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スプレー肺(WAP)のまとめ

今回の論文はスプレー肺(waterproofing spray-associated pneumonitis)、通称、WAP(と勝手に略したw)についてです。
防水スプレーの吸入による肺障害(WAP)は両側びまん性すりガラス影を示す急性肺障害です。しかしまとまった報告はほとんどありません。
そこで当院で診断された2例とPubMed、医中誌で報告されたWAP31例を合わせて検討しました。またその特徴を同様に急性の経過で類似した画像所見を示す急性好酸球性肺炎(AEP)11例、夏型過敏性肺炎(HP)30例と比較しました。

Medicine (Baltimore) . 2021 Mar 12;100(10):e25054. doi: 10.1097/MD.0000000000025054.

WAPは年齢の中央値40.5歳でやや男性に多く、WBC 中央値14065/µL、CRP 中央値4.90mg/dL、KL-6 中央値241U/Lでした。
多くの特徴はAEPと類似していましたが、HPとは多くの違いがありました(年齢、性別、喫煙歴、採血データなど)。
3つの疾患の違いとして、症状が出現してから受診するまでの期間がWAPは数時間~数日、AEPは数日以内、HPは1ヶ月程度でした。
またBAL所見ではWAPはマクロファージ優位、AEPは好酸球有意、HPはリンパ球有意でした。
WAPの組織所見の特徴として、胞隔炎がメインで肺胞出血が起こる事があり、肉芽腫は見られませんでした。

びまん性すりガラス影でWAPを疑った場合の鑑別点としては、発症速度とBAL検査が有用でした。
あとWAPって呼び方流行らないかなぁww

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