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臨時休業下のミニシアターから届いた感謝メッセージの束に感じ入る〜ミニシアター・エイド基金リターン

 6月8日、関西では京都みなみ会館が営業再開し、大方の関西ミニシアターが再開を果たした格好になった。同館の吉田由利香支配人は、臨時休館前から来館者数が激減し、経営危機に陥りそうな現状に対し、いち早くオリジナルTシャツで支援を募る「Save our local Cinemasプロジェクト」を発案。参加した関西ミニシアター13館のロゴが背中にあしらわれた吉田さんのデザインも話題を呼び、Tシャツ13,227枚と多数の寄付が寄せられた。ミニシアター・エイド基金締め切り前日のライブ配信ではリモート参加し、森崎ウィンらと若い世代が行きたくなるような映画館についてのトークを展開。関西ミニシアターと映画ファンを繋ぐ役割を果たしたことは間違いない。

 6月10日0時に、支援者へのリターンとして、賛同した映画監督が出品した映画をオンラインで鑑賞できる「サンクスシアター」がオープンするが、それに先立ち、支援者全ての人へのリターンとして「参加団体からコレクターの皆様への感謝メッセージ」がPDFで届けられた。A4で全52ページの大ボリューム。全国 118 劇場、103 団体が参加し、基金の支援を受けることへの感謝のメッセージが北海道の映画館からずらりと並んでいる。もちろんそこには、お礼の言葉のみならず、その映画館の由来や、どんな気持ちで映画館を立ち上げたのか、どんな特色を持った場所なのか、コロナ禍以前にどんな状況を乗り越えてきたのか、そしてこの数ヶ月どんな思いで過ごされたのか。そんな各映画館からの魂の声を読んでいると、全国に、古くは100年ぐらいの歴史のあるものから、まさに立ち上げようとしたものまで、こんなに多種多様なたくさんのミニシアターが映画を観客に届けるために踏ん張り、映画文化を支えているのだと痛感する。当たり前だが、一つとして同じものはなく、臨時休館という前代未聞の出来事が起き、ミニシアター・エイドという映画館と映画の作り手、そして映画ファンを結ぶ大きなプラットフォームができたからこそ可視化できた、後世に残る貴重な資料だとも思った。一つ一つの映画館主の声を読みながら、心の中で日本全国ミニシアターの旅をしているような、そんな気持ちになれた。まだまだ苦しいことは百も承知。映画館へ足を運ぶことが、次なる支援にもなるし、もちろん私たちの心の糧になる。映画館のある日常に、まさに感謝だなぁ。

ミニシアター・エイド基金

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