『彼女について知ることのすべて』(2012年)
2012年鑑賞
ごくシンプルな話。
女がいる。
ファム・ファタル的な女。
看護師をしている。
中学校教師の男がいる。
彼には恋人がいる。
恋人は、彼との結婚を望んでいる。
しかし、彼はまだ結婚は考えていない。
恋人は勝手に結婚話を進めようとしていて、
そのことで、彼の彼女への気持ちは冷めていく。
彼の恋人は女のことを知っていて、ひどく女の悪口を言う。
しかし、男は女に惹かれていく。
女がよく行く喫茶店に、男も通うようになる。
女は「あなたが来ればいいと思っていたら、本当に来た」
みたいなことを言って、男は女にのめり込んでいく。
何度目かのデートで肉体関係になる。
男は女に白い時計を贈る。
しかし、女にはタチの悪い昔の男がいた。
男は、このやくざのような男にさんざん脅される。
この男の脅しに従ったことで、競輪選手の古い友人も失う。
女は、なけなしの貯金を渡して昔の男との縁を切ろうとするが、
うまくいかない。
女は男に、昔の男を殺す計画を話す。
昔の男の持つ銃を使って。
男は覚悟を決めて、約束の場所で待つ。
しかし、女は現れない。
女は、ひとりで昔の男を殺し、服役した。
数年が過ぎ、男は今も教師のままだ。
学校に、女の弁護士だった人物が訪ねてくる。
今は出所した女には子どもが生まれ、
恐らくそれはあなたの子どもだろう、と彼女は告げる。
男には、今は恋人がいる。
弁護士は、死んだ男の墓参りに行けば彼女に会えるだろう、と告げる。
死んだ男の墓の前で、二人は再会する。
女は、昔の男が死んで、自分が昔の男を愛していたことに気づいた、と告げる。
しかし、女の腕にはかつて男が贈った白い時計がある。
女と男は別れる。
おしまい。
井土紀州が好きで、期待して観に行った。
が、良い、とは思わなかった。
音楽は好きだった。
女のファム・ファタルぶりがいまいちよくわからなかった。
岡崎京子の、タイトルを思い出せない短篇マンガをふと思い出した。
ストーカー的な人物が出てきて、主人公はその人物に対して嫌そうにするが、最終的にはその人物が主人公の心に住み続ける、という展開は、
同じ原作者(佐藤正午)も『リボルバー』もそうだったが、
個人的にあまり好きになれない。
「関係」の話なのだろうが、アソビというかヌケみたいなものがなくて、
息苦しさを感じた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?