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「夏らしくない夏が好きなんだ」 彼女はそう言った。 白く高い雲が映える、澄み切った青空のもと。 端が見えないほど広く、なだらかな平原の真ん中に、ちいさな木がひとつ。 その木陰に、ひとりの人間と、ひとりの妖精。 木の根元に座り込んで、休憩しているところだった。 「私はさ、暑苦しいのが嫌で嫌で。それに比べて、夏が終わろうとしてるこの時期の、大きな青空とちょっと涼しい風はたまんないよね」 暑いとか寒いとか、わたしにはよくわからない。だから、ご主人さまの気持ちも