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胸水ADA≧40IU/Lでも油断しちゃダメ

胸水中の高いADA値は結核性胸膜炎の診断に有用であり、40IU/L以上をカットオフ値にする事が多いです。

過去の文献ではADA≥40は結核性胸膜炎の診断に対し、感度92%、特異度90%と言われています。
これだけ見ればまぁADA≥40だったらほぼ結核でしょとなりますが、実際にはADAが高くても結核じゃなかったという経験をしますよね?
じゃあ実際に結核の割合はどのくらいで、その他の疾患は何があって、鑑別に有用なデータはあるのかを調べてみました。

BMC Pulm Med . 2022 Sep 21;22(1):359. doi: 10.1186/s12890-022-02150-4.

胸水検査を行った症例のうち、ADA≥40を示した456例を検討しました。
そのうち203例が結核性胸膜炎であり、55.5%は結核ではない疾患(細菌性胸水、悪性疾患、NTM、ML、自己免疫疾患、その他)でした。
疾患毎に比較し、診断に役立つ予測因子が↓のように明らかになりました。
・結核性胸膜炎の診断に対し、
  胸水LDH<825 IU/L(odds ratio 12.9)
  胸水LDH/ADA<26(odds ratio 4.44)
・細菌性胸膜炎/膿胸に対し、
  胸水好中球優位or細胞変性(odds ratio 44.6)
・悪性疾患に伴う胸水に対し、
  胸水ADA/TP<14(odds ratio 13.3)
悪性リンパ腫に対する胸水に対し、
  血清LDH≥315 IU/L(odds ratio 31.7)
などなど

これらの指標を使用して結核性胸膜炎の診断に対するフローチャートをDicision treeを用いて作成しました。

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結核診断に対し、診断精度80.9%、感度78.8%、特異度82.9%でした。

どうですか、コレ!めちゃくちゃ使えませんか!?
   

ちなみにこちらは論文内にはないお手製のフローチャートです。(Dicision treeを使ってませんでの参考です)

参考

めっちゃ複雑ですが、診断精度74.3%でした。

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