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Chak De! India(Let's Go! India)

2007年公開のヒンディー語の映画。インドの女子ホッケーのナショナルチームを舞台にしたスポーツ映画で、監督役をシャールクカーンが務めた。

あらすじ

舞台はホッケーワールドカップ。インドは因縁の相手パキスタンを相手に一点をリードされていた。インドチームはペナルティストロークの大チャンスでキャプテンのカビールが痛恨のミス、結果的にチームは敗北してしまう。メディアは試合後にパキスタンチームと握手を交わすカビールを裏切り者扱いし、地元からも追い出されて姿を消す。7年後、将来性の見込めない女子ホッケーチームの監督に就任しワールドカップ制覇を目指す。

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インドの豊かな多様性

物語の中心は女子ホッケーのインド代表チーム。インドには28の州と9つの連邦直轄領があり、各地域から代表が選出される。日本の場合には北は北海道、南は沖縄まで一つの言語を共通して話し、見た目にはそれほど大きな違いはない。一方インドはとても広い国土をもち、北部や中部、南部、北東部で州によって言葉も違えば独自の文化もある。人々の容姿も色黒な人もいればヨーロッパ人のような人、そして北東地域になると我々東アジア人と大きく違いもないような人までいる。この作品内でも代表メンバーの初日の点呼で言語や容姿の違いに関して排他的な人たちが蔑むような発言をするのもこうしたインド内での違いが背景にある。また、実績のあるベテランや初招集の若いメンバーなど様々な違いをどのように受け入れ、衝突を乗り越えていって一つのチームとしてまとまっていくのかが見所の一つである。

インドにおける女性像

インドでは未だに女性がスポーツに打ち込むことに対して寛容ではないという一面がある。これは作中の様々な場面からも読み取ることができる。例えば序盤のカビールが監督に就任する際、ホッケー連盟理事長が「女性は料理と掃除が仕事」といった発言をする。あらゆるインド映画でこのような伝統的な女性像を押し付ける場面を見かけることがあるが、未だに人々の深層にはこうした考えが残っている。その他にも代表メンバーの中には「もう結婚する年頃だからホッケーなど辞めて帰って来なさい」と親に言われたり、「ホッケーを辞めて俺と結婚しろ」と、女性が夢や目標を自由に追いかけることができない現実が描かれている。

カビールによる過酷なトレーニング

監督に就任したカビールの指導方針はいわゆるスパルタである。自身の現役時代には大きなミスをして苦しい立場に追い込まれたが、ホッケーへの愛、そして勝利への執念がとても厳しい指導となって現れている。彼の指導には女性が相手だからといった手加減は全くない。実績とプライドのあるベテラン選手への配慮もなく衝突することもしばしば。良くも悪くもインドの伝統的な価値観とは違い平等に厳しく指導するのだ。一人一人が違ったバックグラウンドを持つ中、何度も衝突しながらどのようにしてこの代表チームをまとめていくのかに是非注目していただきたい。

予告編リンク(ヒンディー語英語字幕)


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