「ゲルハルト・リヒター展」に行きました。/展編#1


この6月から東京国立近代美術館で開催中の展覧会「ゲルハルト・リヒター展」に行ってきました。

最寄りの駅出口から建物が見えます。皇居の前で割と都会。


〇ゲルハルト・リヒターとは&楽しみ方

20世紀ドイツを代表する作家で、視覚をテーマに据えた作品を多く発表してきました。御年90歳の今でも作品を作り続けていて、文字通り最新の作品なんかも展示されています。
展示は絵画から立体物、映像作品まで、そのほとんどをカバーしていてとにかく量が凄まじい。(1ヵ所を除いて写真撮影も許可されていました。)

リヒターの代名詞的作品で今回上陸している「ビルケナウ」は、いわゆる抽象画というジャンルへ分類されます。少し脱線しますが抽象画について触れておきましょう。
ルネサンス絵画や浮世絵などの19世紀以前の絵画は、そこに「何が描かれているか」が重視され、写実的であること/"美"的であることで評価されます。ところが、20世紀以降の絵画は具体性よりも抽象性を重視していくようになりました(写真術の普及が大きく影響)。つまり「何が描かれているか」よりも「何を表そうとしたのか」=内容よりもコンセプトが重視されるようになります。現代美術が難解とされるのも同じ理由。19世紀以前の絵画以上に、作品の背景を把握した方がより理解しやすくなる構造を持つわけです。(気になったひとはリヒター展の図録を買おう!)

じゃあ背景知識を勉強しないといけないのか、と思ったかもしれませんが、大丈夫です。特にリヒターの場合は。
リヒターは視覚をモチーフにしがち、と書いたように、彼の作品は眼で実物を見ることで面白さが格段に上がります。パターンシリーズと呼ばれる、カラフルなストライプを縦に羅列した作品なんかは好例。近づいてみると目まいがしたり、視覚が変になる妙な体験が出来ます。写真に塗料を塗りたくった作品、写真にした絵画をまた写真にして分解してみた写真、など、とにかく実際にみると視覚的に楽しめるものばかり。アート系の展覧会に行ったことがないひとにもオススメです。


〇行くときの注意点、おみや

リヒターの魅力はほかの人が沢山書いてくれてるはずなので、こっちを中心に。

まずは日時指定券について。正直、これ必要ありません。本来、日時指定券って会場が大混雑しないように予め制限をかけるためのものだと思うんですが、めちゃくちゃひと入れてます。行ったのは6月中旬でしたが、ビビる位人間がいました。多少待てば入れますし、予約券を取ったとて並ばされることに変わりはありません。心配なら取る、で平気でしょう。あと明大生はキャンパスメンバーズ割で入場料¥1000。上の階でやってる展覧会もみれるのでお得すぎます。(岸田劉生の絵とかあります。)

次は入る時間帯。オススメは閉館間際、それも遅くまで開場している日の閉館間際2時間前です。今回の展示はとにかく量が多く、ちゃんと見てると普通に2時間はいきます。混んでる場合の余裕も加えて2時間見込んでおけば間違いないでしょう。
あとリヒター展は順路がありません。先に奥の部屋から、空いている所から見ちゃうのは全然アリ。

最後におみや。定番のポストカードやノート、バッグにTシャツ(デザインは微妙)をはじめ、小ぶりのポスターも販売されています。しかし買うべきは図録。図録がマジでヤバいので買いましょう。リヒター展自体の図録は作品全体への解説・批評も充実しててマストバイですし、先ほど挙げたパターンシリーズなどほかの図録もここで買えます。既に絶版で国内入手が難しいものもあるので貴重なチャンス。
(図録に関しては、東京国立近代美術館自体のショップやAmazonでも買えます。)
あと、レジが死ぬほど混みあうので覚悟して並びましょう。



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なんやかんや初めての展覧会イベントでしたが、見たあとお茶したりで充実してました。
しかし東京国立近代美術館、遠い……

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