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横浜市長選の報道を採点する

〇2021年8月22日投開票された横浜市長選挙は、元横浜市立大学教授の山中竹春氏(48歳)=立憲民主党推薦、共産、社民支援=が、菅首相が全力を挙げて応援した自民党公認の小此木八郎氏を破って初当選しました。50万票対32万票の大差で、自民党の惨敗。9月から10月にかけて自民党総裁選挙や衆議院の総選挙が迫る中で、日本の政局に大きな影響を与えることは必至です。そこで、朝日、毎日、読売、日経、東京の各紙の23日の朝刊をまとめて読み、この選挙結果の影響をどう見ているのか、比較してみました。

〇まず、扱い。日経が一面のサブにしている(トップは経済ネタ)ほかは、いずれも一面トップです。またこの選挙結果が菅首相の求心力を低下させ、解散戦略や自民党総裁選への取り組み方に大きな影響を与えることになったという見方も一緒です。菅首相の自民党の総裁任期は9月30日で、総裁選は9月17日告示、29日投開票の日程を軸に調整が進んでいるということです。しかし、今後の政局の具体的展望となると、各紙には微妙な食い違いがあります。そこへ、現在の衆議院議員の任期が10月21日であることが絡んできます。

〇この問題をめぐって朝日新聞は、「首相が当初描いたとされる総裁選前の衆院解散や、総裁選での無投票再選には反対論が根強く、衆院選前の総裁選実施と対立候補を擁立する動きが本格化しそうだ」と伝えていますが、総裁選での具体的な対立候補については触れていません。

〇一方、読売は「菅首相は10月前半の衆院解散を模索している」としています。菅首相は横浜市長選の大敗で「菅首相では衆院選は戦えない」との声が強まるのは不可避だとして、「党総裁選挙に勝利して求心力を回復したうえで、10月に衆院解散に踏み切る案を検討している」というものです。
読売はさらに別稿で、前回の総裁選で2位だった岸田文雄前党政調会長が出馬するかどうかが焦点だ、としています。

 〇毎日はニュースの本記の原稿では、どのような今後の見通しを持っているのか、判然としませんが、2面の大きめのコラム、「風知草」の山田孝男特別編集委員は中々鋭い論考をしています。山田氏は自民党の総裁は安倍前首相や麻生太郎副総理ら派閥の実力者の意向で決まるという、身も蓋もない現実を暴露したうえで、問題は安部、麻生氏が菅首相を見限って、岸田氏擁立に動くかどうかだ、としています。またしても岸田氏!やはり、岸田氏は人材なのか。
しかし、山田編集委員は、岸田氏は外相5年の経験もあり、期待する声もある、としながらも、新型ウイルス対策の実績がない、と指摘しています。そして厚生労働族の若手衆院議員は「首相を代えて改善する状況ではない」と言い切っている、と紹介しています。
さらに感染症を追い続けている前線記者も「今は戦争の真っただ中。それも手詰まり状態が極まった感がある。土地勘のない人が急に現れて動かせるような簡単な局面とは思えません」と言っているという。

〇横浜市民が賢く判断したように、菅首相の続投は論外ですが、では、そのあとをどうする、と言われても簡単に答えが出てきません。人材の乏しい、わが日本国の、それも2世、3世だらけの政界でリーダーを選ぶのは容易ではありません。

〇さて、見出しのテーマに戻って、各紙の報道を評価すると、それほど大きな差があるとは思えませんが、全部を読み合わせると中々参考になる情報が浮かんできます。ここで 、大事なことの紹介を忘れていました。8月26日号(8月18日発売!)の週刊文春。トップ見出しはなんと、菅9・6「首相解任」-横浜市長選敗北で引導―。この自信を持った報道が、横浜市長選報道で、ピカ一ですね!##

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