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気胸に対する癒着術の予測因子は笑っちゃうくらい当たり前だった笑

気胸は多くは胸腔ドレーンだけで軽快を認め、ドレーン留置で改善しなければ外科的治療が必要になります。
しかし元々の呼吸機能低下や肺疾患により外科的治療が困難である症例には胸膜癒着術を行いますがなかなか一発で上手く行かず、難渋する事も経験します。

そこで癒着が必要な気胸ってどんな特徴があるのか検討しました。

Medicine (Baltimore) . 2022 Jan 7;101(1):e28537. doi: 10.1097/MD.0000000000028537.

気胸で入院された症例のうち、癒着を行った89例(癒着群)とドレーンのみで改善した206例(非癒着群)、手術を要した106例(オペ群)を比較しました。
癒着群では高齢(癒着群 median 74歳 [IQR 65-80] vs. 非癒着群 median 63.5歳 [IQR 34-77], p<0.001; vs. オペ群 median 25歳 [IQR 19-48], p<0.001)、ベースに肺気腫(癒着群 n=33 [37.1%] vs. 非癒着群 n=47 [22.8%], p=0.045; vs. オペ群 n=7 [6.6%], p<0.001)や間質性肺炎(癒着群 n=19 [21.3%] vs. 非癒着群 n=19 [9.2%], p=0.022; vs. オペ群 n=3 [2.8%], p<0.001)がある、ドレーン吸引施行(癒着群 n=78 [87.6%] vs. 非癒着群 n=123 [59.7%], p<0.001; vs. オペ群 n=60 [56.6%], p<0.001)が多く見られました。

そこで癒着の適応を予測するため、①年齢≥55歳、②ベースに肺気腫および間質性肺炎がある、③ドレーン吸引施行の3項目でスコアを作成しました。
そのうち2項目合致した場合、癒着を要するかの鑑別は以下の精度でした。
非癒着群との比較:感度91.0%、特異度54.2%
オペ群との比較:感度91.0%、特異度82.1%

これは臨床的な感覚と合っているのではないでしょうか。

まぁ当たり前と言えば当たり前な結果ですが、当たり前の事をちゃんと把握して診療してゆくのも大事な事です。
という事で、このリスクファクターを考慮し、癒着の必要性について検討しながら診療しましょう!

ついでじゃないけど、癒着の合併症についても。
特にドレーン感染は50%ブドウ糖液や自己血で多く見られ、ドレーン閉塞も自己血で多く、癒着の薬剤によって合併症の種類と頻度が異なると思っています。

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