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自分史 自業自得と時々外されちゃう梯子③

前記事 自分史 自業自得と時々外されちゃう梯子②

この記事は続編です。先にそちらをご覧ください。

そしてそこに至る経緯はこちら

中学生時代(2000字弱)

例の一件以降、マイナスの感情を野球にぶつけていた。O君は先輩たちの中でもエース候補だったし、最上級生になれば当たり前のようにエースになった。

同じチームなのだから、勝ちを目指すことは当たり前として、加えてO君に悔しい思いをさせてやろうと思った。

そんな拗れた理由で野球を続けていた。何も非人道的なことは考えていなかった。

【おまえのおかげで勝てた。ありがとう】
こう言わせたかった。認めさせたかった。O君にとってはこれが一番屈辱だと思った。一度は貶めた相手に感謝しなければならないのだから。

この時点でチームプレイをする人間としては終わっていた。


人生で初めて人に敵意らしい敵意を向けた出来事だった。



新チームになり、顧問から主将の打診を受けた。顧問の考えとしてはプレーでチームを引っ張っていく主将が好みのようだ。

僕自身も素行は置いておいて、主将はだれよりも野球に対して真摯に、熱心に、そして単純に野球が上手い人間がやるべきだと考えていた。だからこそ、その資格が今の自分にないことも分かっていたし、単純に面倒事を嫌ったというのもある。自分のパフォーマンスに集中したい、主将じゃなくてもプレーでチームを引っ張って行けますみたいなことを言って、副主将に格下げを願い出た。それと同時に主将はT君を推薦した。理由は単純で、少年野球で主将経験者だったからだ。顧問も承諾してくれた。


そして、新人戦、中総体が終わり、僕らも引退した。そういえば新人戦は市内では優勝したけど、特に思うところはなかったような気がする。もう純粋に野球を楽しんでいなかったのだから。


引退から高校受験へと気持ちが切り替える絶妙なタイミングで、県の選抜候補選手のセレクションの案内が届いた。選抜されれば、県の代表として全国大会優勝を目指すことが出来る。そしてO君も候補生に選出されていた。
社会人野球の大会が行われる立派なグラウンド、大学の室内練習場での選抜試験だった。ここでは多くの貴重な経験をした。
自分よりも格段に上手い選手も多くいたし、良い刺激にはなった。しかし、気付いてしまった。野球が楽しくない。なんのためにしているんだろう。


そんな気持ちとは裏腹に結局のところ井の中の蛙、大海を知らずというオチ。二人とも県の選抜選手に選ばれることはなかった。

が、そこでスカウトの目に留まり、僕とO君二人は同じ私立高校の野球特待生としての推薦をもらった。特待生として入学すれば、ひたすら野球漬けだ。授業も午前中で切り上げ、夜まで練習。ぞっとしない話だ。 

O君は勉強を熱心にするタイプではなかったので、渡りに船だっただろう。


その後の僕はというと推薦を断って、近場では進学校と呼ばれる普通科の高校に進学した。理由は一番近かったから。
野球部はあるみたいだけれど、強い訳ではないみたいだった。でも、(2020年現在でも)プロ野球界で活躍している選手を輩出したこともあったようだ。まぁもう野球をするつもりはなかったから関係ないかぐらいに思っていた。

高校に入ったら、テニス部に入ろうと思っていた。(当時テニスの王〇様が流行ってたんだよね)


中学卒業から高校入学までの春休み、テニスラケットや用具を揃え、壁当てを楽しんだり、女子テニス部を引退した女子を負かせたりして楽しんでいた。テニス部入部を大体の人は応援してくれたが、O君だけは激怒した。

意味が分からなかった。

実は特待生を辞退した時も一悶着が起きていた。その時もまったく意味が分からなかったが、今はその比じゃなく激怒している。僕は意味が分からな過ぎて呆れていた。

彼曰く、
僕は2度もO君を裏切ったということらしい。

特待生を辞退した時、一緒に野球が出来ると思っていたO君を裏切った。
高校で野球を続けないと聞いた時、僕と対戦出来ると思っていたO君を裏切った。

なんてこったい…認めてくれていたんじゃないか。急に力が抜けてしまった。もしかしたら、新チームの主将に推すべきはT君じゃなくて、O君だったのかもしれないと少しだけ思った。

そして、今ならもう一度野球を楽しめるかな、なんて考えながら高校入学を待った。

*補足しておくと、O君は良い奴ではない。悪い奴がちょっと良いことして株が爆上がりするタイプの人間だ。サボリ告発された時は、話に尾ひれ付けまくりで、追加刑の5厘刈は彼考案だ。人間的に合う合わないで言えば、合わないタイプだったし、他にも小競り合いはあったし、好きになれなかった。

今ではそういう人もいるんだな、いろんな人がいるんだな、自分とは違う人間がいるんだなと気付かせてくれた良い経験になった思うし、感謝までしている。こっちだって口に出しては言う予定はないけれど。

つづく  

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