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肺結核の診断に胃液検査って意味あるの?

肺結核は肺に結核菌が感染して発症する呼吸器疾患であり、空気感染を起こすため感染管理が必要な疾患です。
周りの人にうつしてしまう可能性があるため早期診断が必要ですなんですが、初期の患者さんでは痰が出ないなどで菌が検出できない事があります。

そこで胃液検査です。痰が出なくても菌を嚥下している可能性があり、胃管を入れて胃液を採取して抗酸菌検査を行うと診断に至る事があります。
でもそれどのくらい意味があるのでしょうか?

という事で症例を集めて検討してみました。

初回の喀痰で診断がつかない、または喀痰が得られない513例(うち肺結核203例)を検討しました。
その結果、胃液検査の抗酸菌塗抹は結核診断に対し感度21.2%、特異度91.9%、PCR検査は感度55.8%、特異度99.6%、培養検査は感度71.4%、特異度100%でした。

次に胃液を含む3回の抗酸菌検査と3連痰の累積診断率を比較しました。
赤線が胃液を含む検査で、青線が3連痰です。

*p=0.031、**p= 0.019

1回目の喀痰検査では58.5%の診断率で、次に胃液検査を行ったとすると診断率は83%に上がりました。喀痰2回を繰り返した場合の診断率が75.5%であるため、胃液検査を含めた方が有意に高い診断率を示しました。
同様に3回の抗酸菌検査の中に胃液を含めた場合の診断率は87.4%であり、3連痰の診断率は79.2%でした。よって胃液を含めた検査の方が高い診断率が得られました。

以上より、胃液検査は喀痰抗酸菌塗抹陰性、または喀痰が得られない症例で有用でした。

ちなみにこの内容は日本内科学会総会で優秀演題賞をいただきました!

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