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暮らしや営みの中で零れ落ちそうなことを掬い上げたり、心や脳に浮かんだ閃きを忘れないよう書き留めたりする、思考や思想の直売所のようなものです。
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2021年3月の記事一覧

桜があまり、得意ではなくて

桜の時期が巡るたび、年々偏屈になっている自分がいるなぁ、と思う。 私は桜が得意ではない。そういう気持ちが、年々明らかに膨らんでいるのだ。いや、もちろん綺麗だなぁとか、春だねぇとか、さまざまな思い出と共に感じるけれども。けど、桜はなんだか愛されすぎていて、自分が今更それを愛でる一人として加勢しなくても良いんじゃない? だなんてことを思ってしまう。 春爛漫の陽気の中、多くの人が外に出て、この時期だけの美しさを写真に残そうとカメラを構える。Instagramもお天気ニュースも桜

机上の空論と、高校生

インターネットの世界で生まれ育った私ですら、やっぱりオンライン一択というのはしんどい。これまでは「あえてインターネットを選ぶ」から楽しかった訳で、電波状況を確認しながら話すテレカンも、オンラインで楽しむエンタティンメントも、それしかないとなると、当たり前にしんどい。目の前に実態がないものを見続けると、身体的な感覚が狂ってくる。そして自分が狂っていることに、渦中ではなかなか気づけない。 同時に、自分の書く文章にも抜け落ちたものを感じてしまう。ステイホームを遵守する人間が書く社

限界だったとき、最後まで手放さなかったもの

山手線恵比寿駅のホームでラップトップを膝に乗せ、クライアントへのメールを打っていた。 7分歩けば会社には戻れるが、7分後では駄目なのだ。iPhoneのテザリングを使ってなんとか企画書をクラウドにアップロードし、定型文の組み合わせでメールを書き終え、⌘+Control+Dを押してメールを送信……あぁ、なんとか間に合った! と手汗を握りながら時間を確認する。社会人2年目の頃の話だ。 上司の加護を離れたばかりの24歳、毎日100本ノックのように打ち込まれてくるタスクをなんとか打