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授賞式の思い出

先日仕事終わりに、国際フォーラムで行われた日本映画批評家大賞の授賞式を見に行った。

子どもの頃の記憶では、家ではいつも映画が流れていた。BSで放映される海外映画を、母はこまめにVHSに録画し昼間に見ていた。

毎年2月の終わりにアカデミー賞の授賞式が生中継される日があり、その日は独特の緊張感と華やかな空気が、画面を通じて我が家のリビングにも流れてきた。

批評家大賞の授賞式は、レッドカーペットこそ無いものの、やはりどこかキラキラとした非日常感が会場を包んでいて、子どもの頃に感じたドキドキ感を思い出した。

授賞式に行った目的は俳優の東出昌大さんとMOROHAのアフロさん。数年前に、MOROHAの「tomorrow」という曲のMVで東出さんを見て以来、出演作を何かと追いかけている。

控えめながら推し活なるものを昨年から自分に解禁した。

私は占星術で使うホロスコープのアセンダントという位置に蠍座を持っていて、自分自身の蠍座気質をどこか恐れている。

「さそり座の女」というイメージ通り、一度好きになったら徹底的に没入してしまう執念深さが、こと恋愛に向かうとあまり良い方向には行かないことを過去の経験から知っている。

それを経験の未熟さとは割り切れず、本気で好きになったら壊れてしまう。と当時の私はインプットしてしまったようで、何かに熱中するという事をあえて避けたまま、30代を過ごしてきてしまった。

好きという気持ちを封じる。恋愛ならまだしも、趣味や娯楽にまで禁止令を発動させてしまう徹底ぶりに、そういうとこだよ、と自分でも思う。

今年に入ってから、映画の舞台挨拶やイベントなどおそるおそるといった感じで足を運んでいる。こういう生活は、東京で過ごした20代以来だろうか。好きな人(推し)がいる生活は、やはり楽しい。

「生きるって、河谷さん(私) が考えるよりずっとずっとラクなことなんですよ。」とカウンセリングの先生に言われた。

人の感性って10〜20代までに形成されたものが、その後の人生においても変わらない基盤になっているのではないだろうか。

私の人生は、好きな俳優さんや監督を追いかけているうちに映画から学び、原作を読んだり音楽を聴いたりして世界が色彩豊かになっていった。

母とはその後悲しいほどに生き方が合わなくなってしまうのだが、私は今でも映画が好きだ。その原点にある風景は、母と見ていたアカデミー賞の授賞式なのかもしれない。

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