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【連載エッセイ】嗚呼・・・熟年婚活~[5.夢の生活のお供になりませんかーMr.D]

結婚願望がなかったワーキングウーマンのチャレンジはいかに・・・


「一年の半分はハワイ暮らしなんですよ。」


❝海外で暮らしたことがある人❞
を婚活アプリの自己紹介文で、お相手のタイプとして希望するポイントのひとつとして挙げていると、なにかしらの形で海外に関わっている男性とマッッチングするが、その「関わり方」は様々である。

次にマッチングしたのは50歳のバツイチの方で、Golf三昧のハワイ暮らしを中心に、国内外旅と仕事であちこち行っている。麻布に自宅兼オフィスがある。とおっしゃる方。
いつものように、サイト上のメールでやりとりをはじめ、お相手のプロフィールや自己紹介文に書かれていることについてお訊ねするかんじで進めようとするが、お返事がいちいちなんだかはっきりしない。
3往復ほど軽いやりとりをすると、「会って話しませんか。」とおっしゃる。
訊ねることにはっきりお答えいただけなくて、まだ何も信用できそうなことがない段階よ。会う段階になっていないんだけど。。とちょっと困惑した。
しかし、マッチングした何人かとお会いしてきて、私も「お会いする」という行為に慣れてきていたこともあり、十分用心しながら会うことにしよう。と次の土曜日のティータイムに新宿で会うことにした。
待ち合わせ場所や会うお店は、D氏が決めるというのでお任せすることに。
指定された新宿伊勢丹前は、多くの人びとが絶え間なく行き交い、初対面の方との待ち合わせには忙しないので、歩道の道路側に寄って少しでも人が見通せる位置で待つことにした。
なんせ、アプリのお相手の写真は引きでお顔は斜め45度というポーズだったので、雰囲気しかわからず、お顔ははっきりわからない。なので、どんな方なのか内心少々不安だった。
お相手が私を探していただくしかないわ。
と思いながら行き交う人々の中からそれらしい男性を探しながら待った。

時計に目をやるとそろそろ待ち合わせ時間だ。
もう現れてもいいよね。と思いながら新宿駅方面の方へ眼をやると、7~8メートル離れたあたりで、妙な動きの男性に目が留まりなんとなく見ていると、その男性は蛇行して歩いている。こちらの方向に進んでいる。
人びとの歩幅とは明らかに異なり、広めの歩道を蛇行しながら歩いていて、
なんなんだろうあの人?と気になり見ていると、その男性はどうやら私を見ているようだ!蛇行をつづけながら私を見ながらだんだん近づいてくる!
え!まさか!彼ですか?!
2メートルくらい近くくらいまで来て、「もしや!」と気づき、私もその男性を意識して見る。
その男性は、ブラックヘアをシチサン分けにしてヘアオイルでギラギラにしてピッタリとセットしていて、痛くないかしら?と心配になるくらいパリパリにノリを施したワイシャツに、センターにこれまた今プレスしてきました!というかんじでぴっちりと折り目がついた千鳥格子柄のスラックス。靴はダークブラウンの革靴がミラー磨きされている。
パリッパリにキメている割には、腰を曲げてのらりくらりと自信なげに近づいてくる様にぎょっとした。
rocoさんですか・・・?とやんわりと声をかけられ、あーやっぱりこの人なんだーと確信して固まってしまった。
なんか、大変極端なんじゃないかしら、、、、
とお会いするなり第一印象はダウン気味となってしまった。
予約はしていないが、行こうと思っているという近くのカフェへ2人で向かうことになるのだが、彼の方ももしかして私がイメージしていた女性と違っていたのかどうかわからないが、挨拶もしゃべりもはっきりしない方で困惑する。
日曜日のお客さんで満席の、ごく一般的なカフェで席が空くのを待つことになるが、その際のふるまいもいったいどうしたいのか?とイライラするような様子のD氏。
とにかくはっきりしないので、おとなしく振舞っていた私は、いつものワーキングウーマンモードを出すことにする。
こうですか?ああですか?これでいいですか?などと、元気にお訊ねして先に進める。
プロフィールで、かなりご自慢の優雅なライフスタイルを謳歌されている様子だし、いろんな知識もおありのような印象だったが、なんだかちがうな・・・
メールでお伺いしたことを改めて直接伺ってみる。
お仕事は、どうやらデイディーラーのようだ。
なので、PCと携帯があれば世界中どこでもできる。ということだ。
「ハワイがいちばんいいですよ!」と謳歌されているようなので、ハワイのどこがいいのか、お好きなのか、どんなライフスタイルなのかとか、ご経験されていることをうかがいたい気持ちでお訊ねしてみるが、何もはっきりした楽しい返しはなし。
英語はまったくできない。「現地の子供は英語をしゃべるんだよね!!」と
返答に困る発言を意気揚々とするし、日本食の行きつけの店にしか行かない。英語はわからないし、特に知りあいもいない。ビーチにもめったに行かない。お店や食べものも文化にも興味なし。
「豊かさ」は一切感じられない。
ご本人は、脱サラリーマン、脱労働者を実現しつつあり、世界のどこにいても金が増やせるノウハウを得ているという自信家で、
「ハワイでの自分の夢の生活に一緒にいてくれる愛する女性がほしい。」
終始何とも言えない薄笑いを浮かべながら、のらりくらりとしたしゃべり方でやっと希望を聞けるが、ただただ自分自身に酔っているようだ。
きっとこのような男性に飛びつく女性は、世の中にはけっこういることだろう。
私はというと、小一時間ほどで気分が悪くなってきてしまった。
お相手がトイレに立ったので、この隙に逃げようと本気で思った。
逃げるぞ!と意を決したところへ、薄笑いを浮かべながら戻ってきた。
もう、がまんができなくて「急用ができてしまったので、失礼します!」と言って席を立って、カフェを出て逃げた。

新宿駅の方へとにかく速足で歩く。
気分悪い。むかつく。
なんてくだらない人とわざわざ会ってしまったのだ・・・
些細なトピックで豊かなカンバセーションになれば、お互いに笑顔で楽しいひとときが過ごせ、自然に次につながっていくよね。。。
気分を落ち着けようと、駅近くのカフェに入りビールだけオーダーすると、
日曜の午後のシフトのスイーツ好きそうな感じのバイトの女の子にちょっとビックリされる。
冷えたグラスビールを流し込み、どうにか心にピースを取り戻そうとしていると、気学にハマっていてパワースポットへの興味が高い友人から写真付きのメール。「今、下鴨神社に来ています!」スマホの画面を通しても、清らかな神聖な「気」が感じられる森の精がいるような糺の森の写真が送られてきた。
「おおぉ~」
写真に見入っているうちに、あら不思議。すうぅーっとイライラもやもやが消えていく。
まるで私の様子を見ていたかのような、絶妙なタイミングでの神聖な気のお便りに感動して、友人に返信した。
気分がリセットしたところで、いつものアクティブな感性も取り戻そうと
再び伊勢丹へ行き、クリエーターの気にたくさん触れて帰宅した。

D氏の目的は、時間を持て余している暇な時に、ふらふらとデートできる子が欲しかったんだろうな。
すみません、ワタシカンタンなオンナじゃなくて。。。


次、行きます。



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