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透明な私は数えられない

「そういえば、カツサンド食べた?」

夕方、仕事から帰ってきた父が私にそう言った。

「食べてないよ?てか、カツサンドなんてあるの?」

「あるある。昨日買ってきて○○(兄)に渡したから」

そう言うと、父は部屋にいる兄を呼びに行った。
少し会話すると、父の手にはカツサンドが握られていた。

なぜか私には知らされない。どうしてみんなで食べてと渡されたカツサンドを兄は部屋に置くのか。全く理解できない。
一言言えばいいじゃないか。自分がカツサンドを持っているからあとで食べよう、と言えばいいだけの話なのに。

こういう事が昔からよくあった。
兄にはあるのに私にはない。私にあるときは必ず兄にもある。何かしら理由をつけて、いつも私は外される。

たまたまじゃなかった。
気づいたときは本当に悲しくて悔しくて、腹立たしさから家中の食べたいものや共用のものを片っ端から自分の部屋に持っていった。
もう何ひとつあげたくない、みんながくれないなら私もあげないし全部奪ってやる。

家族の頭数に入っていない

自覚したときどれだけ傷ついたか、母や兄は知らないんだ。幾度となく伝えたのに、これっぽっちもわかってくれないんだ。

どうして、私はいつも家族としていられないんだろう。

父から受け取ったカツサンドは私の部屋にある。
誰にもあげない。私がわたしにあげるしかないんだ。

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