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仮設機材(足場材)の安全率とは?求め方や法的根拠を解説 2024/4/25

安全率とは何かを知っていますか?安全率は仮設機材(足場材)を安全に使用するうえで重要なものです。今回は仮設機材(足場材)の安全率とその求め方や、法的根拠についても解説します。

本記事を読むことで、仮設機材(足場材)の安全率を理解することができ、仮設機材使用時の事故・災害を減らすことにつながるでしょう。


1.仮設機材(足場材)とは?

仮設機材とは、建設現場などで使用される製品、または資材のことをいいます。作業床として使用される足場材や材料の揚重(ようじゅう)に使用されるリフトやウインチなども仮設機材の一種です。

仮設機材は、マンションや病院などの高層建築物から木造住宅などの低層建築物まで、施工時に幅広く使用されます。

また、仮設機材は建築の現場のほかに、高速道路やトンネルなどといった土木分野でも使用されます。具体的には、建築の現場と同様に、作業員の足場としてやコンクリートを打ち込むための型枠などに使用されています。

仮設機材は建設現場において、どの作業においても安全かつ効率的に進めるうえで、なくてはならないものです。仮設機材は、工事が進むにつれて撤去されたり、建設の過程で仕上げに見えないように埋め込まれたりするため、完成後に見えることはありません。

そのため日常生活ではあまり馴染みのない仮設機材という言葉ですが、よく見かける工事現場を囲うフェンス、建物を覆っている足場やシートも仮設機材の一種であり、意外と身近で活躍しています。

2.仮設機材の役割

建設現場を支えている仮設機材ですが、具体的にはどのような役割があるのでしょうか。ここでは仮設機材の役割を5つ紹介します。

2-1.安全の確保

仮設機材は、建築や土木といった建設現場の安全を確保するために重要な役割を果たします。例えば、足場や仮設柵などの機材は、高所作業や危険なエリアでの作業の安全性を確保しているのです。

2-2.効率的な作業環境を整える

仮設機材は、作業員が作業を行うための環境を整備する役割もあります。

例えば、建設現場内に仮設のトイレや詰所などを整備することで、作業員が快適に過ごすことができます。現場の環境を整えることで作業員の健康状態を保つことができるだけでなく、やる気にもつながるため、生産性を向上させる効果があります。

2-3.施工性を向上させる

仮設機材は、建設現場におけるさまざまな作業の施工性を向上させます。具体的には、作業員が作業床として使用する足場や、重いものを揚重するためのウインチやリフトなどがこれに該当します。

特に建設現場で作業を進めるうえでは、使用する資材をいかに楽に作業場所へ持っていけるかが重要です。そこで仮設機材を活用し材料運搬の手間を減らすことで、工期の短縮や作業の効率化を図ることができます。


2-4.リスク管理

仮設機材は、作業中のリスクを管理するためにも重要な役割を担っています。例えば、危険な作業エリアを区画する安全フェンスや、作業場所が暗い場合に使用する仮設照明などの機材は、作業現場での事故や災害を防ぐのに役立ちます。

建設現場では、進捗に応じてクレーンなどの重機を使用した危険作業が発生します。作業に応じてその都度バリケードやフェンス、三角コーンなどで危険個所を区画することで、重機との接触事故を極力起こさないようにしましょう。

また、地下・ピットなどがある建物や夜間作業、天気の悪い日などは、暗所での作業も発生します。暗所では手元や足元が見えづらく、事故のリスクが高くなるため、照明の設置が必須となります。

2-5.環境保護

仮設機材は、建設現場における環境保護にも貢献します。例えば、現場から出る粉塵や水などを外へ飛散させないための仮設防護シートや騒音・振動を計測する仮設環境対策機器などは、周辺環境への影響を最小限に抑えるのに役立ちます。

また、建設工事は近隣の方の理解があってこそ成り立つものであるため、近隣とのトラブルが発生すると工事がストップしてしまう可能性もあります。近隣への影響を最小限に抑えるためにも、これらの仮設機材を必ず設置するようにしましょう。


3.仮設機材の種類

建設現場で多くの役割を担っている仮設機材は、その種類もさまざまです。ここでは大きく分けて3種類解説します。

3-1.建築用仮設機材(足場用仮設機材)

建築用仮設機材とは、建設現場にて、作業のために設置される作業床や仮設構造物に使用される機材のことをいいます。具体的には、枠組足場やくさび緊結式足場、近年主流となっている次世代足場などが挙げられます。

3-2.土木用仮設機材(支保工用仮設機材)

高所作業に用いられる足場は建築と同様、土木現場でも使用されます。ここでいう土木用仮設機材とは、橋梁・道路・トンネルなど、重量の大きな構造物に対して使用される仮設機材のことを指します。

建築工事で使用されるよりも大きなサイズの足場材や、山留工事に使われるH型鋼などがその一種です。


3-3.その他の仮設機材

その他の仮設機材として挙げられるのが、建設物の天井に対して作業を行うために使用される作業台や脚立、立ち入り禁止区画を示すためのバリケードやそれを警告する看板などです。また、作業員が身に付けて使用することで高所からの墜落を防ぐ墜落制止用器具なども仮設機材に含まれます。

仮設機材はほかにもさまざまな種類がありますが、どれも現場の安全対策と作業の効率化を支えています。


4.安全率とは?

安全率とは、製品を安全に使用するための許容値のことをいいます。仮設機材などの製品は、使用するなかで外部から荷重や力が加わることで、内部に応力が発生します。どれだけの応力がかかったら製品が壊れるのかを想定し、基準を設定したものが安全率です。

安全率は、設計時にさまざまな条件を考慮して設定します。しかし、実際に使用している製品に想定外の過剰な応力が発生する可能性もあるでしょう。このような想定外の応力によって壊れないために、安全率は大きいほどよいといえます。

一方で、安全率を大きくするデメリットとしては、製品のコストが上がり、性能が下がる点が挙げられます。具体的には、足場材などの強度を上げるために材料として重い鋼材を使用すると、製造コストが上がるだけでなく、作業員の作業性が下がります。


5.仮設機材(足場材)の安全率の求め方

材料の許容応力【N/mm2】をσa、材料の基準強さ【N/mm2】をσbとすると、仮設機材の安全率(S)の計算方法は以下のとおりです。

S=σb/σa

許容応力とは、製品を設計した際の材料に発生する最大応力のことです。製品ごとに値が異なるため、それぞれ計算が必要です。


6.仮設機材(足場材)の安全率に関する法的根拠

仮設機材においては、安全率を2.0~2.5程度と定めることが一般的となっています。

その法的根拠として、労働安全衛生規則第241条において、型わく支保工の許容応力の値について「鋼材の許容曲げ応力及び許容圧縮応力の値は、当該鋼材の降伏強さの値又は引張強さの値の四分の三の値のうちいずれか小さい値の三分の二の値以下とすること」とあります。

材料の種類に対してそれぞれ許容応力を計算してみると、ほとんどが引張強さに対して、2.0~2.5程度の安全率となります。これに基づき、仮設機材は安全率を2.0~2.5程度と定めているのです。


7.まとめ

今回は仮設機材(足場材)の安全率とその求め方、法的根拠について解説しました。建設現場での事故や災害をなくすためには、仮設機材を使用するうえで適切な安全率を考慮することが重要です。本記事を参考に、仮設機材(足場材)の安全率を理解し、仮設機材使用時の無事故・無災害を目指しましょう。


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