文書のメンテナンス

ゲームプランナーの仕事は1/3がゲームを触って確認したり考えたりすること、さらに1/3がチームの内外の人と話をして物事を進めること、のこりの1/3が書類の作成だ。

プランナーの仕事をざっくり抽象化すると、何かを自分の頭にインプットして、それを熟考し、アウトプットする。そのアウトプットを以って、また別の人にアウトプットをしてもらう。そんな感じ。

僕たちのアウトプットは何かというと、企画書だったり仕様書だったり、スクリプトコードだったり、図やグラフだったり、イラストだったり、エライヒトに説明するためのプレゼン資料だったり、多種多様である。

そのアウトプットの半分は、「専門技術を持った仲間になにかすごいものを作ってもらうための説明資料」だ。(残りは、それ自身がゲームになる物品。ゲームデータとかスクリプトとか、あとプレゼン資料)

ゲームプランナーはなにか具体的な技術でゲームを実装する職種ではない。そういう事は得意だけど、それ以外のことが苦手な人たちにいい感じに仕事をしてもらうために僕たちはいる。だから僕らのアウトプット(主に仕様書)は伝えるべき相手に、きちんと伝わって初めて価値を持つ。

伝わる文書とは、読む側に十分な配慮をした文書である。相手の知識に合わせた用語の選び方、順を追って理解できるような文章構成、同義別語の排除、作業内容を踏まえた情報密度、見落としがちなポイントのフォローetc.考えることは沢山ある。

とはいえ、そんな完璧な文書なんて簡単には書けない。書けないし、その必要はそれほど高くはない無い。

ゲームの開発はとても不安定な進行をするし、作り直しや大幅な変更、イテレーションみたいなことは日常的にある。

だから仕様書は常に「古いもの」になっていく。完璧に作る必要がないというのは、「すぐに古くなるものに必要以上に時間をかけなくても良い」という意味だ。

でも、追加したもの変更したもの無くなったものをアップデートすることを怠らないほうがいい。最新化されていない仕様書なんてものは役に立たないし、そういう仕事は周りからの信頼を失いかねないからだ。

ちょいちょい見かけるのは、「ちょっとした修正だからあとでやろう」と言ってその小さな修正をほったらかしにした結果。気がついたら把握できないくらい多量の修正項目が溜まっていた、というやつ。

仕事というのはやるべきことの全体量が同じでも項目が多いととても煩雑になる。今やれることを明日に回してはいけない。

いますぐに、自分の文章を必要としている人がいるかもしれない。そういう心がけを大切にしていきたい。


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