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『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』:悩む中年男性の静かに激しいアニメーション
たまたま、Noteでこのアニメが日本で公開されるということを知り、趣旨は違いますが、簡単なレビューを載せておきます。
とある中年男性が海辺にぽつんと立つ小さな掘っ立て小屋を借りるところから物語は始まります。どうやら、彼は昔ここに家族で住んでいて、過去の過ちと向き合うために幸せの象徴だったこの場所にこっそり戻ってきたようなのです。ちょうどその頃、ケベックではカナダからの独立の気運が再燃しており、どこもかしこも独立の住民投票の話題で盛り上がっています。
元妻は男性を許してくれるのか、ケベックはカナダから独立するのか…。中年カップルの物語とカナダのフランス語圏、ケベック州の物語が1995年という特別な瞬間に紡ぎ出す物語です。
日常の淡々とした感じから、過去の激しい独立運動の記憶や楽しかった家族の、恋人の思い出が入り混じっていき、クライマックスにむけてサスペンスを築いていきます。
衰える肉体。そこに残り火のようにくすむ情熱。そして輝いていたあの日々。
実際よりもスローなテンポな印象が玉に傷ですが、墨絵のような淡麗な絵が動く幻燈のような白黒アニメーションはまさに耽美。そこに音楽が加わり叙情性をさらにアップ。落ち着いたビターブラックの大人向けアニメーションです。
日本のいわゆる「アニメ」とは違う、美しい世界の「アニメーション」へ一歩踏み入れてみませんか?
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