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【人事ChatGPT活用法】文章作成だけでない活用法をサイエンスカンパニーの代表が考えてみた

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

人事の皆さん、突然ですが「ChatGPT」を活用していますか?

今年の流行語大賞に「生成AI」がノミネートされ、ChatGPTの話題を本当によく耳にする1年でした。文章のアウトプットとしてかなり有能なAIが、ビジネス領域に入ってきたことで「仕事術」も変化しており、もはやChatGPTを使わないことの方が”損”といっても過言ではありません。人事においても、文章作成、書類選考、研修や教材のアイデア出しなどに活用されている事例を耳にします。

ということで、今回は、シンギュレイト代表の鹿内が考えた人事におけるChatGPT活用法を紹介します!ChatGPTに関する論文に書かれていた精度の上がるフレーズもご紹介。ぜひ参考にしてください!

京都大学などの研究機関の教員・研究員として、ヒトの脳(認知神経科学)の基礎研究に第一線で従事。その後、大手人材企業でピープルアナリティクスの事業開発に取り組む中、株式会社シンギュレイトを設立。”信頼”をキーワードに、人と人との新しい関係・関係性を作り、新結合(イノベーション)を増やすことを目指す。ピープルアナリティクスの技術、学術研究などの知見を活用し、イノベーティブな組織づくりを支援している。1on1での話し方・聴き方を可視化する1on1サポーター「Ando-san」、イノベーティブな組織への変革を促す組織診断「イノベーション・サーベイ」を提供中。情報量規準が好き、漫画好き、サッカー好き。
話し手:鹿内 学,博士(理学)シンギュレイト 代表

ChatGPTを使いこなすために

ChatGPTって本当に便利なツールですよね。僕(鹿内)自身もChatGPTを活用し、アイデアをしたためたり、ブレストをしたり、、、時には小説を書かせてみたり、と色々と試してます。

皆さんも、一度はChatGPTに触れたことがあるのではないでしょうか?しかし、ChatGPTから期待通りの内容を得られず、「なんだかよく分からないなぁ」「扱いが難しそう......」と、ChatGPTを活用したくてもできていない方もいらっしゃることでしょう。

これは、どんな内容を書けば、どんな文面が出てくるのかを、イメージしきれていないことが原因だと考えています。

ChatGPTとは質問をしたら、それに対して「答え」を返してくれるツールです。意味を理解しているわけではなく、あくまで質問に対して確度が高いと思われる答えを、膨大な選択肢の中から選んで返しているだけなので、間違った内容も返してきます。

つまり、質問の質が悪ければ、答えを絞ることができず、質の悪い的外れな答えを返してくるのです。ですから、ChatGPTを使いこなすために重要なのが、「質の良い問い」です。より具体的にいうと、「回答する内容を限定した問い」が重要となります。

ChatGPTの精度を高めるフレーズ

直近の研究では、質の良い問いとともに、あるフレーズを加えると精度が高まる、という発見が報告されています。

それが「段階を追って1つずつ考えてみて(Let's think step by step)」というフレーズです。これを加えて指示すると、精度が高くなります。また、最新の論文研究では「まずは深呼吸してから、1つずつ問題に取り組んでみて(Take a deep breath and work on this problem step-by-step. )」と指示すると、精度がさらに高くなるという結果が出ています。*1

まるで人間に接するかのようです。たしかにChatGPTは人間の作り出した文章、会話を学習しているので、人間に接するかのように扱うと精度が上がるのかもしれません。

他にも、研究結果を見るとマネジメントでよく知られた事象が散見されます。たとえば、ChatGPT同士で会話をさせる研究によれば、定期的に振り返り(要約)をした方が過去の記憶をよく思い出せるといいます。ChatGPTは完全に記録が可能ですが、振り返りをしないと過去に会話した内容について間違ったことを言い出すのです。

シンギュレイトでも1on1マネジメントサービス(Ando-san)の提供を通して、定期的に「振り返り」を行うことが重要だと伝えています。人もChatGPTも定期的な振り返りが大切だということです。

ChatGPTなどのAIについての研究を見ると、改めて人のマネジメントについて気付かされることがあります。AIのマネジメントと人のマネジメントが同じである保証はないので、注意が必要ですが。それでも共通点があるように思えてなりません。

*1:Large Language Models as Optimizers. Chengrun Yang, Xuezhi Wang, Yifeng Lu, Hanxiao Liu, Quoc V. Le, Denny Zhou, Xinyun Chen(2023)URL:https://doi.org/10.48550/arXiv.2309.03409

人事におすすめの活用法を考えてみた

さて、ここまではChatGPTの回答精度を上げる方法について紹介してきました。最後は、僕が思いついた人事におすすめのChatGPT活用法を紹介します!

その活用法とは、「ミッション・ビジョンを体現する理想の社員の振る舞いを知ろう!」です。手順は以下の通り。

1. 「弊社ではこんなミッション・ビジョンを掲げています」と、ミッション・ビジョンを入力
2. 「あなたはこのビジョンを掲げる会社の模範的な社員です。その社員として答えてください」と入力。
3.「このシチュエーションのときにはどのように振る舞ったらいいでしょうか?」と質問。

これらの操作によって、自社のミッション・ビジョンを体現する理想的な社員の行動をChatGPTが返してくれます。具体例として、シンギュレイトの例を見てみましょう(質問は割愛します)。

私は、信頼によって人と人をつなげ、多様性のある組織を増やすことを掲げる会社の社員です。以下に、模範的な社員としての行動や態度について説明します。

・新しい関係性・関係をつくり続ける:
積極的にコミュニケーションを取り、他の社員や関係者と積極的に関わります。相手の意見や考えを尊重し、対話を通じて共通の理解を深めます。
チームや部署を超えた交流を促進し、異なるバックグラウンドや専門知識を持つ人々とのつながりを築きます。イベントやワークショップなどの機会を活用し、新たな人とのつながりを広げます。

・信頼をつくり続ける:
約束や取り組みに対して責任を持ち、誠実さを持って仕事に取り組みます。
他の社員や関係者とのコミュニケーションにおいて、正直で透明性のある態度を心がけます。プライバシーや機密情報を尊重し、適切な情報管理を徹底します。問題や課題が発生した場合には、率直にコミュニケーションを図り解決策を見つける努力をします。チームメンバーや他の社員の成長を支援し、共有の目標に向けて協力します。

模範的な社員として、上記の行動や態度を実践することで、関係性や信頼を築き、多様性のある組織の成長に貢献します。自己啓発や学習意欲を持ち、変化に対して柔軟な姿勢を持つことも大切です。

ChatGPTの回答より(可読性を上げるため改行のみ編集)

いかがでしょうか?このように、模範的な社員像を知ることができるのです。

今回は「模範的な社員」という内容で入力しましたが、「営業」など、職務も限定すると、より精度の高い答えを返してくれると思います。具体的な場面を想定しても良いでしょう。

一方で、ミッション・ビジョンの定義の仕方が悪かったり、曖昧だったりすると......ChatGPTは思ってもみない内容や、コンテクストを間違えた答えを返してくることになるでしょう。人事側が想定していない答えがでてきたときには……(実は、その答えこそが、現場社員の考えていることかも知れません。)

今回は、ChatGPTの精度を高める質問方法と、人事におけるChatGPTの活用例を紹介しました。使いこなすには、回答する内容をいかに狭めてあげること、精度を高めるフレーズをいれてあげることが”鍵”です。

また、その活用方法はあなたのアイデア次第!今回、紹介した「ミッション・ビジョンを体現する理想の社員を知ること」以外にも、思いもよらぬことを思いつき、知るきっかけになるでしょう。ぜひ参考にしてください!


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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。メルマガ登録はこちらから。