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環境価値(クレジット・証書)の概要

1. カーボン・クレジットの定義

「カーボン・クレジット」は、「ベースライン&クレジット制度」と「キャップ&トレード制度」とに大別されます。

「ベースライン&クレジット制度」とは、ボイラーの更新や太陽光発電設備の導入等のプロジェクトを対象に、それらが実施されなかった場合の排出量及び炭素吸収・炭素除去量(以下「排出量等」という。)の見通し(ベースライン排出量等)と実際の排出量等 (プロジェクト排出量等)の差分について、MRV(測定・報告・検証)を経て、国や企業等の間で 取引できるよう認証したものを指します。

カーボン・クレジット購入者はカーボン・オフセットに代表される自主的な活用や、カーボン・クレジットの種類によっては公的制度への活用も可能です。また、カーボン・クレジット創出者は、カーボン・クレジット販売収益を得ることができるため、排出削減・炭素吸収・炭素除去に対するインセンティブメカニズムの一つと考えることができます。

一方、「キャップ&トレード制度」とは、欧州や米国カリフォルニア州、中国、東京都・埼玉県等で公的機関により導入されている排出量取引制度のことです。

特定の組織や施設からの排出量に対し、一定 量の排出枠を設定し、実排出量が排出枠を超過した場合、排出枠以下に抑えた企業から超過分の排出権を購入する仕組みを指します。

2.カーボン・ニュートラル実現のためのクレジット・証書購入

カーボン・ニュートラル(以下、CN)を省エネ活動、再エネ活動やイノベーション活動で実現することは、手間もお金も多くかかります。
そのためクレジットを利用して計画的に削減することが、クレジット購入や証書購入のきっかけになっています。

3.カーボン・クレジットと証書の違い

出展:カーボン・クレジット・レポートの概要 経済産業省 2022年6月

基本的に、カーボン・クレジット はベースラインに基づく温室効果ガス排出削減量を「t-CO2」単位で認証し、購入者も「t-CO2」単位でカーボン・オフセット等に訴求するものです。

証書は再生可能エネルギー由来の 電力量・熱量を「kWhや kJ」単位で認証するものです。
加えて、その属性(発電日時、発電所、 発電方式等)を保証することで、その証書の購入者は実際にその電力を使わないとしても電力の環境価値を所有することができ、その分温室効果ガスを削減したと主張することができます。

日本においては、政府が管理する非化石証書や、 民間事業者により管理されるグリーン電力・グリーン熱証書の取引が行われています。

■国内クレジット・証書の比較表

(執筆者:中産連 主任コンサルタント 西川)

次回の連載記事では、排出量取引制度の「ベースライン&クレジット制度」と「キャップ&トレード制度」の特徴を比較分析します。


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