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伊藤詩織:再びの「日本の秘められた恥」#2、ディスカウントジャパン

2018年に放送されたBBCドキュメンタリー、Japan's secret shame(=日本の秘められた恥)は詩織さん側に立っている、と見られている。しかし、それは正確ではない。というのは、山口氏、詩織さんのそれぞれの事件のストーリーには決めての直接証拠がない、ということが最初に提示され、事あるごとにそれが繰り返され視聴者の注意を促しているからだった。

BBC側は詩織さんによるレイプストーリーはすべてが事実ではないという点を充分認識しているのだ。詩織さんは、最初の山口氏との遭遇を説明している箇所では、さすがにピアノバーでバイトしていた、とは言っていない。単にバーで、と述べていた。

ピアノバーとは、NYやLAの日本式キャバクラのユーフェミズムだ。ユーフェミズムとは英語による婉曲表現という意味で、言いにくいことや言うと問題になることを避ける目的で使われる。

英語ではジャパニーズスタイル・ホステスバーと説明されている。しかし、詩織さんは、著書Black Box 、以下BB、でも他の雑誌記事でも、さらに地裁の起訴状でも、山口氏と出会ったのはピアノバーだと述べていた。だからBBCは少なくとも事実を重視している。

BBC「日本の秘められた恥」は、伊藤氏自身が語る2015年4月の経緯を、現場となった都内のすし店やホテルの映像などを差し挟みながら、詳細に紹介した。しかし、それだけではなかった。このドキュでは詩織さんの勤め先だったNYのキャバクラ、「ゲラゲラ」がちゃんと前記の現場の映像前に流された。その間約30秒足らずなので視聴者はほとんど気付いていない。

このキャバクラのネオンサインは意図的に半分隠されていた。2人の平服姿でガッチリした体格の用心棒に守られているのが奥まった店の入口。隠し撮りされた内部の客の様子、とドキュメンタリーとしてもこういうのは異例ではないだろうか?

詩織さんは絶好のチャンスとばかり、このドキュを最大限に活用。彼女側の性暴力ストーリーのパフイング、拡張宣伝、に余念がない。このドキュの最大の売り物は伊藤詩織の素晴らしい英語パフォーマンスといっても決して言い過ぎではない。だが、そこにも奇妙な事実がちらりと顔をのぞかせている。それは彼女のタメ口英語だ。
実はこのドキュの他の箇所でも非常に汚い言葉が飛び出した。それは下の詩織さんのディスカウントジャパン発言として非難の対象となった箇所からだった。

If you grow up in Japanese society,(日本の社会で育つということは)
everyone have experienced sexual violence, or sexual assault, (誰もが性暴力、つまり性犯罪、を経験する、ということです。)

日本の女子高生は公共の交通機関で毎日痴漢されている。
今日また痴漢が私にジァーク・オフした、スカートをカットした、というのが仲間内の話題だった、と英語で述べた。

このジャークオフ、jerk off、というのは人前で口にすべきでない汚な言葉に該当。しごいて出す、ということから射精という意味だが、適切な英語はマスターベイト。

いささか誇張されてはいるかも知れないが、殺人ラッシュアワーに出没する痴漢は日本名物の一つとして世界的に有名だから、今になって否定するわけにもいかないだろう。

このBBCドキュの中で、性に彩られた日本社会の特徴を指摘する外国人ジャーナリストが2人登場。その一人はジェイク・エーデルステイン氏(Jake Adelstein)。この人は米国生まれだが日本に移住した日本人以上に日本通の準日本人。日本で外人として初めて読売新聞社会部記者となり、組織暴力を取材した。その経験をもとにして、「トウキョウバイス」"Tokyo Vice" を書き、HBOで2022にドラマ化され放映中。高い評価を得ている。

キオスクで買うスポーツ新聞でさえどこで一番のブロージョブやセックスマッサージが得られるという情報が載っている。日本では好みのセックスが事実上何でも買える。
ブロージョブというのは米の下卑たスラング。適切な英語はオーラルセックス。
エーデルステイン氏は日本のセックス産業は大っぴらに大盛況だが、レイプや性暴力は全くオープンに語られていない、と指摘。

他の一人はNYタイムズのモトコ・リッチ記者。彼女は日本人らしいが、達者な英語で、日本の性カルチュアはレイプファンタジーだ、と負の定義。ファンタジーの中の主人公であるレイプ加害者の言い訳は被害者の女もそれを望んでいた、というのだ。このようなレイプカルチュアがまかり通っている環境では被害者女性は口を閉じて耐えるという選択を強制されている、と告発。

欧米では良俗風紀に反するとして許可されない欲情シーンが日本では堂々とまかり通っている。証拠として画面に東京の繁華街での巨大なエロ漫画の広告が大きく映し出された。このように日本社会は性暴力との識別がなく、わいせつ行為やレイプは日常化され皆がそれに慣れ切ってしまっている、と日本の現状を2人は強烈にこき下ろした。後に続くインテリ日本女性達も賛同の声をあげた。

だから、詩織さんの主張、痴漢の日常化ももっともな意見だ。
精液を相手に向かって放出するのは医学的にも危険だ。事故で体液を被りエイズやB及びC型肝炎に感染してしまった例は過去にある。ラッシュアワー中にカミソリでスカートを切るのも危険きわまりない。もうこれは法の取り締まりの問題だ。加害者が罰せらなければその数は増大する。

しかし、これらの遅れた国日本に対する批判と詩織さん事件との直接の関わりはあるのか?

#MeTooのワインステイン事件は米国で過去数十年に渡っての進行形で起こっていた 。職場でのジェンダー平等がほぼ確立したとさえ言われている米での事件だ。1990年頃から被害者達は、弁護士を介してNDA(口止め合意)と交換に金を受け取ってきた。性犯罪は男女平等の先進国のように見られる米でも遅れた日本でも起こる。これが性犯罪の特性なのだ。

Japan's secret shameはYouTubeにもありました。下記のブログで紹介です。https://note.com/774weco/n/n80b5ac20abde

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