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暮らしや営みの中で零れ落ちそうなことを掬い上げたり、心や脳に浮かんだ閃きを忘れないよう書き留めたりする、思考や思想の直売所のようなものです。
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2021年4月の記事一覧

「私にしか出来ない仕事」を欲した私の顛末

会社員時代、私の提案する企画の多くは「それは属人性が高すぎるから……」という理由で度々おじゃんになった。他の社員に引き継げない、中心人物が倒れたら成り立たない、そうした企画は、確かに組織としては強度がもろい。 そうした末に「違う、これからは評価型経済の時代。 属人性こそが価値になる!」と鼻息荒く会社を辞めて、はや6年。その間、私の属人性に付けられた市場価値はにわかには信じられないほど跳ね上がった。2018年頃、評価型経済の始まりだと持て囃されたアプリ「Timebank」では

ジャーナリズムだから。芸術だから。エッセイだから。

怒涛の1週間が終わり、抜け殻のようになっている。 オンラインイベント2本、密を避けた長時間のサイン会、取材に次ぐ取材、あたらしい書籍の相談、記事の炎上、その他おびただしい量の非日常業務を掻き分けつつ、やっと呼吸を取り戻したような月曜日。耳馴染みしてしまった緊急事態宣言に中指を立てるような、うららかな春である。

配慮に配慮を加えて煮込んだ甘口カレー

「ほんま自分、毒舌やんな」 10代の頃から、何度もそう言われてきた。何度も言われてきたのだから、私は割と、筋金入りの毒舌人間なのだろう。 それがスパイスとしてハマれば良いけれど、その毒で相手を傷つけているのであれば、単に嫌な人である。 ましてや私は会話はスポーツだと捉えて生きてきた大阪人。自分が「ツッコミ」だと意気揚々と振りかざしたものが、文化圏の異なる相手にとっては「ご指摘」としてぶっ刺ささり、無意識のうちに深い傷を負わせてしまったことも少なくない。上京後、そんな自分

ポカリスエットの少女たちが、大人になる頃

友人が風邪をひいたらしい。一人暮らしの風邪が辛いことはよく知っているが、家族でも恋人でもない人間からの「看病に行こうか?」は、ちょっと重すぎやしないかと悩ましくなる。「何か出来ることある?」だと、相手は遠慮してしまう気がするし。そんなときにちょうどいいのが「ポカリとか、買っていこか?」 これがちょうどいい。実際に買っていくのはアクエリアスかもしれないし、OS-1かもしれないが、ポカリという商品名はもはや「ちょっとした優しさ」という状態を表す言葉のように、私たちの側に寄り添っ