駆られながらも捨てているし、100%矛盾のない生き方をすることは難しい……。今年PRしていたタンポンの中にはがっつりプラスチックのアプリケーターが入っているし。発言すればするほどに、盛大な矛盾を抱えて生きている……。


そんな上で、自己防衛のような自論にはなってしまいますが、大切なのはたったひとりの100%よりも、うんと大勢の10%なのではないか、とも思っています。だから「みんなで10%」を歩みやすくするための、知恵や知識をシェアしていきたいんです。


そうした知識や知恵を、さまざまな会社やブランドを長年にかけて取材して伝えている素晴らしい本があります。甲斐かおり( @karorirorin )さんの『ほどよい量をつくる』。



"大量生産・大量消費による食品ロスや環境負荷など、その弊害が叫ばれて久しいですが、「ではどうすればちょうどよい量をつくれるのか」に対する明確な回答はありません。
成長のためにはとにかく多くつくって多く売ることが当たり前という風潮のなかで、あえて生産を抑えることへの抵抗もあり、そもそも「ほどよい生産量」を決めることは覚悟が必要です。

そんななか、従来とは違う「つくりすぎない」取り組みをして成長している企業もあります。ほどよい量、ほどよい時間、ほどよい成長……。これまで当たり前だった「大量生産」や「無理な時短」、「急成長」とは異なる「ほどよさ」をどのようにとらえ、実現しているのか。本書では、そのような事例をひもとき、自分のビジネスに活用するためのヒントを提示します。"

──『ほどよい量をつくる』(しごとのわ)


我慢するのではなく、消費を諦めるのでもなく、でも過剰に作りすぎることもない、インターネット時代に最適な形での、サスティナブルな「ほどよい量」のつくりかたを追求している事例がたくさん。先人がこんなにも沢山いらっしゃって、彼らの営みがしっかり続いていることに心強くエンパワメントされ、私にとってもお守りのような1冊になりました。

お正月の読書に、ぜひお勧めしたいです。



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ちなみに、「ペットボトル飲料の広告案件」も「紙の請求書が必須の案件」もすべてお断りしていた今年。

ペットボトル・ルールに関しては、


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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。