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日本酒蔵が、地元・兵庫県産のシードルに込めた想い

こんにちは。壺阪雄一です。
180年以上続く「山陽盃酒造」という酒造会社で、「播州一献」という日本酒の醸造責任者をしています。


初代が、旧城下町である自然豊かな兵庫県宍粟市山崎町(やまさきちょう)で天保8年(1837年)に創業して以来、わたしたちはこの地におり、現在社長である父・壺阪興一郎で6代目、わたしで7代目を数えます。

このたび新たにシードル醸造に挑戦することを決意し、2020年6月17日に「果実酒製造免許」を取得いたしましたのでご報告させていただきます。

もっと自由にお酒を楽しんでもらいたい

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1、アルコール飲料そのものに親しんでもらいたい

現在、日本酒離れだけでなく、アルコール離れが顕著に進んでいます。物事の効能にばかり注目され、お酒が悪者扱いされる場面も多いですが、お酒は人生の余白です。人と人との隔たりをなくし、縁を結んでくれる大切な習慣であり、失ってはならない文化だと思っています。

少しでも多くの人に親しんでもらうために…と考えたとき「低アルコール」「発泡性のお酒」というニーズに行き着きます。それに炭酸が入った飲料は食欲を増す効果があるということも言われており、「食事とともにある酒」を目指す山陽盃酒造にはうってつけです。

2、地元産のりんごを使って「町のシンボル」をつくりたい

低アルコール日本酒、リキュール、ビール・・・色んな案はありましたが、蔵がある宍粟市内にりんご園があり「兵庫県でりんご」という意外性も含めて「地元」を発信するため、原料に使いたいと考えました。(日本酒「播州一献」も、米どころ兵庫県という地元を大切にして兵庫県原産の酒米を使っています。)

2018年11月に発生した弊社の火災によって「あたりまえに酒づくりできる喜び」を感じ、「この地で酒づくりする意味を再認識」して「地元のものを使って発信していきたい」と感じたことも大変大きな理由のひとつです。コロナの影響を受け弊社も厳しい状況下におかれていますが、それ以上に市内の施設の閉館や企業の移転が目立ちます。

今はまだ夢のような話ですが、いつか蔵から独立させたサイダリーを建設し、フレッシュなシードルをその場で飲んでもらうなど地域の目玉となるような「町のシンボルをつくりたい」と思っています。「播州一献」「シードル」両輪で、地元を支え盛り上げていきたいのです。

3、新しい挑戦をし続ける蔵でありたい

同じ醸造酒ですがシードルづくりは初めての経験。初心に返ってシードル醸造所の皆様からさまざまなヒントを教えていただき、現在は社内で試作を続けています。この経験が日本酒造りにも良い影響を与え、好循環を生むと考えています。世界のシードル文化は長い歴史がありますが、国内のシードル市場はまだ成長段階。そのため飲んだことがない人も多く、まずは知っていただくことが重要だと考えています。そしていつかテーブルワインのように「テーブルシードル」として日常に溶け込むお酒を造りたいと思っています。

シードルと現在のマーケットについて

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国内のシードルは、①第三セクター主導 ②りんご農家さんの加工品 ③ワイナリーなど他酒類からの参入、という3つが主で、最近になってシードル専門醸造所ができはじめました。

そもそも「シードル」というのはフランス語。英語だと「サイダー」、ドイツだと「アプフェルヴァイン」、スペインでは「シドラ」といいます。
日本のりんごを使い、日本の醸造所がつくるとかなり繊細で高品質ですが、同時に高価格になるので、多くの輸入物や国内大手と価格競争すると圧倒的な差が生まれます。直近一か月で、シードルを口にした人はどれくらいいるでしょう? 品質をアピールしたり、パッケージデザインをおしゃれにしますが「シードル」そのものの認知が低いため、まだ定着していません。

しかし原料や醸造過程にストーリーがあり、地域性も出せて、味わいの設計次第ではさまざまな料理にフィットして、低アルコールで気軽に飲むことができます。かつてのクラフトビールのように未整備で発展途上の分野ですが、絶対におもしろいシーンになるはずなので、その一翼を担いたいです。

わたしたちの願い・表現したいこと

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弊社としては酒蔵の火災、コロナ…と続き、今までの「あたりまえ」が失われた今、もう一度わたしたちがどうあるべきかという原点に立ち返って考えています。

日本酒、シードルなどつくる酒が違っても、変わらないことは「私たちのつくったお酒がテーブルに並ぶことで、皆さんの生活がより豊かなものになるように」という願いです。お酒だけだと80点かもしれないけど、食事と一緒になれば150点や200点になる酒。和食、洋食関わらず、食事とともに飲むことで笑顔になり、人と人とのご縁を繋げる酒を提供し続けます。

プロジェクト発信先と今後の予定

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シードルプロジェクトは、2020年の年内リリースを目指して進めています。名前は、近日公開予定です。

火災によって被害があった旧直売所が、4月4日に「播州一献ストア」としてリニューアルオープンしたばかりです。ストア内のBARでも「播州一献」とともにシードルも提供できることでしょう。

今後の活動は、以下で発信していきます。

現在続けている試験醸造の様子はインスタグラム「シードルプロジェクトby 播州一献」をフォローの上ご覧ください。

Facebookをよく利用する方はこちらをフォローお願いします(内容はインスタグラムとほぼ一緒です)。

https://www.facebook.com/cidre0790/

長文のメッセージはこのnoteで発信していきます。どちらもチェックいただけると幸いです。応援よろしくお願いいたします!

お問い合せ

本プロジェクトに関するご質問・お問い合わせは、下記までお願いします。

山陽盃酒造株式会社
兵庫県宍粟市山崎町山崎28
担当 壺阪雄一





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