「この経験を糧に」 4年 吉田圭汰

「この経験を糧に」

4年　法学部　吉田圭汰

最後の公式戦、私はメンバー入りを果たせず選手を送り届けた。
当日は天候に恵まれず、ピッチコンディションは悪かった。
この試合を落とせばチームはリーグ降格の危機、私はプレーしやすい環境を作るためにグラウンドに溜まった水を掃いていた。

これが最後かと思うと悔しい気持ちが込み上げる中、ふと顔を上げると両親が観客席に座り私の姿を見ていた。
その瞬間、私は堪えた気持ちを抑えることができなかった。

チームは試合に勝ち、1部残留を決めたものの素直に喜べない自分がいた。

今後、この経験は忘れることなく鮮明に覚えていると思う。そのくらい自分にとって忘れることのできない時間であった。

大学サッカーに挑戦した背景は、自分がこの環境で活躍したいという思いが1番であった。
入部前の練習参加では、全くと言っていいほど歯が立たずやっていけるか不安であった。
ただ、健さん（佐藤健総監督）から入部の許可を得て、4年間サッカーに打ち込むことができるとなったとき、挑戦してやろうと覚悟を決めて入部を決心した。

入部当初は、苦労することも多かったが先輩や指導者、自主練に付き合ってくれる同期に恵まれ、成長できた。毎日、練習後遅くまでグラウンドにいてサッカーをできたことは今でもいい思い出であり、成長を実感できることが何よりも楽しかった。

しかし、現実は甘くなかった。
同期はIリーグ、関東リーグに出場し自分とは遠い存在になっていった。そこで悔しいとかそういう感情になるも、行動に移すことのできない自分がいた。
3年では本当に無駄な時間を過ごしてしまったと思う。

就職活動や授業、何もかも終わりあとはサッカーに打ち込むだけとなったとき、私は腐りかけていた。
1年の頃の思い、目標を達成するには不完全なものでありながら、精神は完全燃焼していたのだ。

ただ、何度も悔しい思い、やるせない気持ちを噛み締めてきた。それなのに自分は行動に移せない、現実を見て見ぬフリをして過ごす、そんな自分に飽き飽きした。
もう一度、1年の気持ちをと思ったがそれも難しかった。だから、最後は笑って終わるためにサッカーを楽しむことを心に決め、自分はグラウンドに立ち続けた。

そんな気持ちの切り替えは、日々の生活の変化にも繋がった。大学2年までの熱が戻ったのか色んな試合映像を見て学んで、練習でやってみる、そんなことが多々増えていったのだ。

実際、プレーでも反映されサッカーが楽しくて仕方なかった。
このとき、引退というものが少しだけ寂しくなりつつあった。

ただ、調子がよくてもこれまでのプレーで信頼をつかめていない自分は、試合での起用はなく引退を迎えた。

もう少しはやく気持ちの切り替えができてたらとかそんな後悔は正直ない。
自分は、4年間を通して頑張りきれない、それが自分の弱さでサッカー人生の結末は悔しさ、不甲斐なさで終わるのが必然であったと思う。

「この経験を糧に」

今の私は、大学4年間で学んできたこと、経験したことを人生の教訓として前に進み続けたいと思っている。
誰にも味合うことのできないあの瞬間をターニングポイントに、私はこれからの人生を楽しみたい。

最後に、これまでサポートしてくれた家族、4年間共に闘ってくれた中大サッカー部の人たち、自分がここまでサッカーをできたのも色々な方々のおかげです。
本当に感謝しています。
ありがとうございました。

◇吉田圭汰（よしだけいた）◇
学年：4年
ポジション：MF
前所属：中央大学附属高校

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