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島暮らしにみるポストコロナ時代のヒント〜ドキュメンタリー映画『島にて』

 晴天の日曜日、久しぶりに友達の予約制1dayshopに出かけ、この夏に着るTシャツとパンツを買って、気持ちが上がりながら帰ると、ポストにはついについにヤツが来た。アベノマスクだ。市販のマスクがすでに価格破壊を起こしているというのに、五人家族に2枚はそもそも足りない。ちょうどその時アベノマスクを寄付したら、系列の温泉が無料で入れるというニュースを見つけ(笑)、これや!と。関西のマスク着用率は相変わらず高いが、今日も気温は30度。もう少し涼しいマスクが本当に必要な季節になってきた。

 近々リモートインタビュー予定の大宮浩一監督、田中圭監督によるドキュメンタリー映画『島にて』。山形県の離島・飛島(とびしま)に暮らす人びとを四季の風景を織り交ぜながら描いている。ゆったりとした時間が流れる島の時間そのままに、映画も余計な音楽は入れず、鳥や虫の鳴き声、波の音、風の音と島の音をたっぷりと取り入れて、そこで暮らす人々の日常にキャメラを向けていく。酒田市から1日往復で1便だけ、信号もない、1周10キロの小さな島に、現在住んでいるのは140人で島民の平均年齢は70歳。いわゆる典型的な過疎化した島だときっと今までなら断言していただろう。でも今なら「ソーシャルディスタンスはバッチリだし、大自然と共に人々が生きている」とすごくポジティブに捉えたくなる。コロナ禍で不自由を感じている私たちの日常が、そもそも村での日常だ。1年に1度、唯一島が蜜になるのは、お盆で、子どもや孫たちが島に訪れ、屋外で大バーベキュー大会が島中で繰り広げられるという。そしてこの島には若い世代の移住者も1割弱ぐらいいるのだ。定年後に単身移住し、今は好きな時間にゴミ拾いをして生きるのが楽しくて仕方がないという60代男性。合同会社を立ち上げて、島人=社員という考えで移住者を受け入れ、コミュニティを作ろうと奮闘している30代男性や、島暮らしを論文にまとめ、今は島のガイドをしながら、大正時代生まれの女性に、女性の生活史を聞き取り、島暮らしをしながら学んでいるという女性もいるのだ。

 どこで、どんな生き方をするか。コロナ禍で従来の価値観が揺さぶられ、仕事中心、首都圏集中で、コロナ以前にも多くの人が想像以上のストレスを抱えて生きてきた中、島とまではいかなくても、ローカル暮らしとか、ローカルに微住という選択肢はあるなと思った。密に戻るのではなく、密にならない環境に身を置く。厳しくても豊かな自然の中に身を置くことは、今までの生活を省みる機会になるのではないか。そのあたりも、インタビューで監督お二人の意見を聞けたらと思っている。

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