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「のぼさんはね〜もうさっさと地域に入り込んだ方がいいね」 昨年9月、とあるコミュニティでのオンラインのメンタリングの機会で、僕は実業家の方にそう言い放たれた。東京1K5.5畳のアパートで暮らしていた当時の僕は、地元である宮城県美里町で「みさと大学」なる真新しいコミュニティを立ち上げたいと考え、その思いを打ち明けていたのだ。ただ、それを始めるにはどうしても、自分の実力不足や地域との距離感が否めなかった。 年が明けてから、そんな地元で“1期生”となる地域おこし協力隊の募集が始
煮える頃だ。ふつふつと音で分かる。空の、水色と黄色の混ざった箇所だけ描き終わりたい。集中力を要する過程だった。もしかしたら、今回は勝負できるかもしれないという予感があった。一筆ごとに確信へと変わる。そうしたら、肉じゃがでもしようか。なんも要らないかと、笑う。自分を納得したかった。 母がここを去ってもうすぐ半年になる。忘れられない味を再び、思い出す。それでもう悲しくもならない。今はそんな気がする。季節は確かに巡った。母は僕の前に姿を現さなくなっただけで、まだどこかで呼吸す