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自作ゲームのBGMがYouTubeでトラブルになった話

(この記事はおそらくあまり参考にならないと思いますので、予めご了承ください。筆者は愚痴が言いたかっただけですし、石橋どころか鋼橋をも叩いて渡りたいくらい神経質なくせに詰めが甘いのです。)

まず、著作権侵害などしていないことをほぼ確信しています。
『クラブ・パラダイス』の記事『日本語上手』の記事にも書いたことなんですが、BGMはすべてクラシック音楽で、音源は自分で打ち込みました。(一つだけパブリック・ドメインに入っていないピアノアレンジがありますが、CC BY 3.0のライセンスに従ってクレジット表記しております。)

それで、トラブルについてですが…まず、クラブ・パラダイスをエゴサしたら、実況動画を見つけたんです。本来は初めて実況してもらえて嬉しかったんですが、実際に動画を見たら、一部ミュートになってる部分がありました。なんとなく予想はついたんですが、その方のXのポストを遡ってみたら、案の定、YouTubeのContent IDのシステムに引っかかって、著作権の申し立てに遭ったそうです。


Content ID

実際に自分で音源のみの動画をYouTubeに非公開でアップロードしてみたところ、2つ引っかかりました。

引っかかったのはバッハのゴルトベルク変奏曲のアリアと、同じくバッハのインヴェンション第2番。

「元の音源」とされる演奏を検索して聞いてみたところ、同じ曲だから似てるのは当たり前なんですが、私のと違って打ち込んだ音源じゃないから機械的ではないので、ちゃんと聞けば別物だと分かります。なのにContent IDのAIに同じものだと判定されました。

ちなみにその二つの演奏はどちらも聞いたことがありませんし、演奏者の名前も初耳なので、影響を受けた可能性はないと断言できます。そもそもパブリックドメインの楽譜に従って抑揚なんてつけてないで打ち込んだだけの音源ですから…。Content IDのAIが悪いのか、著作権者がAIの設定をミスしたのか、それとも人の収益をぶんどるためにわざと引っかかりやすくなるように設定をしたのか、どうなのか分かりませんが、かなり不服です。

しかも実況してくれた方のミュートした部分のBGMは、私の方では引っかからなかったもの(スカルラッティのソナタ)もあるので、私が検証して引っかかったものを修正しても意味がないという、どうしようもない状況でした。

もちろん、異議を申し立てることはできますが、試しに異議申し立ての画面に入ってみると、自分だったらやるのが怖いと感じました。

  1. 不正に異議を申し立てた場合、YouTubeアカウントが停止される可能性がある」。ハッキリ言ってYouTubeでチャンネルが誤BANされる話は珍しくないですし、不正か不正でないか判断するのは誰?著作権者?YouTube側のAI?YouTube側の人間?

  2. 署名(必須)」「会社名やチャンネル名ではなく、ご自分の氏名(通常は姓と名)をご入力ください」。本名が申立人に見られるということですよね?嫌に決まってるじゃないですか。(しかも申立人は会社名しか書いてないのに不公平じゃないですか?)

  3. 取り下げるかどうかは相手次第らしくて、YouTubeに介入してもらえるとどこにも書いていません。本当は違うのに著作権を持っていると相手が主張し続ける場合、相手にとって不利なことが起こるのか?もしなかったら、向こうがちゃんとした会社じゃなかったら、ワンチャン収益をぶんどれるんだから取り下げてくれるわけがないよね?動画主の方が不利に思えて仕方ないです。

しかも、他人の演奏の録音を使っていないのはあくまで私自身の主張なので、私を信じて異議の申し立てをしてくれ、なんて言えるわけがありません。そもそも音源を打ち込んだ私自身だって怖くて異議の申し立てなんて無理です。YouTubeを信用していないし、相手に逆らった上で本名まで知られて何をされるか分かったもんじゃないので。

有名ゲームのBGMのケース

ちなみにToby Fox氏のUndertaleとDeltaruneもBGMの関係で実況動画などがContent IDの申し立ての対象になりやすいらしくて、公式アカウントでは、2年前にこういうポストがあります。(ちなみにその2本のゲームのBGMはおそらくすべてToby Fox氏のオリジナルです。)

異議の申し立てをすれば必ず取り下げてもらえるのでしてください、とのこと。そして、その二作のBGMの著作権を管理している会社(Materia Music Publishing)がBGMをContent IDに登録したのだが、オフにする選択肢がないとのこと。

ただし、Xにて「Undertale copyright」で検索すると、異議の申し立てをしても取り下げてもらえなかったと訴える人が少なくない様子でした。

MateriaのサイトのFAQページによると、ゲーム内のBGMを含まれる実況動画やRTA動画に対する著作権の申し立てに関しては、Undertale/Deltaruneの公式アカウントの主張と同じく、異議の申し立てをしてくださいとのことですが、ファンゲームの動画やカバーソングに対するものは誤動作ではないそうです。

Materia Music PublishingのサイトのYouTube FAQページより

Toby Fox氏のスタンスは、Materiaのと一致していると考えるのは自然だという人もいるかと思いますが、問題はUndertale/Deltaruneの公式アカウントのポストは、そういう異議の申し立てが却下されるケースについては一言も言ってませんでしたし、その後も(少なくとも私がこの記事を書いている時点では)言及するポストがまったくなかったようです。

しかも、よく読むと、2つ目のポストには「I'd rather have NO copyright claims whatsoever.」という言葉がありました。私の解釈が正しいのであれば、これは「著作権の申し立てなど一切ない方が望ましい」という、Toby Fox氏本人の意思表明だと思います。しかし、Materiaはファンゲームやカバー曲などに対しする著作権の申し立ては取り下げないと言っています。だから、混乱したり会社側とトラブルになったりしている人が少なくないわけです。

誰が悪いのか私には判断できないし、いろいろと事情があるかもしれないし、当事者ではないから誰かを責めるつもりもありません。ただ、こういう、「話が違うじゃん」って言いたくなるような前例を見ているから、なおさら異議の申し立てを勧めることなんてできないわけです。

某フリー音源サイト

じゃあ、BGMをフリー音源にすれば解決するんじゃね?と、最初私は思いました。それでも誤作動があるそうなので、BGMをフリー音源のものにするモードだけでなく、音楽が流れないモードも追加することにしました。

フリー音源は、某フリー音源サイトで人気なBGMを聞いてみると、有名なYouTuberさんがよく使っているものが多いので、少しは安心できると思って選びました。

だが私のその考えは甘かった。ホワイトチョコに練乳とキャラメルとメイプルシロップをたっぷりとかけたものよりも甘かったんです。『クラブ・パラダイス』のアップデートが終わってから、YouTubeで偶然そのサイトに関する動画がオススメに来たので、見てみたら、動画主とそのサイトがトラブルになったそうです。

トラブルを避けるために動画のリンクは貼りませんが、要約すると、サイト側は、動画主の動画に著作権の申し立てをして、収益化できなくしました。そして動画主が異議を申し立てたところ、サイト側は動画がライセンスの禁止事項に抵触したと主張して、異議を却下しました。その上で、該当する部分をミュートするか動画を削除するかしないと、そちらのチャンネルがペナルティを食らうことになってもこちらは責任を負わないから、と動画主を警告しました。

抵触したとされたのは、音源を不快なコンテンツに使用してはいけないという禁止事項だそうですが、私から見てその動画主のチャンネルが取り扱ってる題材は、不快に思う人もいるでしょうが、有害ではなさそうなので、厳しくない?と思いましたし、「あれ?私のゲームも規約違反になっちゃうんじゃ…?」って思いました。

ゲームの注意書きにも書いたんですが、『クラブ・パラダイス』はセンシティブな題材を取り扱ってますし、『日本語上手』も偏見の強いキャラクターが登場してます。伝えようとしたメッセージはなるべく健全であるように心掛けてはいますが、有害じゃなくても不快ってだけで違反になるのでは、私の作品もそのサイトさんからしたら間違いなくアウトでしょう。

なんなら食材の仕込みをして料理する動画でもそのサイトさんの音源を使えなさそうですが、普通に有名なYouTuberさんがずっと使ってます。もちろん料理動画にも使えないのでは厳しすぎるとは思いますが、その動画主の動画だって、魚や牛の血とか内臓とかより不快じゃないはずなんですけどね。

もちろん動画主にまったく非がないとは断言できませんが、その人が貼ったスクショを見た限りでは、某フリー音源サイトさんの態度があまりにもひどくて、こんな話を聞いたらもう怖くてこのサイトさんのものを使いたくないです。なので、ゲーム内のフリーBGMモードとそのサイトさんから借りた音源はすべて撤去しました。

私が取った対策

本当は誰にも私が最初に選んだ音楽を聴きながら遊んでいただきたいのですが、実況してくれる人に迷惑をかけたくもないので、音楽が流れないようにする機能だけは追加しました。多分これが一番安全だと思います(フラグじゃないことを祈る)

YouTubeの動画だったら、おそらくYouTubeのオーディオライブラリの音楽だったら使っても安全だろうとは思いますが、YouTube外でも使えるかは不明なので、ゲーム内に入れるのは怖いですし、問い合わせも正直言ってダルいので断念しました。というかYouTube外でも使えるなら、ぶっちゃけできるものなら自分の打ち込んだ音源をオーディオライブラリに入れてもらいたいものです…。

あと、自分は作曲はできなくはないですが、いいものは作れそうにないですし、結局私自身が積極的に自分の作品を守らないと、Content IDで私の曲を自分のものだと主張して人の収益をぶんどろうとする詐欺師に出くわしたらもっとめんどくさいですし、自分でお金を出さない限り、どこかの会社に管理してもらえるなどとても思えないし、管理してもらえたとして安心できるとも限らないですし、きっといずれは私が苦しむか、私の曲を使ってくれる人が苦しむか、の二択になってしまいそうです。ぶっちゃけいつか趣味で作曲を始めてもインターネットには公開したくないです。

有料サイトのロイヤリティフリー音楽だと安心って噂も聞いていますが、フリーゲームしか作ってないので、実況してもらえるのが嬉しいとは言え、人の実況動画のために私がお金を払うのはさすがに…。

私は小心者ですし、メンタルがやられやすいので、トラブルをできる避けるようにした結果、フリー音源サイトさんの音楽も使わないことになったんですが、いろんなゲーム制作者が使っていても特になにもないようなので、普通だったらここまで神経質にならなくてもいいかと思います。

しかし、効果音は短いからYouTubeではめったに引っかからないと思うので、利用規約のあまり厳しくなさそうなサイトのものを普通に最初から使っています。一作目では背景音としてループさせてたりしますので少々不安ですが…ひっかからなかったようなので今は放置です。

ちなみに、私がゲーム制作に使っているティラノビルダーは、コンフィグ機能?があって、コンフィグ画面を使えるようにすればBGMをミュートできるっぽいですが…そのコンフィグ画面のミュート機能だと、ミュートかどうかによって分岐するところを作る方法が分からないのです。というのは、私のゲームどちらもはエンディングによってクレジット動画が流れたりしますが、オリジナルバージョンは音楽に合わせて若干長いので、音楽が流れないモードのために短いバージョンを用意しました。だから、BGMのモードはシステム変数で管理して、そのおかげでモードによって違う動画ファイルを流れるようにできました。

Xのシャドバン

余談ですが、Xでもシステムの問題でちょっとしたトラブル?になりました。トラブルに遭ったのは実況してくれた方じゃなくて私ですが。

自分のポストがほかの人のタイムラインに流れないという「シャドバン」の現象がXにはあるらしいのですが、BGMの問題を発覚してからポストを連投してたせいか、6月9日と10日の二日間、そのシャドバンを食らったらしいです。(自分のポストを検索しても出てきませんでした。)

そのせいで実況してくれた方へのリプライが届かなくて、YouTubeの動画のコメントで連絡するしかありませんでした。

ついでに…YouTube側がYouTube上の著作権のトラブルに介入したケース

大企業が怖いので詳しいことは書けませんが、日本の某会社が一気に某YouTuberの100本以上の動画に著作権侵害の申し立てをしたせいで、急にそのチャンネルが削除される危機に瀕した、という出来事もあったと記憶しています。そのYouTuberさんはとある界隈では有名だそうなので、かなり大ごとになっていました。

その件は、最終的にYouTube側が介入して、そのチャンネルの動画が日本では視聴できなくすることでトラブルは解決したそうです。

日本と欧米では著作権のフェアユースに関する認識がかなり違うらしいので、難しい問題です。…エンタメ業界の闇深さはおそらく世界共通だと思いますが。

嬉しいこともあった

ネガティブなことばかり書いてしまいましたので、最後は嬉しかったことも書いて、できるだけ気持ちよくこの記事を締めます。

まず、初めてゲームに対するコメントをもらいました。しかも2件も。どちらも『日本語上手』に対するものでした。

そして、同じく『日本語上手』ですが、一週間経たないうちに100ダウンロードを達成しました!ちなみに『クラブ・パラダイス』の方は100ダウンロードまで一か月ほどかかりました。

それと、最初ノベコレさんの仕様を勘違いして、アップデートの審査中だと遊んでもらえないと思い込んでましたが、相変わらずアップデート前のバージョンで遊んでもらえるんですね。思ってたよりずっと気楽にアップデートできて驚きました。

ちなみに3作目はまだシナリオも始めてはいませんが、物語のあらすじはほぼ決まりました。休むと決めたのに、夜な夜なベッドの上で横になりながらゲームの内容を考えてしまいます。しかも3作目だけじゃなくて、ほかのプロットもついつい練ろうとしてしまってます。おかげで寝不足です。

クレジット

カバー画像:kalhhによるPixabayからの画像