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仕組まれる仕組債

1.根拠のない信頼

2021年6月 私はC銀行の一室で少なからぬ金額を「EB債〇〇✕✕」というものに投資するよう勧められていた

説明によると今までの投資とあまり変わらないような気もしたが ただ一点「もしノックインしたら連動しているSBGの株式になって還ってきます」というのに引っかかっていた C銀証券側は担当が変わって新しい人だったが他の選択肢はなくただこれだけを勧めてきていた

「僕は株はわからないし株なんか持ちたくもないんです これはちょっといやですね」
「いや 40%も下がることなんかめったにありませんしSBGは持っていたっていい株ですよ 第一今どきこれだけの利息がつくんですから」

熱心に勧めてくるのと返事をしないと家に帰してもらえそうもない状況に根負けして「まあいいか」と契約書の判を押して そしてそのことはほぼ忘れていた 身内のことでいろいろあってそれどころではなくなったのもあったが「前と同様 任せておけば安心」と思っていたのが一番の原因だろう 

何度でもいう

投資なんかする気も無かったし
一つもわからないし
勉強しようという気さえない 
ただ
そんなに熱心に勧めるなら 
誰かの役に立つのなら 
そして元本が戻ってくるなら 
お金を眠らせておくよりはいいだろう

本当にただそれだけの気持ちで始めた投資だし 銀行の口利きだし 最初から「元本割れしない商品なら」と伝えてあるのだから担当が変わったからと言ってもそれはちゃんと伝わってるはずだし……

2回連続でちゃんと元金が返ってきたことで3回目も何もなく済むに違いないと どこかで思い込んでいたのだと思う 何の根拠もなかったのに……

2.ノックイン

6月に契約して以来 プライベートの様々な問題に忙殺されて投資した債権と連動しているSBG株の価格すら一度も確かめないまま年の瀬が迫ったころ 一本の電話が入った

「ノックインしました 償還はSBGの株で還されます」

買ったときから40%の下落 ざっと計算して数百万円の損失……寝耳に水の報告だった
その時とその後の精神的な打撃は特に述べない
ただ悔しかった 腹が立った 何より大金が誰の何の役にも立たず消え去ったその事が耐え難かった

そこで初めてSBG株について調べてみた

持ち株投資会社 借金が多い会社 株の値動きが激しくて勧められたときはすでに下落傾向にあった…… 悪い株ではない 東証プライムだしそれなりの評価のある会社ではある
しかしもし個人で株を買うことがあったとしても 私なら絶対に買わない 嫌いなタイプの会社だった

こんなものをつかませやがって……あれはいったい何だったんだ……

自分が一体何にどんな投資をしていたのか初めて調べなおした

そうして行きあたったのが「仕組債」という言葉である

3.仕組債

仕組債についてはちょっとネットを検索すれば説明がたくさん出てくる ところが懇切丁寧な説明を読んでもさっぱり理解ができない その仕組みが脳内でイメージできないのだ

わかったのは

素人が手を出していいような投資じゃない!!

ということだけ

そして同じように老後資金を狙われて 同じようにメインバンクから傘下の証券会社に情報を流されて 同じようにハイリスクの仕組債を買わされて 同じように多大な損をしてあちこちでトラブルになっている高齢者が多いということも知った

手口は全部一緒で 信頼しているメインバンクにある程度大金があると投資を誘われ傘下の証券会社を紹介される 比較的少額で始めてうまくいくと戻ったお金にまた足して次の仕組債を買わせる うまくいっているうちはこれを繰り返していくがどこかで必ずノックインを起こす すると大損になるというもの

恐ろしいのは証券会社の方は最初に高額の手数料を抜いて販売しているということ 後は顧客の投資額が元本割れしようが半分になろうが証券会社の損は無い 泣くのは「銀行の紹介なら安心だ」と思い込んでハイリスク商品に手を出してむざむざ老後の資金を失う高齢者である

仕組債は買わせるために周到に銀行と証券会社で仕組まれた罠のようなものである
例えるなら素人を丁半博打の鉄火場に引きずり出すようなものである
危険極まりない投資に債権の皮をかぶせてだますようなものである

もちろん法的には問題無いように情報の共有や説明責任は当人の判を押させて書類の形は整っている しかし知る気で調べても金融のリテラシーのない人間には理解できないほど複雑な仕組みの商品を初心者に売るという一点だけにでも詐欺のにおい モラルの崩壊を感じるのは私だけだろうか

とにかく損することは決まった

それで何をしたかを次回から書いていこうと思う

(続く)


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