中央軒煎餅 ‐1923年創業-
煎餅屋が本気でつくるライスコロッケ
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煎餅屋が本気でつくるライスコロッケ

中央軒煎餅 ‐1923年創業-


表面はサクサク、中はモチモチ、そしてチーズはとろ~り

2021年10月、遂にその日が訪れた。私たち中央軒煎餅の工場は、関越自動車道・上里サービスエリアのすぐ横にあり、その工場にて毎月「感謝祭」と称して特売会を行っています。その感謝祭にて、揚げたてのライスコロッケを2日間限定で販売しました

えっ!ライスコロッケ⁉ どうしちゃった?

そんな風に思われるかもしれませんが、私、山田(代表取締役)は真剣です。なぜライスコロッケを販売することになったのかは後述しますが、どんなライスコロッケだったのか、お客様の反応はどうだったのか、まずはそこからお話を始めたいと思います。

皆さんそもそもライスコロッケに馴染みはありますか?

ライスコロッケは、イタリアのローマ、ナポリ、シチリアなどの郷土料理の一つで、お米をおにぎりのように丸め、その中にチーズを入れ、衣をつけてこんがり揚げたものです。

私たちが作ったライスコロッケも基本的にはおにぎりの中にチーズを入れ、衣をつけて揚げたものですが、普通のライスコロッケと少し違うところがあります。

まず、お米はうるち米ではなく、もち米であること。そして、衣はパン粉ではなく、砕いたあられやおかきであること。これにより、表面はサクサク、中はモチモチ、そしてチーズはとろ~りの、煎餅屋ならではのライスコロッケが生まれました。

私たちが開発したライスコロッケは3種類。
1.オニオンマッシュルーム&チェダーチーズ
2.トマトベーコン&ゴーダチーズ
3.抹茶&ビターチョコレート

1と2は、蒸かしたもち米にトマト&ベーコンやマッシュルーム&桜えびを混ぜて、中心にはチーズを。3はもち米に抹茶パウダーを混ぜて、中心にはチーズの代わりにチョコレートを入れています。この3種をお客様の目の前で揚げて、カップに詰めて販売しました。

この日はテスト販売として初めてお客様に召し上がっていただきました。自分たちとしては美味しいものができたと思っていましたが、実際お客様は何と仰るのか、どんな反応をされるのか、正直ドキドキでした。最初のお客様がアンケートを持って帰ってこられて、「美味しかったよ」と言われた時は、嬉しかったという気持ちももちろんありましたが、安堵感の方が強かったです。結果的には、2日間で多くの方から美味しかったという声をいただき、アンケートでも特にトマトベーコンとオニオンマッシュルームは高い評価をいただきました。普段辛口の社員の方からも「本当に美味しかった!」という感想をもらうことができ、全く新しい、未知の挑戦をここまで形にできたことに対する達成感とこのライスコロッケという商品の可能性に対する期待感を感じました。

揚げたてのライスコロッケを提供


なぜ煎餅屋がライスコロッケ⁉

ところで、なぜ煎餅屋である私たちがライスコロッケを販売することになったのか?これまでに私が書いたnoteの記事をお読みいただいた方はなんとなく想像がつくかもしれませんが、今回初めてお読みいただく方からすると、「何で?」という感じかもしれません。

少し前に私が書いた、「スープにあられ? ママ・パパの朝のイライラを解消!(アラレ・ジャンピン!開発ビハインドストーリー)」という記事の中でも触れていましたが、日本の食料自給率が低い、という日本社会の課題に対して、私たちは煎餅屋として何かできることがあるのではないか、と今考えています。「いやいや、小さな煎餅屋が何かしたところでそう簡単にはこの現実は変えられないよ。」そのように普通考えると思いますし、その通りなのかもしれません。でも私たちは、何か少しでも変えられることを見つけてみる、できることをやってみる、THINK BIGでありたいと思っています。なぜなら、それは社会に貢献することであるとともに、ビジネスチャンスでもあると思っているからです。

では、食料自給率を少しでも高めるために、何ができるのか?

そもそもなぜ日本の食料自給率は低いのか?日本の現在の食料自給率は、カロリーベースで37%、生産額ベースで67%。ところが、1965年度には、カロリーベースで73%、生産額ベースで86%でした。(出典:農林水産省HP) 
なぜこの半世紀でここまで食料自給率が低下したのか?その理由として、お米の消費量が減少したことが挙げられています。お米の国民一人当たりの年間消費量は約50年間で半分以下になりました。(1962年度118.3kg、2020年度50.7kg。出典:農林水産省HP)

ですので、私たち煎餅屋が主原料として使っているお米を消費する機会を新しく生み出す、または増やすことがやはり私たちが最も貢献できることだと考えました。

どうしたら食料自給率に影響を与えられるほどの機会を作り出せるのか?

一番近いのは、ファーストフードのように私には思えました。この50年で大きく変化した産業です。ですので、米を使いながらも、現代のライフスタイルに合った、ファーストフードを作り出すことをTHINK BIGに出来ないかと考えました。そこで行き着いたのが「ライスコロッケ」でした。

煎餅の弱点を克服するには

実はこのライスコロッケですが、私は2019年には既にプロトタイプを作っていました。その時のコンセプトは、「生×洋×塩」でした。「生」は生菓子、「洋」は洋菓子/洋食、そして「塩」は塩味です。

お煎餅やあられは、焼き菓子で、和のお菓子です。私は、その反対、つまり焼き菓子ではなく、和ではないものを開発したいと当時考えていました。そのきっかけとなったのは、2016~2018年頃に同世代の和菓子屋さん達と一緒に百貨店催事に出店していた時に、生菓子の強さをこれでもかというぐらい見せつけらえたことでした。生菓子の持つ、瑞々しさ、ジューシーさ、柔らかさは本当に魅力と誘惑が強いと実感しました。一方、煎餅は言わば保存食。極限まで水分を飛ばしています。今日中に食べないといけない生菓子と3カ月日持ちがするお煎餅、どちらを今食べたいかと聞かれたら、DNAに刻まれた本能が生菓子を選択すると思います。これをわかりやすく例えると、鉄板でまさに今焼いたばかりのステーキとビーフジャーキーの両方を目の前に出された時に、どちらを食べたいと思うか?そんな違いです。そういうわけでこの頃から生菓子を開発したいという思いが私の中でどんどん強くなっていきました。

揚げたては格別の美味しさ!

米を使った生菓子というと、お団子や大福などがあります。でもお団子も大福も既に多くの和菓子屋さんが作っています。ここで勝負しても勝ち目はないように思います。私たちは煎餅屋ですので、煎餅屋らしく塩味の効いたお菓子で勝負したい。そして煎餅とは対極にあるようなモダンで、洋風なものが面白いのではないかと考え、ライスコロッケというアイディアが浮かんできました。

試作は自宅のキッチンから

当時、ライスコロッケを開発したいと社内で提案しましたが、誰も本気でとらえてくれる人はいませんでした。面白いことをやろう、面白い商品を作ろう、という風土もまだ今のようにはなかった時です。自分のプレゼンも十分でなかったのだと思います。そこで、工場からお米やあられ、桜えび、チーズなどを持ち帰ってきて、自宅のキッチンで試作を自分で作ることにしました。

自宅キッチンでの試作

味をイメージする際に参考になったのは、「きりのさか」のRice Palette。玄米生地にトマト、ベーコン、パルミジャーノ・レッジャーノを練り込み、トッピングして生まれる濃厚なRice Paletteの味わいがスタートラインとなりました。そこから、鍋で焚いたもち米に、桜えびやチーズ、トマトやベーコンなど、どの素材を、どの分量で、どんな組み合わせで混ぜ合わせたら良いのか、何度も試しました。混ぜ合わせる時もあまり混ぜ過ぎるとお餅になってしまうので、どの程度にしたら粒感が残せるのかも試行錯誤でした。周りのあられ・おかきの衣は、すりこぎ棒で細かく砕いて、その細かさも色々と試しました。

初期の試作品

この自宅キッチンで開発したプロトタイプは2019年には一旦完成し、さらなる開発と販売の機会を私の中では伺っていました。そして、2021年2月のDAY1(戦略策定会議)と4月のApril Dream(PR Timesの企画)で夢を宣言したことから、本格的な開発が再スタートすることになります。そこから半年かけてテスト販売をできるレベルまでの商品化を実現し、10月に販売したことは前述の通りです。この半年間も様々な試行錯誤があったのですが、それはまた別の機会にお話できたらと思います。

テスト販売ではたくさんの嬉しい声をいただけたものの、実はまだ改良の余地あり。本格的な販売に向けてチャレンジは続いていきます。乞うご期待ください。

中央軒煎餅 ‐1923年創業-
おかき革命!まもなく創業100年を迎えるにあたって、これまで大事にしてきた伝統的なおかきづくりを継承しながらも、新しいおかきの時間を提案していきたいと考えています。【公式HP】https://www.chuoken.co.jp