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天然わかめと曽我大穂

 養殖ワカメの時期が終わり天然ワカメが出回り始めた。

 逗子に住んでいるとフキノトウや菜の花とともに生わかめが出回り始めると春が来たなと感じる。乾燥ワカメや塩漬けのワカメしか食べたことがない人には申し訳ないくらい食感も味も別物だ。この時期は隣のAMIGO MARKETでも漁師の友人のわかめやめかぶが売られている。

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 黒っぽいワカメをお湯に通して鮮やかな緑になったところをさっとポン酢をつけて食べる「生わかめのしゃぶしゃぶ」を初めて食べた時は衝撃的だった。逗子に住んでいながら実家の食卓には出たことがなかったので実は初めて食べたのは海の家などに関わり始めた10代終わりの頃。きっと逗子に住んでいても食べたことがない人結構いるのではないだろうか?

 ワカメの時期がくるといつも震災のことを思い出す。計画停電が始まりなにもすることができなくなった友人たちでせめてヨウ素をとるかと浜に打ち上げられたワカメを拾っては毎日食べていた。そして自粛雰囲気の中むしろこんな時こそ音楽の力をと開催を決行したのがCINEMA dub MONKSの4夜連続公演だった。

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 CINEMA dub MONKSは曽我大穂とウッドベースのガンジーさんのユニットだ。本人に面と向かって言ったことはないがこの曽我大穂という男は本物の天才だと思っている。奏でる音だけでなく空間そのものを演出して聴衆をあの独特の世界の中に包み込む感じはまさに唯一無二という言葉がふさわしい。

 「昔のジャズミュージシャンのように一つの街に留まって連続した公演をしたい」という事で開催した4夜連続公演。毎晩演奏が終わると拾ったわかめをパスタにしたり炒めたり色々な食べ方をしたのだった。以来わかめのシーズンが近づくと「そろそろワカメを食べに来ませんか?」を誘い文句に毎年何かしらの形で公演をやってもらっている。

 年々自分も活動がアップデートされてゆき大穂君も「仕立て屋のサーカス」のプロジェクトが動き出したりとお互いの近況報告から学ぶことが多い。映画祭に向かっての慌ただしくなる前に大穂君と語る時間は自分の動きを客観的に見つめるための年間サイクルに組み込まれている。

 そうして今年はこのコロナ騒ぎである。中止にするべきか正直迷った。しかし映像配信を本格的にスタートさせるために昨年末から準備を始めていたので幸い機材は揃っている。無観客動画配信での投げ銭ライブを実験的にやろうという提案に大穂君も賛同してくれわざわざ奈良から足を運んでくれた。

こちらはその時のライブ配信の様子だ。こんなことをやりたかったと思える最初配信動画となった。こちらの動画は近日中に非公開にしてハイライトを編集したものに差し替える予定。フルバージョンを見たい方は今のうちに観てください。投げ銭もまだできるようにしているのでよければアーティストサポートもご協力いただけたらうれしいです。

ただいまCINEMA AMIGOがコロナの影響で休業中です。 地域のカルチャーを作ってゆく発信を続けていきたいと思います。 もし記事の購入でサポートいただけたら大変助かります。