見出し画像

トムラウシ来たーー!

 当初はなんでもだらだら書いてやろうと思っていたのに、すっかり登山ブログ化している我がnote。山楽しいから仕方ないねー。

 生まれも育ちも札幌、10年程前に東京に越したものの、住んでいた家を実家近くにまだ所有ーという元道民な私。ここ数年かけて、父と共に出かけ北海道の百名山はほぼ制覇してきた。かつて道内あちこち登っていた父は今でこそ登らないが、北海道のいろいろに詳しく旅の心強い道連れであった。利尻も知床も一緒に行った。だが彼も80歳を越え、遠出は大変になってきたので、今回は初めての北海道1人登山である。しかもトムラウシ。遠い・でかい・長いーみたいな山。心細さてんこもりである。

画像1

 7月27日朝羽田から千歳行きの飛行機に乗る。ロングスカートに大きめザックにコロコロ(小型キャリーケース)という出立ち。千歳には父が迎えに来ていた。ありがとーありがとー。父を彼の自宅に下ろして、スペアタイヤを積み("一応な、おまえ替えられないだろうけど"と父)、いってきまーす! また千歳方面に向かう。楽しさより不安の方がやや大きいけれど、やるしかないでしょーーーと千歳手前で道東道(道東自動車道)に乗る。

 本当は登山口近くの東大雪荘に前泊できれば一番なのだけど、人気の宿で取れるはずもなく、1時間ほど南に離れた"くったり温泉レイク・イン"というところに前泊をキメた。こここまで高速を使って3時間近くかかる。道東道はほぼ一車線で、途中に追い越し車線が何度も現れる。父のHONDA FITは軽快に飛ばしてくれる。長いトンネルで、制限速度70キロのところを60キロで走る猛車(はい、私が今作った言葉です)がいて、一車線ゆえながーい車列ができる。こりゃ下道の方が速いわーなのだが、焦っても仕方ないのでのんびり構える。追い越し車線に入った時の車列のみなさんのぶっ飛ばし方が凄かったわ。

画像3

 くったり温泉最寄りの町新得町で、コンビニや蕎麦屋を探したりして宿に入ったのは、19時になっていた。おっかしーなー17時には着いてるはずだったんだけどなー。こじんまりとしたなかなかいいお宿。

 翌朝は4時出立。晴れてるわよー。小一時間北上して登山口目指す。町を抜けて林の中に入ると朝靄の中、鹿が何頭も出てくる。リスみたいなのがさっと横切る。さすが北海道。
 普段から知らない道はGoogleマップに頼りきりなのだが、もうすぐ短縮コース登山口ってところで、指示通り進んだら本来の道と違う林道に迷い込んでしまった。グーグルさんがこの先を行けーと言うのだが、その道は途中で塞がれている。何度も行きつ戻りしてしまう。そのうち他の車が一切通らないので、"こんなに天気いいのに、これは・・違う・・!!"と、(もっと早く考えなさいよ!と、その時の自分をぽかぽか殴りたい)やっと思い至る。その時はグーグルさん信用しきって焦りまくってたからなぁ。
   一時は狭い道をバックしていて、後ろの車輪が轍からはずれ、ずりずり斜面に落ちそうになり、肝を冷やした。雪道脱出のテクニック(ゆっくりじっくりタイヤを動かす・少しずつハンドルを切る)を駆使して、なんとか道に戻る。思い起こせば、この日の一番の危険・核心はここだったなー、怖かったなー。

画像2

 ようやく正規ルートに戻るとあっけなく登山口に着いた。写真は頑張ったFITとおトイレ。
 予定より1時間強遅れて7時出発となる。くたびれたしガックリしたけど、かえって意気込んでいた肩の力が抜けてまぁのんびりやろうと、気持ちが楽になったりしたから不思議だ。とりあえず車から解放されて歩けるのが嬉しい。

画像4

 気持ちの良い林道を、足元の花を愛でながらかつ見上げて遠くの山頂に軽く絶望しながら、歩を進める。川の流れる音が聞こえ、急登を降りてゆく。

画像5

画像6

画像7

画像10

コマドリ沢分岐だ。ここで一休み。さらに沢沿いを進む。お花畑だ。

画像8

少しずつ岩場が増えてくる。チチッとナキウサギの声が聞こえるが姿が見えない。岩といっても足元が石だらけなだけで、岩を登ったりする訳ではない。残雪があってもその上を歩く事はない。

画像9

傾斜のあるロックガーデンのようなコマドリ沢を前トム平まで登ってゆく。日差しがあり、なかなかキツイ。が途中めっちゃ可愛いのに出会う。

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

オコジョ。可愛いなぁ。なんとも人懐っこく、愛嬌満点だった。

 前トム平には休憩を入れてほぼコースタイムで到着。ふぇぇ。

画像16

ここは見晴らしよく平らな空間が広がっている。しばし稜線歩きで息を整え、ちょっと急登を下りるとトムラウシ公園に着く。

画像30

画像17

画像18

画像19

画像20

画像21

画像22

画像23

山の中に公園?と思ったが、まさに天上の楽園という趣。ぐるりと山や雪渓に囲まれた中、花々が咲き乱れ、小さな川が流れている。どこを撮っても絵になるので、足が先に進まない。ほぇぇ。

画像24

画像25

画像26

本当にいいタイミングで来られたんだなぁ。

 頂上が見えて、すぐかなーと思ったら、ここからがなかなか。そうだ頂上直下はたいてい急登なのだ・・。

画像27

 やっとこ頂上。ちょうど12時。5時間かかったよぉぉ。気持ちいいよぉぉ。ここで休んでいたカップルに今朝の林道の顛末を話したら、"ネットで読みましたよ、ナビの案内で迷ったって"。おお。私だけではなかったのね(みなさん気をつけてね。大きな看板があるので、その指示通り行ってね)。

腹ごしらえを終えて、下山開始。がしがし下りますよ。

画像28

画像29

トムラウシ公園が名残惜しく、何度も振り返る。公園の真ん中で肩寄せ合っているカップルがいて、いつまでも動かない。もう下りてくる人もなく、ロマンチックだけど大丈夫かなぁと心配になる。

ちょっと動画を貼り付けてみた。ちゃんと見られるかな。

 がしがし下りてくと、数組追い越すことになる。休み所が一緒になり話を聞くと、百名山98個目だの80近いだのという人が散見される。ふむ。百名山人気だな。実際それがなければ、私もここまで来る事はなかったし、取っ掛かりとしては良いアイテムと思われる。でもきっと他にたくさんの良い山があるはずなので、アンテナを張り巡らせていろいろ登ってゆきたい。

 沢を上がれば、あとは木道をひたすらだらだらと進む。かなりの早足。これが長いー長いよぉぉ。駐車場に着いてほぼ17時。10時間歩きました。疲れました。父に連絡し、無事を伝える(何度も着信くれてたが電波悪く答えられず)。疲れるから、風呂入らず帰ってこいという父の勧めに反して、東大雪山荘でお風呂に入る。意外と元気なのだ。そしてお風呂は大変気持ちよかった。いい温泉だ。今度ここに泊まりたい。そうしてまたゆっくり頂上目指したい。

 昨日に引き続き新得町のコンビニで食べ物を買い(なにせお店が閉まるのが早い)、休みながら食べながら帰途につく。なにげに反射の灯りしかない一車線の道央道が怖かった。行きに遭遇した遅い車のように、70キロでもひぇぇぇとなりながら運転。暗闇に突っ込んでいく感じ。追い越し車線では皆さんに抜かれまくる(といってもほとんど車走っていないのだけど)。
 札幌に向かう道央道に合流してからは、いつもの見知った道&2車線&明るいという安堵から、今度は眠くなって大変。もうガムも飲み物も飽きたし。文字通りほっぺたパチパチしながら、自宅到着。やーー長い旅でした。楽しすぎた。
 翌日からも、父や弟夫婦と出かけたりご飯を食べたりしたのだけど、ほぼ筋肉痛なく過ごせた。ちょっと自信ついたかな。でも(車の)道迷いには気をつけよう。ほんとに。



 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?