ゲームの仕様書には設計思想を盛り込む

ゲームの開発、運営というのは基本的にチームワークである。中でもゲームプランナーは直接的な実装に関わる事が少ないのが特異で、プログラムやデザインなどに代表される「技術」が不要と思われがち。

実際、技術を持ったスタッフは他にいるのでこの理解はある意味正しい。
正しいのだけど、ゲームプランナーの技術というものが無いわけではない。

それはゲーム全体を設計する能力、要素を分解、解釈し、再構築する能力、あるいはそれを正しく伝えるための伝達能力などだ。企画書や仕様書を書くというのは、その手段の一つに過ぎない。

よくできた仕様書というのは、実装内容だけでなく仕様の目的、意図といったその仕様が目指そうとしているゴール、設計思想が分かるものである。

数多ある選択肢の中でなぜこの方法を選んだのか、この方法を採ることでどんなゲーム体験を実現したいと考えているのか、そういった本質が伝わらないと、表面だけはオーダー通りの実装が出来上がる。

設計思想を共有できていれば、実作業者は仕様の盲点に気づいたり、より良い手段を選ぶことができたり、仕様に足りないものを自ら考え正しい方向で補ってくれるようになる。

長い開発では人も入れ替わるだろうし、担当が変わることもあるが、思想が明確になっていれば実装がブレる可能性は大幅に下る。

大きな方針転換があったときにも、「以前の設計思想はこうだった。ではこの転換を承けて今後はどう考えるべきか」という継承を行いながらの転換が可能になる。思想の継承と更新がされていれば、方針転換や開発フェーズの進展時に知識や経験が途絶し同じ間違いを繰り返す、という事態も回避可能になるだろう。

ここまでのことを考えて、仕様書のあり方を考える人は多くはないし、実践している人も稀であるが個人的な経験からも推奨したい方法である。

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