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醤油 

醤油

■醤油の由来
日本には、奈良時代から味噌があり、自然発生的に味噌の上澄みが調味料として使われるようになった。
という説と
日本の醤油の元になったのは中国の「醤(ひしお)」であるという説がある。
アジアの各地では「ひしお醤」と呼ばれる調味料が古くから使われていた。
食物を塩につけて保存する「塩漬け」から始まったもので、発酵・熟成してうま味成分をもつ濃厚な液汁がしみ出すことを体験で知りえたことが「醤」の起源ではないかと言われている。

■醤の種類
1.肉醤(ししびしお)
  鹿・うさぎ・鳥の肉を発酵させてつくるもの
2.魚醤(うおびしお)
  魚などを発酵させてつくるもの
3.穀醤(こくびしお)
  米・小麦・豆などの穀類に塩を加えて発酵させたもの
4.草醤(くさびしお)
  果物や弥愛を塩漬けにしたもの。次第に「漬物」に発展する。
「醤」についての最初の文献は中国の古書『周礼』(BC11世紀頃・周王朝初期の記録書)
周~前漢時代以前まで:肉醤、魚醤
前漢時代(BC2世紀)~:穀醤
後漢時代の『論衡ろんこう』には「豆醤」の記述がある。
南北朝時代(6世紀中頃)の『斉民要術』の中には大豆に麹を加えて、醤をつくる方法の記述も残されている。

■日本農林規格(JAS規格)での醤油の種類
1.濃口醤油
  ●三大産地:紀州(和歌山県)・播州(兵庫県)・下総(千葉県)
紀州湯浅から全国に広まり、主に千葉県利根川川沿いの銚子、野田を中心に発達。「本醸造方式」製法
  ・全国生産量の82.5%を占めるもっとも一般的な醤油。
  ・赤褐色 香、味が強い 魚や肉の臭みを消し風味をよくする
2.薄口醤油(淡口醤油)
  ●産地:発祥は兵庫県龍野市(たつのし) 関西で発達
  ・現在は全国で生産され全生産量の約13%を占める。
  ・「薄口」は塩分の濃度ではなく、色を淡く仕上げていること。
   実際は濃口醤油より約2%塩分が高め 
   濃口醤油と製法はほぼ同じだが、大豆の処理に圧力をかけず、小麦の炒り具合を調節して熟成期間を短くし、仕上げに甘酒を加えて甘味をつける。
  ・穏やかな風味 軽い香り 関西料理に欠かせない
   野菜の煮物、魚の煮つけ、お吸い物、鍋物などに
3.溜まり醤油
  ●産地:中部地方 愛知・岐阜・三重
・大豆のみで製造。大豆のたんぱく質により、味、色、ともに濃厚。
  ・刺身や寿司などの卓上用
   加熱するときれいな赤味がでるので照り焼き、佃煮、煎餅にも使用。
4.白醤油
  ●産地:愛知県碧南市(へきなんし)の特産
・淡い「あめ色」薄口醤油よりさらに薄い 甘味が強い
  ・主原料は小麦 大豆はほとんど使われない
・香と甘味が強い うま味は少なく淡泊な味わい
  ・色の薄さと香りを生かす料理 吸い物やうどん汁など
5.再仕込み醤油
  ●産地:山口県柳井市中心 九州から山陰地方の特産品
・通常、大豆と小麦でつくった醤油麹に食塩と水を加えるところ、食塩水の代わりに生醤油(火入れする前の醤油)を加えて発酵させる。
  ・甘いが塩分が高い14%
  ・味、色ともに濃厚でうま味も強い 卓上用の刺身、寿司などのつけ醤油に向いている。「甘露醤油」ともいわれる。

■醤油のうま味
うま味成分は、麹菌や酵母、乳酸菌の働きによってつくられる。
主成分:アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸など
●味の5つ構成要素:「旨味」「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」
1.旨味うまみ
旨味とは、大豆と小麦に含まれるたんぱく質が、麹菌の酵素によって分解されてできる約20種類のアミノ酸が主体。
中でも大きな働きをするのがグルタミン酸。醤油のおいしさをつくるだけでなく、ほかのうま味と相乗効果が働き料理をより一層おいしくする。
2.酸味
醤油には15種類以上の有機酸が含まれている。一番多く含まれるのは、醤油の酸味成分となる乳酸。次に多いのは酢酸(さくさん)。酸味はこの乳酸菌の働きによりブドウ糖が変化して生まれる。
3.甘味
醤油にはブドウ糖など15種類の糖が3~5%含まれている。甘味はグリセリンアミノ酸が作用して全体の味をやわらかくし、料理に丸みをもたせる働きがある。
4.塩味
醤油の塩分は、濃口醤油で海水の約5~6倍、約16%も含まれている。
塩辛く感じないのは、醤油の中に含まれている成分が発酵作用を促し、塩味をやわらげて深みのある味わいを引き出してくれるから。
5.苦味
醤油には苦味成分も含まれている。このわずかな苦味が、隠し味的な作用をもたらし、醤油の味を引き締めてくれる。


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