妻から「もしも私が総理大臣になったら、あなたに不都合はある?」と言われたら  映画『総理の夫』を見て感じた、駐夫と「ファースト・ジェントルマン」の共通点

 初めての投稿になります。インドネシア・ジャカルタ在住の駐夫、祐輔と申します。よろしくお願いいたします。

 私がインドネシアに引っ越してきたのは5月末。「さあ、初めての海外生活頑張るぞ!」と意気込んでいたところ、1ヶ月もしないうちにCovid-19が大流行し、7月中旬にはワクチン接種のため一時帰国となりました。(10月下旬に再びインドネシアに戻れました)

 帰国中は、特にやることもなかったのでちょくちょく映画を見ていたのですが、その中で『総理の夫』という映画を見て「駐夫にも通じる部分があるなあ」と感じたので、映画を紹介がてら記事にしてみたいと思います。映画を見てから少し時間が経っており記憶があやふやなので、その辺り同名の原作小説(原田マハさん著)の文庫版で補っている部分もあります。映画と若干内容が違う部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

自己紹介

 まずは軽く自己紹介を。
 大学を卒業後、2011年から記者として働き始めました。これまでの赴任地は青森→福島→三重→神奈川。妻のインドネシア赴任に合わせ、配偶者同行休職制度を利用して2021年からジャカルタで生活しています。
 

 妻とは初任地の青森で知り合い、2015年に結婚。お互い転勤族のためこれまで同居したことはなく、初の同居生活を海外で経験するという滅多にない機会をもらえました。


きっかけは、「ファースト・ジェントルマンに学ぼう」

 さて『総理の夫』ですが、ざっとしたあらすじは以下の通りです。

 20××年、相馬凛子(りんこ)は史上初の女性総理大臣に選出された。鳥類学者の夫・相馬日和(ひより)は、「ファースト・ジェントルマン」(ファースト・レディの男性バージョン)として妻を支えることを決意する。しかし夫・日和の生活は一変。仕事上の支障はもちろん、日課にしていた早朝の野鳥観察もままならないなど戸惑う日々を送る。そんな中、凛子を総理の座から引き摺り下ろそうと陰謀を企てるものが現れ…。

『総理の夫』 予告編

 映画では総理となる相馬凛子役を中谷美紀さん、夫の日和役を田中圭さんが演じています。妻を支える身である駐夫として、(フィクションの中ではありますが)ファーストジェントルマンから学ぶべき点があるかもしれないと考え鑑賞してみようと思い立ちました。


「ファースト・ジェントルマンあるある」に共感

 実際に鑑賞してみると学ぶ点…というよりは、「こういう場面、駐夫にもあるなあ」「この時の日和の気持ちは、分かる気がする」といった共通点、共感するポイントが多くありました。具体的に2点挙げてみます。

①妻の仕事が理由で、自分の仕事やプライベートに制限がかかる
 あらすじでも少し書きましたが、凛子が総理大臣に就任すると日和も一緒に総理公邸に引っ越すことになり、日課だった毎朝の野鳥観察ができなくなってしまいます。職場への通勤も、凛子が所属する政党のスタッフがずっと付き添いで送迎。それどころか、居場所を確認できるようにと常にGPS発信機を持つよう言われます。同僚と飲み会どころか、気軽に街に出かけることもできません。また、総理となった凛子の外遊に同行したり、海外首脳らとの晩餐会へ出席したりと、仕事を休んで公人として振る舞うことも求められます。

 これは、私も「ストレス感じるだろうな」と、とても共感できるポイントでした。もちろんインドネシアで生活していて日本ではできない経験ができ楽しめている部分もあるのですが、好きだったお店のランチを食べることができないとか、趣味の書店巡りができないとか、日本では当たり前にできることができないと、ちょっとしたことでもストレスを感じてしまいます。

 仕事面に関しては、私は休職を制限とは捉えておらず「仕事している時は中々取れなかった読書の時間が、まとまって取れて嬉しい」くらいのテンションなのですが、配偶者の転勤に同行して仕事を休むこと(または辞めること)などの制限で、自分の思い描いていたキャリアプランが実現できずストレスを感じてしまう人もいると思います。


②妻が仕事で忙しそうにしていると、中々相談ができない
 作中には総理大臣の凛子は全世界を飛び回ったり、連日夜遅くまで公邸でスタッフと会議したりするなど、忙しく仕事している描写が何度も出てきます。日和は良く言えば「優しい」、悪く言えば「優柔不断」な性格のため、凛子に相談したいことがあっても仕事が忙しいことに配慮してか中々言い出せず、ウジウジと悩んだり、1人で解決しようとしたりする場面が見られました。

 この辺りは個人の性格の問題なのかもしれませんが、同じように悩むタイプの私には共感ポイントでした。最近は在宅で仕事していることも多い妻ですが、集中して仕事をしていたり、忙しそうに各所に電話をかけていたりする妻を見ると、後でいいやと自分の相談事を先延ばしにしてしまう傾向にあります。

 先延ばしにしてでも相談できたらまだ良い方で、自分が駐夫期間を利用してやりたいことを見つけたため、妻に話してみようかなと思っても「妻に相談して悩ませるくらいなら、自分のやりたいことを我慢した方が良いかな」と思い、結局チャレンジせずに終わったこともありました。

駐夫だけではない

 と、ここまで駐夫の共感ポイントを書いてきましたが、ふと「これは男性だけが共感することではないな」と気付きました。ファースト・レディであろうが、駐妻であろうが仕事やプライベートに制限がかかったり、相談したい時に配偶者に頼りづらい状況であったりすればストレスは感じる。考えてみれば当たり前のことですが、恥ずかしながら自分が経験し、文字にしてみるまで考えたことがありませんでした。


 経験しないと実感できない、というのは記者としてどうかと自分でもどうかと思いますが、経験に勝るものもないと思うので、今後も駐夫の日々の生活で感じたことをnoteで書いていければと考えています。


宣伝ではないけれど…

 そんな映画『総理の夫』はDVD・Blu-rayが2月に発売、1月下旬からレンタル開始とのこと。原作小説は Amazonの電子書籍で購入できます。興味を持たれた方がいらっしゃれば、ぜひご覧ください。(本当に回し者ではございません)

 映画は特に興味ないです、という方にもmiwaさんの主題歌は一度だけでも良いのでぜひ聴いてみてください!これまでの可愛らしい感じのmiwaさんとは、また違った一面が見られるかと思います。

miwa『アイヲトウ』


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