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関東一の水祭り~寄居玉淀水天宮祭90年~

 寄居町の中心市街地にて例年8月の第一土曜日に開催される、町を代表する祭り「寄居玉淀水天宮祭」を紹介します。寄居玉淀水天宮祭は、中心市街地活性化において、欠かすことができない重要な事業として、中心市街地活性化基本計画の中活ソフト事業に位置づけられており、第1回目が挙行された昭和6(1931)年から、今年で90年を迎えました。

 今年度の花火大会も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、残念ながら中止となりましたが、寄居玉淀水天宮祭90年の節目として、歴史を辿りながら紹介します。

~寄居玉淀水天宮祭のはじまり~

 寄居保勝会(寄居町観光協会の前身)は、名勝「玉淀」を世に出すため苦心している中、正喜橋の下流側に漁師が祀(まつ)っていた水神様の石宮を発見しました。当時、長瀞で雄大な景勝地と宝登山神社をタイアップすることにより、宣伝効果を生かして成功した事例があったことから、玉淀でも神社を勧請(かんじょう)して祭事を行ってはどうかという話があり、この石宮に水天宮を合祀(ごうし)することになりました。玉淀水天宮は、東京日本橋の水天宮の由縁があり、縁日が「五」の日であることから、最初の大祭は昭和6(1931)年8月5日に挙行されました。

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 当時の大祭は、神官とともに代表は奥の社からご神体を遷御(せんぎょ)して神官の祝詞が終わると、保勝会長を先頭に、次に各町代表が玉串参拝をして、祭事は正午まで行われました。その後、一般の方の参詣となり、年番行司から家内安全と安産のお札と腹帯が授与されました。
 当日は、この祭りをにぎやかにするために玉淀水天宮の境内に仮設舞台をつくり、大神楽(だいかぐら)等の余興が午後6時ごろまで続けられました。これが終わると、大花火の打ち上げを合図に、御神体を年番町の子供みこしに移し、本宮を出御(しゅつぎょ)しました。獅子舞等を行列の先頭に、各町代表が2人ずつ高張ちょうちんを掲げ、神官のあとに従ってお供をし、商店街から玉淀河原に下り、川岸からおみこし、神官、各町代表がしめ縄をめぐらせたおみこし船に乗りました。
 供奉船(現在の舟山車)は、花やぼんぼり等で美しく飾り立てられ、約2時間、船の中から小さい花火を打ち上げ、笛・太鼓やお囃子(はやし)を奏でました。
 対岸の鉢形城跡では、花火が順々に打ち上げられ、夏の夜空に輝く花火と供奉船との競演は見事であり、これを由縁に「関東一の水祭り」と呼ばれるようになりました。当時は「玉淀水天宮祭煙火大会」という名称で開催され、供奉船の飾り付けのコンクールや仕掛け花火の美しさを競う大会が開催されることもありました。 
 祭りのクライマックスである仕掛け花火が終わると、おみこし船を先頭に各町の飾り立てられた供奉船が川を下り、本宮へ還御(かんぎょ)し、終了するのは午後11時ごろでした。祭りには、各地から多くの見物客が集まり、広い河原は人海のごとく人で埋め尽くされていたそうです。

寄居玉淀水天宮祭② - コピー

~90年の歳月を重ねた関東一の水祭り~ 

 その後も祭りは引き継がれ、途中、戦争等により開催できなかった年もありましたが、昭和30~40年代には、舟山車が6艘浮かび、仕掛け花火を中心とした大小数百発の規模で、尺玉も打ち上がるほど盛大に開催されました。
 また、花火大会のほかにも、灯籠流しや民謡交歓、芸能人によるアトラクションなど、さまざまなイベントが催され、昭和39(1964)年には、竣工したばかりの玉淀ダムから正喜橋までの間でカヌーレースが行われました。
 昭和48(1973)年には、初の試みとして8月4日、5日の2日連続で開催され、午後7時30分から午後10時までにぎわいました。
 平成7(1995)年には、寄居町合併40周年記念として町民花火を実施しました。多くの町民からの協賛によって、3号玉、4号玉の花火が打ち上げられました。
 平成8(1996)年から開催日が変わり、これまでの8月5日から8月の第1土曜日へ移りました。
 令和元(2019)年には、50団体以上から協賛を得て、花火約5,000発、舟山車5艘、来場者数6万人の規模で開催されました。

参考資料・玉淀の歴史
写真提供・寄居町観光協会  

~町広報誌を振り返る~

 広報よりい800号まで町広報誌のバックナンバーを紹介するとともに町の歴史を振り返ります。今回は、過去の広報誌を飾った寄居玉淀水天宮祭の記事を紹介します。

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寄居町広報第16号▲              広報よりい第264号▲
(昭和31年8月17日発行)             (昭和52年8月1日発行)

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広報よりいおしらせ版第122号▲      広報よりい第757号▲
(平成5年7月15日発行)            (平成30年9月1日発行)

 90年の歳月を重ねた寄居玉淀水天宮祭は、これからも「関東一の水祭り」として夏の夜空を彩り、寄居町の夏の風物詩として町民をはじめ多くの方々に愛され続けることでしょう。

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