能は止まらない?
これを僕が書いてよいのか迷うところですが、無責任な立場を利用して書いてしまうことにします。
能には一度始めたら途中で何が起こってもやめないという不文律があるそうです。本当でしょうか? お腹が痛くなってもやめないのでしょうか。身体の具合が悪くなって倒れたらどうするのでしょうか。やめないようです。「後見(こうけん)」と呼ばれる役目の人が舞台上にいるのですが、万が一何かあった場合は、代わって後の舞台を務めるそうです。
なぜ、途中で止めてはならないのでしょうか。能楽は神様に捧げる神事とゆかりが深いからでしょうか。将軍や大名にみせるものとして発展してきた歴史からでしょうか。理由を耳にしたことはありますが、はっきりしたことは分かりません。そういうものなのかもしれません。
災害が起こってもやめないのでしょうか。やめなかったという話を聞いたこともあります。理由は違いますが、タイタニック号が沈没をした際に演奏を続けた8人のアンサンブルのようです。
そんな覚悟を持って演じられている一期一会の芸術だと思うと、なおさら舞台ひとつひとつが貴重な体験だと思えます。
ただ、もしも今後そんなことが起こったら、とにかく避難をしてほしいです。能楽は能楽者に蓄積され受け継がれていくもの、その人自身が宝のようなものだと思います。
門外漢が不文律を文にしたものなので、そんな話もあるというレベルでお聞き流しください。
『ローリングサラリーマン日記』より
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