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【会計】ステーブルコインを用いた取引に係る基準開発の進め方、検討─ASBJ、実務対応専門委

去る8月9日、企業会計基準委員会は第148回実務対応専門委員会を開催した。
第45回企業会計基準諮問会議(2022年8月10日号(No.1652)情報ダイジェスト参照)において「資金決済法上の『電子決済手段』の発行・保有等に係る会計上の取扱い」を新規テーマとすることが提言され、第484回企業会計基準委員会で了承されたことを受けたもの。

■概 要

今回の新規テーマは、改正資金決済法(来年6月までに施行予定)で定められた「電子決済手段」、すなわち、法定通貨と価値を連動させたステーブルコインを用いた取引が対象となる。
具体的には、同法2条5項各号に規定するものである。1~3号については、法定通貨による償還が約されており、価格変動が想定されない。なお、3号の「特定信託受益権」は特定信託会社が発行者となり、信託財産を預貯金により運用するものとされる。そのため、受託者側の発行および保有の取扱いが基準開発の対象となり得ると考えられる。
一方で、4号は法定通貨による償還が約されておらず、現行法上は暗号資産に該当するものの、詳細は今後内閣府令で指定するとされている。

■今後の進め方

前記を踏まえ、まず1号~3号の電子決済手段の発行・保有等に係る会計上の取扱いについて検討を行い、3号については、受託者の会計処理を基準開発の範囲とするかどうかも検討することが考えられる。4号は内閣府令の公表後に検討の要否を判断する。
専門委員からは「1号~3号を4号に先駆けて検討することで、手戻りになる可能性はないのか」との意見があった。事務局は「今回の提言では、改正法の施行までに1~3号に係る会計処理の開発が求められたため、先行して基準開発を検討すべきと考えている」と回答した。

■会計処理

⑴ 発 行

1号・2号については、金融負債の定義を満たすかどうかを検討したうえ、満たす場合は、企業会計基準10号「金融商品に関する会計基準」および会計制度委員会報告14号「金融商品会計に関する実務指針」に従った会計処理の可否が論点となると考えられる。3号については、信託の受託者側の会計処理を定める場合、金融商品会計基準等に加え、実務対応報告23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」における会計処理を参照しながら取扱いを検討することが考えられる。

⑵ 保 有

1号・2号は金融資産に該当するか否か、3号は金銭信託の受益権として処理できるかが論点となると考えられる。また、具体的には次の取扱いについて検討する。

① 預金と同様に現金同等物として取り扱うかどうか
② 時価評価の対象とするか、時価評価の対象としない場合に貸倒引当金等の評価減の対象とするか
③ 発生および消滅の認識時点


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