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【アリエ県@フランス】Visitation聖母訪問修道院の博物館

Visitation=聖母訪問修道院とは、懐妊した聖母マリアが、先にヨハネを身ごもっていたエリザベートを「訪問」した聖書の話がもとになっている。
聖母マリアの訪問を記念する女子修道院。17世紀に設立されたらしい。

もともとはマリアの訪問に倣い貧しい人々を訪問していたというが、時代の流れで修道女たちは修道院の門の中で一生を送ることになった。
フランス全土に広がり、ムーランには今も女子修道院がある。

修道女たちは、一生塀の外に出られないばかりか、外からの訪問者と会うこともできない。
修道院長など一部の高位の修道女のみが、外部の人との面会を許される。

修道女になれたのは貴族の娘などで、家族の援助を受けながら、特技に合わせて修道院内で作業に従事した。

ムーラン市の中心部にある修道院の財産を展示する博物館を訪れた。

女子修道院の門が閉ざされているごとく、博物館の門も閉ざされている。

開館中なのに門は閉まっている
ベルを鳴らして開けてもらう。

修道女たちは高い教育を受けた貴族の娘たち。
絵を描いたり、文章をつけて物語を創ったりしていたようだ。
細密な絵や文字が飾られている。

羊毛を巻く修道女たちを描いた絵。
向かい合わせにならないのは、おしゃべりしないためとか。
左は修道院内の投票に使ったという白と黒の豆。
お洗濯
修道女の一日。
漫画っぽい。
「予期せぬシャワー」というタイトルの絵。
水道管の破裂で水を浴びてしまったらしい。
修道女はユーモアがお好き。

別の部屋には、聖遺物や宝物が展示されている。
聖遺物とは聖人の人体の一部だったりするわけで、博物館に展示していいのか心配になるが、ここにあるものはすべて修道院所有のものなので、一時的に展示されているのだそう。
聖人様、ようこそ一般の世界へ。

聖遺物入れ。現在も中に聖遺物が入ったままだという。
開けられないように、針金でしばってあった。

修道院の中には、修道女たちが作ったものばかりでなく、家族である貴族たちからの贈り物も飾られている。


白蝶貝の彫刻

博物館の建物は、15~16世紀の建築。こちらも興味深い。

15.16世紀の人も上り下りした階段。
女子修道院では近くの男子修道院の服のアイロンかけも引き受け、
お金をもらっていたとのこと。
男子修道士たちは、アイロンをかけなかったのだろうか。
椅子の座面を麻ひもなどで作る。
修道女の個室のイメージ。実際は暖炉はない。
部屋に暖房がないため、寒さしのぎに、
ベッドを麻布などで覆っていた。

14、15歳で修道院に入り、一生を壁の外から出ずに過ごした修道女たち。
神と人々への奉仕に捧げる人生。
どのような思いで刺繍をしたり、農作業をしていたのだろうか。

ベースの布はマリーアントワネットのドレスをほどいたもの。
修道女が刺繍をするのは一日一時間。
生涯で一作品を仕上げるくらいの丁寧でゆっくりした作業だとか。
こちらは紙に施したレース。裏表両面。

どの展示室も小さな空間に気前よく修道女たちの作品や修道院の宝物が飾られ、じっくり見ることができる。
写真撮影も自由。

描かれた絵を見る限りは、修道女たちの生活は愉しそうだ。
美と信仰とユーモアの日々。
描かれた絵を見る限りは。


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