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自分史 自業自得と時々外されちゃう梯子⑮

この記事は続編です。ここに至る経緯はこちら
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社会人時代編ダイジェスト(1300字)

・入社してからのギャップ
・裏切りと退社

限界は突然訪れる。誰の目に見てもオーバーワーク。むしろワーカーホリックになっていたのだろう。
寝る間も惜しんで仕事に励みそれが美徳とされており、僕自身も理不尽さを感じなかった。
突然の限界を向かえた。

中小規模で良くしてもらっていた得意先への訪問時間が迫っている最中の出来事であった。前日から資料作りでへとへとだったが、なんとか間に合いそうだ。その時、購買力が非常に高い大手得意先から緊急招集がかかった。こちらはどうせ飲み会の誘いだ。用件は分かっていたが、断るわけには行かない。
丁寧に打ち合わせが終わり次第向かう旨を伝えたが、納得頂けなかったようだ。仕方なく先にアポイントを取っていたお客様へ時間の前倒しをお願いした。
こちらは快く受けてくれたが、今から向かっても一時間以上かかる地区だ。なんとか時間を短縮しなければ。


この頃になると、時間をどうやって切り詰めるか。ということが至上命題になっていた。切り詰めなければ、プライベートな時間どころか、食事、睡眠、入浴など生活に必要な時間さえ確保できない。
そして、車に乗っている時が一番時間の圧縮が可能だった。遠方であればあるほど、1時間あたりの短縮時間が上がっていった。
朝出社するときは、寝間着のまま前日乗ったまま帰ってきた社用車に乗り込む。途中でコンビニに寄り簡単なものをつまみ、高速を運転しながら、スーツへ着替える。会社に着けば、顔を洗って、髭を剃る。もちろん下っ端は先輩よりも早く。

高速に乗るのは通うのが遠いからではない。乗れば会社に着くのが5分は短縮出来るからだ。
※時効とは言え絶対に危険なことです。真似しないように。
こんな生活をしていたのだ。
徐々に心は蝕まれ、気付けば
法律<お客様を待たせる。迷惑を掛けること。

というとんでもない価値基準になってしまっていた。会社として、部署としてそういったことを推奨していたわけではない。しかし、暗黙に醸成された空気があった。

今でも隔週で入れ代わり立ち代わりで会っている大学時代に得た大事な友人たちはもちろん心配してくれたし、おかしいと言ってくれた。しかし、僕は甘え下手なのだ。そして、無駄に責任感が強い。本当に困った時、周りに頼ったり、相談することは人生で一度もない。すべて自分の中で処理してきた(つもりだ)。その結果及ばなくても、自分が選んだことだ『仕方ない』と甘んじる癖が付いている。
少しでも、誰かに話をしていれば、というは今でも思うし、今もかなり意識して努力しないと自分をさらけ出せない。染み付いた習性には困ったものだ。

結果から言うと僕はその道中にオービスを光らせてしまい、お客様の下へ到着することはなかった。普段なら絶対に見落とすことはない。しかし、気付かなかった。頭から抜け落ちていた。いや、本当は誰かに止めてもらいたかった。もう人でなくていい。法律で裁かれるようなことになれば、出社しなくても済むと心のどこかで思っていたのかもしれない。


つづく

~~~マガジンにまとめてみました~~~
自分史 自業自得と時々外されちゃう梯子

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