世界で一番好きなあなたへ

  電気を消して、布団を被って、目を閉じる
それなのに全然眠れなくてイライラしてくる
何が原因かなんて分かってるから余計腹が立つ
結局はそう、僕が弱いからだ 幼稚だからだ
もっと大胆に生きられたらいいのに
理想ばかり大きくなって、行動が伴ってないんだね

 僕にあなたを愛する権利はないと言われた
あなたのことはもう忘れろと言われた
そんなの無理に決まってるのに
諦めきれない僕を、今日も世界が監視する
僕は隠れてあなたを愛する
あなたを見ている時の僕の目は色が違う
絶対に誰にも見られてはいけない秘密だから
僕はもう、自分しか頼れる人はいないんだね

 周りにはもう諦めたって言ってるんだ
だから僕はあなたの場所に色を残さない
一瞬で消えるような 淡い色さえ残さない
なのに、あいつは色を残す 濃い色を残す 
まるで嫌がらせのように、大きく塗り潰す
インクを垂らすことさえできない僕に
これ見よがしにあいつはあなたに触れる

 あなたをまだ好きなことをあいつに言ったら
僕はきっと全てを取り上げられる
あなたを見る術さえ、ひとつ残らず失うだろう
だから言ったんだ
僕はもう、あなたのことは忘れたって
あなたのことは好きじゃないって
胸が引き裂けそうだったよ
必死で涙を堪えたよ
心の中で何度もあなたに謝った 土下座した
ごめんね こんなに弱い僕で

 愛してるって伝えたいんだよ
世界で一番愛してるんだ 本当に
思ってるだけじゃダメなんだけど
それぐらいのことは僕にだって分かるんだけど
じゃあどうしたら良い?
僕はあなたに色は残せない
透明なインクなんて意味がない
筆も持たせてもらえない僕に何ができる?
僕の両目からは毎日透明な水が流れるのに

 あなたは僕のものじゃないけど
だからってあいつのものでもないだろう
何でこんなに僕ばかり辛いんだよ
気安くあなたに色を残すなって
気安くあなたの名前を呼ぶなって
気安くあなたの話をするなって
声を荒げて言いたくても言えない僕は
あなたの記憶に刻まれるあいつと違って
あなたの視界にすら入れない 

 あなたもこの空を見ているだろうか
僕はただ空へ空へ手を伸ばした
無力な僕は何にも触れられないけど
確かに誓ったんだよ
あなたを一生愛し続けると
世界で一番愛してるよ
あなたに出会えて本当によかったよ

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