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虐殺の歴史に踏み込むカナダの教育

息子が「この本面白いんだよねー」と珍しく読書しているらしい。
英語の授業の中で、読書の時間というのがあって毎日本を読む。
どんな話ー?と聞くと、
「第二次世界大戦中にドイツの将校の子どもが田舎に引っ越して、収容所の壁の中の子と友達になる話」
うーむ。
これ。タイトルからして不幸な結末がプンプンしますね。
"The boy in the striped pajamas"

なんでも、英語の先生に勧められたらしい。

壁の中ー?進撃の巨人みたいだねぇ。
息子「ままー、これの映画見たいんだけど」
アマゾンでレンタルして一緒に見てみました。

いやもう、ネタバレしないようにあらすじは言いませんが、やっぱりトラウマです。
日本では、はだしのゲンが残酷すぎるとかで学校の教材として採用するのを止めるとか報道されていたけれど、この小説もなかなかのものじゃないですか。

この小説、日本では「読書感想文の選定図書」になってるらしい。
日本の学校では、ホロコーストについて詳しく学んだ記憶はないなぁ。
アンネの日記とか映画とかなどで教養の範囲で知っている程度で、高校世界史でもさらっと1行ぐらいじゃなかったか?

殺されたユダヤ人600万人。
隣人が突然虐殺の対象になる・・・
なんで、こんなことになったのか。
そして、その歴史がもちろんずっと尾を引いて現代社会がある。

Secondaryのカリキュラムには必ずFirst Nationが含まれていて、特に迫害の歴史を学んでいるようだけど、Grade12では"GENOCIDE STUDIES 12"なんてのもある。

ここのセカンダリーがとりわけ人種差別とか、弾圧の歴史の学習に力を入れているのかわからないが、同僚の子どもはカナダにおける日系人の強制収容なども勉強したと言っていた。日系人は殺されたわけではないけれど。先日発見したウクライナ人の強制収容とか、インド系移民を追い返した話、日本人や中国人を差別した話など、移民国家、多文化共生をうたうカナダも過去には色々やってきた。だからなのか、日本で習う歴史や文化の教育とは切り口が違う。

アイルランド系移民や、宗教的迫害を逃れてきた移民の子孫もいる。ユダヤ系も、パレスチナ系、ロシアもウクライナも東ヨーロッパも。トルコ、イラン、シリアもいた。リアルタイムで戦争している国からの移民が大勢。学校では、現在進行系の戦争や虐殺も扱っていくのだろうか。なかなかTouchyな話題だから学校でどうやって学ぶのか興味深い。

そんなわけで、息子はいつの間にか人種差別や戦争について詳しくなっていく。

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