見出し画像

ピンクのナース服

私は現在就活中ですが、

職歴があり過ぎて履歴書に書いていない

色んな仕事を経験してきました。

そのうちのひとつ、

私が数年前にピンク色の

ナース服を着ていた頃のお話。

長文なので目次を使って

お読みいただいてもよろしいかと。

歯科助手

ハローワークからの紹介を受けて

働いた歯科医院。

自宅からチャリで15分という

抜群の近さも良かった。

しかし私史上、

ワーストNo.1の

ひどい職場でした。


入ってから数日は分からなかったのですが、

段々とその異常さに気付いたものの

働いたからには歯科助手に関する資格を

この先取ろうとまで私は真剣に考えていたので、

それはそれは真面目に働いていました。

予約受け付け対応や、カルテや器具など診察の準備、器具の消毒、歯のレントゲン撮影の補助、

歯科健診の補助、歯科健診のお知らせのハガキの作成…etc。

毎日が目まぐるしくて、

あっという間に2ヶ月が過ぎたころ。。。


その歯科医院は平日の木曜日と日祝日が

休診日だったので、

セラピストでもある私は休日に自宅のリラクゼーションサロンを開けて施術を提供していた。

ある日、ご近所の先輩ママさんが受けに来られて

私が「◯◯歯科で働いている」

話した途端に顔色が変わった。

そして衝撃のひとことを耳にする。

「あの歯医者は本当に酷いから、

すぐにでも辞めた方がいいよ。

私は1週間で辞めた。」

先輩ママさんはその時

別の仕事をしていたが

元々は歯科助手さんで、

他の歯医者でも働いた経験がある

ベテランさんがそんな短期間で

辞めたのには正直驚いた。

「器具の扱いも有り得ないくらい

粗雑だし、院長夫人の性格がかなりキツい。

一刻も早く辞めた方がいい。」

会話の中で何度か退職を薦められた。

更には、その頃の記憶を

思い出してしまったのか

「気分悪くなってきた」

先輩ママさんが言うくらい

かなりイヤな思い出だったようだ。

今まで他の歯医者でのお仕事経験がまったく無かった私は、

それが普通なのだと思っていたのだ。

「分かりました。早めに辞めることを考えます」と答えて、

帰り際には笑顔に戻った先輩ママさんを

見送った私だったが、

それからまた2ヶ月ほど

根性で働いていた。


そんなある日…

自宅に居た時に義母から電話がかかってきた。

「Marion25ちゃん大丈夫?

あの歯医者の院長夫人がめちゃくちゃ気がキツいって有名やから、しんどくなってないかと思って。。。」

愚痴や弱音を吐かない私を心配して、

わざわざ様子を聞くために連絡をくれたのだ。

(この頃初めて分かったのは義母が勤めている

飲食店オーナーさんと、私が働いていた

歯医者の院長夫人は遠い親戚だった。

私が歯医者で働いていると義母が職場で話して、その情報がまわってきたようだ。)

「あはは。今のところ大丈夫ですよー。

他の歯科衛生士さんとか優しい方もいらっしゃいますし、なんとか頑張りますー」と、

きわめて明るく対応した私。

資格も何も取らないうちに辞めたら、

私自身が「負け」を認めてしまうようなのが

本気でイヤで辞める気配は微塵も無かった。

負けず嫌いな性格が私を突き動かしていたのだ。

しかしこの選択は、大きく

運命を動かすことになる。


実母が国の難病に指定されている

「筋無力症」という病にかかる。

これは免疫系の病気で、

自分の免疫細胞が誤作動を起こして

自分の正常な細胞を壊してしまう病。

最初の症状は片方のまぶたが全部上がらないので

ただの疲れ目かと思っていたら、

どんどん症状が悪化するため検査した結果

まさかの難病と診断された。

父は他界しており、兄と母は昔色々とトラブルがあり現在は親子間は疎遠のため、

母の付き添いが出来るのは私しか居ない。

大きな病院で担当医の説明を受ける。

「今後病状が進行していくと、

身体のさまざまな箇所の筋肉が動かなくなる。

心臓を動かしているのも筋肉なので、

その筋肉が動かなくなる可能性も考えられる。(=死)

それを防ぐためにも、誤作動する免疫細胞の働きを抑える必要がある。

その抑えるための薬が効くか効かないかは

患者さんの体質との相性もあるため、

万が一の事も考えて1ヶ月検査入院して下さい。」

その同意書などあらゆる書類に署名をしたり、

色んな手続きをするために仕事が平日の

お休みの時には、出身地の保健所や市役所、

そこからまた電車で移動して

母が入院する病院へ何度も行き来した。

母の付き添いのために、

仕事を辞める決断をしたのは

もう働き出して半年近く経つ頃だった。

まだ保育園の年長さんだった息子を

お見舞いに連れて行った事も何回かある。

どうか元の母の状態に戻って欲しいと

色んな思いを抱えながら、

私は不眠症に近い状態で

なんとか毎日を過ごしていた。

私がやっとの思いで退職希望の話をした時に、

院長夫人が放った言葉が印象的だった。

「嘘でしょー?」


私が再就職手当てをもらって

そんなに経たないうちに

退職の話をして来たもんだから、

まるで私が大嘘つきの大罪者かのような

眼差しで見ていたのを今でも忘れない。

しかし!

この翌日、面白いことが起きる。


院長夫人に休憩室へ来るように呼び出された私。

「昨日はごめんなさいね。

お母さんのご病気は本当なのよね…

目の所に症状があるのを夢で見たのよ。」

急に、しおらしく私に詫びる夫人。

私は戸惑いながら内心、

『いやいや、ちょっと待ってよ。

私がそれ(母の症状など)を昨日ちゃんと話したんやけど?はぁー??!

今さら何言うてんのー?!』

壮大に突っ込んでいる心の中の私(笑)

さらに続けて話し出す院長夫人は

どうやら、予知夢を見たり、

神様のお告げなども夢で見ることが出来ると言う。

『私が言うことは信じないのに、

その神様の言うことは信じるんや』と、

私はもう呆れて「はぁ…」としか言えなかった。

ちなみに院長夫妻は二人とも歯科医で

奥さんの実家である歯科医院に、

婿養子としてご主人はやって来たのだ。

いわゆるマスオさん状態のご主人は無口で、

奥さんはめちゃくちゃお喋りで気がとんでもなく強い。

いわゆる女帝。


患者様が診察台で横になっている状態で

院長夫人は診療をしながら、

横に付いているお局さん的な存在の

超がつくほどベテランのご高齢歯科衛生士さんと二人で、

あと4人いる他の歯科衛生士さんの悪口を、

患者様に丸聞こえでも

平気で話すような人だった。


人格を否定したり、罵ったり、

見下したりするのが得意な人種。

私は後にも先にも、

あそこまで酷い人間に

出会ったことがない。


本当はすぐにでも辞めたかったが

そうはいかず、

私が退職する日までの間に

新しい歯科助手さんが来て慣れるまで

時短勤務や出勤日を減らしてもらった。

またその新人さんのエピソードが

実はあるが、また別の機会にしよう。

今となれば笑い話にも出来るが、

私の中ではかなり衝撃的な

歯科助手としての約半年間の記憶。

現在、成長途中。まだまだ進化し続けます!サポートよろしくお願いいたします!