くたばれ以心伝心

就職7年目、31歳。上司も部下もいて、職場内では「中堅若手」として括られるようになった。(中堅若手ってよくわからない定義付けだな…というのは置いておいて)

そうなって感じるようになったのは「どうも噛み合わないな〜〜〜〜」という感覚。一般的には世代間、組織間の「ギャップ」として言い表されるものだと思う。

「若手」のあいだは自分の知識・経験のなさ故に「相手を知る、相手に合わせる」ことに注力していたのでギャップを感じることはほとんどなかった。しかし「中堅」がついたことで、そこを埋めるというタスクが追加されたのだと感じる。

とはいえそのタスク達成はそう簡単な事ではなく、「ギャップがある事をお互いが知る」ことだけでも精一杯である。

というかギャップってそもそも何だろう…と考えたときに至ったのが「コンテクストの差」である。

コンテクスト(Context)は直訳すれば「文脈」「背景」「状況」といった意味になるが、「ハイコンテクスト」「ローコンテクスト」として説明される事が多いと思う。端的に言えば、「ハイコンテクスト=クローズドな環境で前提条件や定義が共通している集団で通用するコミュニケーション(言葉にしなくても伝わる)」、「ローコンテクスト=多種多様な定義・価値観を持つ集団でのコミュニケーション(はっきり言葉にしないと伝わらない)」。

私の会社でも部署間でそれぞれ違うコンテクストがある。加えて、客先とのコンテクストも、相手がベンチャーなのか、中小企業なのか大企業なのか、はたまた公的機関なのかお役所なのかでも大きく違う。(特にお役所はやばい)

また、世代間でも上司世代と部下世代では前者がハイコンテクスト、後者がローコンテクストだと感じる。ここは私が入社した頃と違うなと感じるところだ。私の頃はハイコンテクストについていこうと必死で知ったかぶりをこいていたけど、ここ数年新卒で入ってくる子たちはそんな無駄な努力はせずまずローコンテクストなコミュニケーションをとってくる(わからない事は素直に聞く、曖昧なことも言語化して確認する)と感じるし、実際彼らの態度が正解だと思う。逆に上司世代は長い間同じ組織で働いているということもあり、意思疎通がスムーズだし、特にトラブルや難しい案件のときはハイコンテクストなコミュニケーションが力を発揮していると思う。ただその分、お互いになぁなぁになっているなと感じることも(部下として見ていると)ある。

ハイコンテクストなコミュニケーションが成立している集団には、ある種の居心地良さがある。実際、同じ価値観で、いわゆる「以心伝心」が成立していればそりゃやりやすいし楽しいよな、と思う。問題なのは彼らがコンテクストの異なる集団に接したときの「なんでわからないの?」「いや、これがわからないとかおかしいでしょ(笑)」といった態度である。これが会社内、会社間、世代間で起きるからタチが悪い。

ドラマやアニメで描かれるような意思疎通がスムーズで機動性のある組織を目指すのであれば、ハイコンテクストを目指すべきであるとは思う。ただ、その性質を継代する為には蓄積された知識や情報を受け継ぐ仕組みが必要であり、また、そのためのコストは大きい。そのため、ハイコンテクストな組織の寿命は何もしなければあくまで一世代、もしくは数世代で終わってしまいそうだ。

タラタラと書いてきたが、上司部下の様子やハイコンテクスト組織の態度、そして昨今の情勢を見ているとハイコンテクストの時代の寿命は尽きつつあり、今はローコンテクストに移行する過渡期にあるのではと思う(あと「引き継ぎ」の意味って大きいですね。今更ですが。)。

それ自体は個人的にはウェルカムだし、SNSの普及やグローバル化を考えると当然の流れかと思います。

ただ、こういう状況において大事なのは相手とのコンテクストの差に気づき、読み取ること。その上で価値観、前提条件を共有して、より良いパフォーマンスを生み出すよう努力すること。

漠然としていた「ギャップを埋めるというタスク」は噛み砕くとこういうことなのかな、とつらつら考えた正月休みでした。

※これを書いている間の脳内BGM:なんか新しくなってる…???

https://www.youtube.com/watch?v=Y4yLdK1JJP0

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