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【会計】旬刊『経理情報』2023年6月10日号(通巻No.1679)情報ダイジェスト

【会計】JICPA実務指針等の移管プロジェクト、検討─ASBJ

去る5月16日、企業会計基準委員会は第501回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■金融商品の減損

第199回金融商品専門委員会(2023年6月1日号(No.1678)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ2を採用する金融機関における直接償却の取扱いについて、審議が行われた。
事務局から、国際的な比較可能性の確保と実務への影響を踏まえて、直接償却に関するIFRS9号「金融商品」の定めを取り入れる等の案が示された。
委員からは、案に賛同する意見が多く聞かれた。

■電子決済手段の発行・保有等の会計上の取扱い

前回の親委員会(2023年6月1日号(No.1678)情報ダイジェスト参照)に引き続き、資金決済法上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱いに関する実務対応報告等の文案について、審議された。
委員から特段の異論は聞かれず、次回(5月29日開催予定)に公表議決する予定。

■パーシャルスピンオフの会計処理

第103回企業結合専門委員会(2023年6月1日号(No.1678)情報ダイジェスト参照)に引き続き、パーシャルスピンオフの会計処理について、一部留保の株式分配(按分型)を行った場合におけるスピンオフ実施会社の個別・連結財務諸表の会計処理に関する審議が行われた。
そのうち、個別財務諸表の会計処理について、事務局から、配当財産を時価ではなく帳簿価額で、その他資本剰余金等を減額する取扱いを、「完全子会社について子会社株式の分配を行い、その結果、当該株式が子会社株式に該当しなくなる一部留保の株式分配(按分型)についても行う」とする案が示された。
委員からは、「対象を完全子会社に限定する必要はないのでは」との意見が聞かれた。

■JICPAが公表した実務指針等の移管

日本公認会計士協会が公表している会計に関する実務指針等を、ASBJに移管するプロジェクトについて、審議が行われ、次の事務局案が示された。
会計に関する指針のみを扱う実務指針等についてはすべて2024年3月までに移管する。
それ以外の実務指針等は移管の対象としないが、これらのうち、継続企業と後発事象については実務指針等の移管に係る実行可能性の調査研究を実施し、2024年6月までに完了する。
委員からは、おおむね賛同の意見が聞かれた。

【会計】POCI、開示について検討─ASBJ、金融商品専門委

去る5月24日、企業会計基準委員会は第200回金融商品専門委員会を開催した。
金融資産の減損に関する会計基準の開発について、次の事項の検討が行われた。

■購入または組成した信用減損金融資産の取扱い

ステップ2を採用する金融機関における購入または組成した信用減損金融資産(以下、「POCI」という)の取扱いについては、信用減損金融資産に係る利息収益の認識の審議で整理する必要があるとの意見が聞かれていた。
IFRS9号「金融商品」では、POCIの償却原価には、信用調整後の実効金利を適用しなければならないとされているが、その実効金利の算出には、システム上のデータ連携などの実務上負荷が生じる。これは、実効金利法による償却原価法の採用に関する審議での論点(以下、「本論点」)と共通しているとの事務局分析が示された。
そのうえで、POCIに関するIFRS9号の定めは、ステップ4を採用する金融機関における定めを検討したうえであらためて検討するとしている本論点と、あわせて検討するとの案が示された。
専門委員からは、事務局案への賛意が多く聞かれたが、「購入と組成を分けて検討すべき」との意見があり、事務局から「今後、より深掘りして検討していく」との回答があった。

■開 示

ステップ2を採用する金融機関における開示(注記事項)に関してIFRS7号「金融商品:開示」における信用リスクおよび予想信用損失に関する開示の定めの取り入れ方について議論された。
事務局からは、IFRS7号の開示をすべて取り入れて整合的なものとする基本的な方針が示された。そのうえで実務上の困難性が特に高いと思われる開示項目について、特に利害関係者の関心が高いものに焦点を当てて個別に検討するとの案が示された。
専門委員から、個別に検討すべき項目として、予想信用損失から生じた金額に関する定量的情報および定性的情報の「金融商品のクラス別に、期首残高から期末残高への調整表を用いた損失評価引当金の変動および当該変動の理由の説明」および「金融商品の総額での帳簿価額の著しい変動が、損失評価引当金の変動にどのくらい寄与したのかの説明」、信用リスク・エクスポージャーの「金融商品の区分別、信用リスク格付けごとの、金融資産の総額での帳簿価額ならびにローン・コミットメントおよび金融保証契約に係る信用リスクに対するエクスポージャーの開示」、「財務情報以外の書類への参照」等が挙げられた。

【会計】ISSB公表の情報要請および公開草案、紹介─SSBJ

去る5月18日、SSBJは第13回サステナビリティ基準委員会を開催した。
最近ISSBがコメントを求めている次の公表物について、説明が行われた。

具体的なコメント内容については、次回以降審議される予定である。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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