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山口・阿武誤給付事件 各紙のメンタルテスト

〇山口・阿武町が給費金4630万円を町内の男に誤って全部入金した問題で、町は5月24日、誤入金額の9割に当たる約4299万円を確保したと発表しました。誤って大金が振り込まれた町内の男は、海外のネットカジノで全部使ったと言っていましたので、問題の給付金はほとんど回収できないのでは、という見方も出ていました。このためほとんど①の新聞は、町が問題の給付金の9割を確保したことを大きく伝え、めでたし、めでたしの雰囲気です。
 
○しかしこの問題は、①町職員のあまりに簡単な事務上のミスによるものだけに、何故そんなことが起きたのか②事件が起きてからの処理がただしかったかー関係者も金の行く先もわかっていたのに、解決まで時間がかかりすぎではないか、などの問題が考えられます。
町が公金確保を発表した翌日の5月25日の朝日、毎日、読売、東京、日経の5紙を読み比べてみました。しかしこうした疑問に答える記事がない新聞がほとんどでした。
 
○ただ一つ、日経だけが、「4299万円確保も対応は後手」と挑戦的な見出しを掲げ、街の対応を真っ向から批判しています。まず阿武町が、誤給付した4月8日、誤給付を知って(銀行から教えられた)、容疑者に返還を求めましたが、断られましたその後、問題の金は容疑者がネットカジノの決済代行業者の口座に振り込みをつづけました。しかし日経は、金の返還を断られた、この4月8日の時点で、街が直ちに口座の金を差し押さえる法的手続きをtpるべきだったと批判しています。
 
・5月12日、容疑者に全額返還を求めて絵提訴
・5月18日 山口県警が電子計算機使用詐欺容疑で田口容疑者を逮捕
・5月20日 容疑者が町の支給を「認諾」(誤給付の金の返却を認める) 
 
○この給付金返却問題がごたごたしたのは、誤振り込みの回収には振り込まれた側の同意がいるという最高裁の判例があるためです。この判例の背景には資金の移動を迅速に処理するという金融機関の役割の保護があります(さすが資本主義国の最高裁!)。今度の事件では、田口容疑者が少額の税金を滞納していることに目をつけ、地方税法で認められている資金の差し押さえを活用して、田口容疑者の資金の動きを止めたことで、勝負あったと言えます。
 
○町の代理人をしていた弁護士が思いついた、お手柄だと想像されます(法律の素人は、とても考えつかない)。毎日新聞は、このことについて、町が「様々な法律を駆使し、あの手このテヲウチツヅケタ町の姿が浮かび上がる」と書いていますが、本当ですか?ニュースソースの弁護士から、町のメンツが立つように書いてくださいよ、と言われたというのが真相ではないですか。
 
○それはともかく、誤入金の当事者 が脱税状態にあるとは限らず(むしろ,稀れ)、折角の方法ですが、汎用性のある方法とは思えません。また田口容疑者は時間はあったのに、金はたいして使わなかったようです。今回、多額のご入金の給付金が返ってきたのは、町が運がよかったというほかありません。
 
○最後に、どうしてこんなことが町役場で起きてい待ったのか。日経は神戸学院大の中野雅至教授のコメントを紹介しています。「公金を扱う意識が薄く、基本的なチェック体制が欠如していたのではないか」フムフム、阿武町だけの問題ではなさそうだ。中野教授はさらに言います。「組織としての責任が問われる事案。町は経緯をきめこまかくせつめいすべきではなか」。

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