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SAPIXで好転する方法

前回までにSAPIXにミスマッチ層であっても転塾せず、SAPIXに通い続けることが最善である理由を説明致しました。

しかし通い続けることが最善とは言え、もちろんそのまま通うことで事態が好転し解決する、ということはありえません。
今回は、どうしたら状況が好転するのかをご説明致します。


そもそも、そのままで状況が変わらない確率

SAPIXに通えば何とかなる、そういった期待を持ち最後までそのまま通い続けるご家庭が毎年多数いらっしゃいます。確かにSAPIXは現状他塾よりも強いです、抜きん出ているとも言えます。しかし、すでに長い期間SAPIXに通いそれでも状況が好転していないならば残りの期間で変わることはほぼありません。

仮に『状況の好転』を6年生で現状のブロックから抜け出し上のブロックに上がると仮定しましょう。ではそれはどのくらいの確率なのでしょうか。

私もSAPIX時代にずっとαゾーンを担当していたわけではなく、当初は6年ABCコースのBコマを担当していたり同じ校舎で校舎全体の結果として推移を毎年確認していました。20年以上SAPIXで講師をしている同僚などとも話しをしている中、そのまま変わらない確率は約90%と言えます。

じゃあ10%ぐらいは何とかなるのかと思われた方、それは違います。
残り10%の内訳は1%前後ぐらいが状況が好転した子供です。
残りの子供は退塾をした子供になります、その中でも中学受験を撤退した子もいれば他塾に移る子もいます。
つまり、6年生になりそのままやっていればそのまま変わらないかさらに落ちる確率は99%程になるということです。上記は体感的かつざっくりとした数字になりますが印象論などではなく、ほとんど統計的に全校舎変わらない結果になりますので残酷ですがこれが現実です。

非常に酷な現実になりますが、まずはこの数字を念頭に受験はお考え下さい。

好転させるためにどうすれば良いのか

この方法はたった一つしかないと思います。
SAPIXに通いながら状況を改善するために唯一の方法は
家庭教師を付ける
ことです。

こういった話しを聞くと、いやいやポジショントークだろう、もうすでに個別指導に通っている、知り合いの家庭は家庭教師を付けたが上手く行かなかった、等々感じられると思います。

ポジショントークかどうかでいえば、そういう気持ちがないわけではないです。ですが、現状の教育産業の中で社会の風潮などの子供への逆風を何とか出来ることは組織ではなく個人での活動であるとは考えているため、この方法でしか難しいと思います。

失敗する家庭教師・個別指導について

現在、SAPIXに通いながら家庭教師や個別指導のフォローを付けているご家庭はかなりいると思います。レベル帯も関係なく、上位層からズラッといるのでしょう。

その上でなぜうまく行かないのかは、かなりの家庭が深く考えず何となくでフォローを付けているからということが言えます。
物事は正解と言える方法は状況により変わりハッキリと言えなくても、こうすると失敗するという内容は確実にあります。
まずはそれを避けられることが賢明と言えます。

①個別指導塾・家庭教師紹介センター

代表的な失敗例でしょう。
より正確に言うと、多校舎運営の個別指導塾・何十や何百人以上も登録講師のいる家庭教師紹介と言えます。

上記に立て直しを依頼することは本当に止められることを進言致します。

単純な話です、個別指導塾で主要駅には必ず校舎があるようなところもありますがそれだけ校舎があり人材が確保できるのでしょうか。家庭教師紹介も同じで自前で有能な講師を何十人も抱えているのであれば、SAPIXと同じことが可能になります。しかし、現状そういったことはありません。この現実がハッキリと物語っていると思います。

②大学生

中学受験のフォローに大学生を付けることは全くオススメ致しません。
これは大学生を揶揄しているわけではなく、小学生という未熟な子供を指導する際に大学生の経験値では全く太刀打ち出来ないという、経験の問題です。

③家庭教師を長年やっていると謳う個人家庭教師

検索をするとわんさか個人家庭教師は出てきます。かくいう私自身その一人ですから。その中で10年以上ときには何十年も家庭教師を行っていると謳っている方も見受けられますが、これは厳しいと思います。
これも大学生と同じ理由が言え、家庭教師は指導経験の積み重ねが乏しいのです。受け持つことの出来る数がどうしても集団よりも少なく、それのみを何十年も続けてきたと言われてもその経験ではクオリティに疑問を感じます。

中には毎年御三家合格者を指導していたとウリにされている方もいらっしゃいますが、ハッキリいって眉唾ぐらいで良いと思います。私の経験のみになりますが上記の御三家をという方の指導を受けていた子供の依頼を受けたことがあり、今まで指導された内容を確認すると20年以上前ほどの使い古されて今では見かけないような内容が多かったです、少なくとも現在の御三家で必要なレベルの指導ではありませんでした。
そもそも、SAPIXの講師ですら御三家への合格者を卒業生に持つことを定年まで一度も経験しない講師も結構いると思います。そう考えると、毎年御三家レベルを指導するという家庭教師の方がどれほどいるのかは甚だ疑問です。

私も長年家庭教師を続けると同じになるのかも知れません。注意をし、今までの蓄積を活かし発展するよう研鑽し続けねばと考えています。

④自習室を併設がウリの個別指導

これも良くある失敗例と言えると思います。
特に家で勉強をしないと嘆かれる保護者の方に好まれるのですが、そ
れも往々にして上手くはいかないものです。

自習室と言っても、まず良くあるのが単純に空きスペースに机があるだけの環境です。これで上手くいくのであれば、最初からSAPIXで上手く行くでしょう。
他にもチューターが常駐しているということがウリの場所もありますが、結局は上記の理由と同じで居たからどうなんだという環境になっているところは結構あると思います。最悪のケースでは大学生のチューターがいるのに学級崩壊のような騒ぐ場になっている塾すらあります、これは私が自分の目で見たケースです。

こうなってしまう原因は、自習室が問題の解決策になっていないことです。
問題は自習室などの環境なのではなく、勉強をしないという意識・姿勢の部分ですこれを直そうとせず自習室を与えても子供が行うことはありません。

⑤オンライン・動画配信

コロナ禍中に一気に広がったオンライン指導ですが、ハッキリ言って小学生にオンラインで指導をすることは全く合わないと思います。

オンライン・動画配信で一番求められることは自主性です。そもそもそれが無いことが結果に繋がらない大きな理由なのに、オンライン・動画配信を利用しても効果はありません。これも自習室と本質的に同じ内容と思えます、問題の解決策になっていません。

特に家庭教師・個別指導でオンライン中心もしくはそれのみを行うような講師は絶対に止められた方が良いです。上記のような理由からオンライン指導に子供側のメリットはありません、唯一家庭にあるメリットは交通費を払わなくて良い点でしょう。
逆に講師側のメリットは移動の時間が無いため、より多くの授業を行うことが出来る点です。このように売上にしか関心がないためオンラインを求めることになる家庭教師に依頼して上手くいくのなら苦労はしません。

オマケ:家庭教師と個別指導の比較

私の考える最善策は家庭教師を付けることでした、個別指導ではありません。保護者にとっては家庭教師でも個別指導でも変わらないと思われるかもしれませんが、私は結構違うものだと思っています。そのため、家庭教師を付けるべきだと思います。

家庭教師と個別指導の違いは
・場所が家か塾か
成績の大きな要素に『時間』というものがあると私は考えています。
家庭教師のように各家に講師が来るのであれば、極端な話子供は家庭教師が帰った瞬間から勉強が出来ます。もちろんそんな子はほぼいませんが。

しかし、個別指導は塾という固定された場に子供が行き授業を受けます。そうなると幸運にもよほど近くでなければ行き帰りの往復で30分ぐらいはかかるでしょう。電車を利用するとあっという間に1時間以上になります。
この時間で一科目ぶんの勉強を行うことが出来るレベルです。しかも集団塾、SAPIXに通いながらであればそれだけ日々の中で移動時間に費やすことになります。

この差は最後大きく感じてしまいます。

・個人か組織か
こういう区分をすると、家庭教師と個別指導というよりも、個人の家庭教師家庭教師紹介センターの家庭教師や個別指導かと言えると思います。

単純に組織になるとずっとお伝えしている社会の風潮に勝てないのです。

違う観点で言うと、家庭側の感覚では組織の方が何かと安心感を持てるかもしれません。ですがそれは外側を見ているだけの話であることは、2023年夏の事件が起きたことを考えれば分かるはずです。
もちろん個人であればなんだかよく分からない人で信用ならない、そう思われることはおかしなことでは無いと思います。
ただ、個人で行っている私サイドからの意見を言うと、その安心感は個人情報や講師の人間性などの部分の信用面で、講師の指導力とは関係が無いと言えるどころか、組織に属する講師の指導力は制限が掛かることもあると言えます。
あとはご家庭が何を優先順位として考えられるかということでしょう。
世の中には人間性に難がある人というものは一定確率で存在していることは事実ではあります。

一応付け足すと、個別指導が固定された場所で行う理由は家庭教師ではなく子供が教室に来ることでより多くのコマを一人の講師にやらせられるからです。1対2や1対3などの個別システムも同様の理由ですね。
知り合いの家庭教師派遣と個別指導の両方を経営している人物が目をランランとして家庭教師なら平日に2軒ぐらいだが、個別で校舎に来れば4軒・5軒までやれると言っていたことが私には忘れられません。

このような観点から個別指導ではなく、家庭教師の方がフォローに適していると考えております。

そして、これら全てはすでに志望校に達しているレベルでより盤石にしたいと思いフォローを依頼する層には関係の無い話なのです。
こういった子は頭の良い大学生にオンラインか動画配信で必要な箇所を説明してもらうことでも十分なのです。

上記の内容に該当する子は、現在志望校に必要なレベルに達していない子供になるのです。

結局どうすれば良いのか

色々と益体もないことを書き連ねていてじゃあ結局どうすれば良いんだ、と言われてしまいそうですが上記までの内容を踏まえて私が考える最善の方法は
信頼の出来る、有能な家庭教師を見つけて依頼する
としか言い難いです。

非常に漠然としたお話しで申し訳ないのですが、こうとしか言いようがありません。
そういった人物を見つける基準をお伝えいたしますと

①経歴を確認する
経歴を見ましょう。
何故なら経歴詐称によって利益を得ることは詐欺罪に該当する可能性があるため基本的に嘘は書けないからです。
例えば、私は6年αゾーンの指導をしていたということを経歴で説明していますが、仮に保護者がSAPIXに確認し嘘だと判明したら私は刑事罰になるかもしれない、ということです。そのため嘘を書くことは非常に少ないはずです。

先程までの内容から家庭教師のみの経歴は厳しいです。少なくとも中学受験専門の集団塾での指導経験が無ければ信用なさらない方が賢明です。
ただし、この経歴にも虚飾は簡単にできます。

実際にある虚飾が
・大手有名塾での上位クラス担当講師経験
・低学年から高学年まで担当
元SAPIX算数講師
というようなハッキリと書かないという虚飾ですね。

上位クラス、これはどこまでが上位でしょうか?SAPIXならばαなのでしょうか?
高学年、これは6年生ですか?6年生ならばそうハッキリと書けば良いのです。
ハッキリと書かない、これは書けない理由があるからとしか言えないでしょう。書くと詐称になるのであれば、書けないのです。
元SAPIX、アルバイトを入れたら大学生でも書ける経歴です。

公表していなければ確認をしましょう。そこで言えないのならば、言えない理由があるのです。

②中学受験の専門科目かどうか
こちらを見ている保護者の方には周知の事実だと思いますが、中学受験のレベルは相当高いです。良く知らない方からすると所詮小学生が受ける試験のレベルと侮られることがありますが、大事なことは小学6年生の実力と中学受験の難易度の差です。中学受験の方が下手をすると大学受験よりも学生の実力とテストの難易度に乖離があるかもしれません。この乖離を埋めることが非常に大変なのです。

そのため、教える側に必要なことは専門性です。
例えばSAPIXでは一人の講師が担当する科目は一科目です。複数科目を担当することはありません。

それに対して家庭教師を探すと出てくるのは
『複数科目指導可能!!』や『中学受験も高校受験も対応!!』など、酷いものでは『小学生から高校生まで何の科目でも指導できます!!』というものまであります。
もし、これが可能であるならばその人達が集まるとSAPIXに勝てるでしょう。もしくは業界内で噂になります。しかし、私や同業の知り合いにもそのような噂を耳にした人はいません。これで上手くいくのであれば中学受験はもっと簡単で皆苦しまずにやれると思います。

小学生に中学受験のレベルを可能にする、これを達成するのは一科目でも大変です。だからこその専門性です。

また、中学・高校・大学受験は全て別物です。必要な知識や子供の発育段階の違いなど全く別種の受験と言えます。
これを複数指導できるというのは、医療で言えば内科・外科・整形外科・耳鼻科・何なら精神科まで何でも治療できるということと同義と言えます。仮に皆さまならこういう主張の医者に治療を頼むでしょうか?

どんな内容・世界でも高レベルになれば『専門性』ということは必要になるものです。

まとめ

現在の状況を打破し、志望校への可能性を少しでも高める
これを大多数の保護者が望まれていると思います。
それを達成するためには現状の塾に+αが必要になります。
それは現状だと有能な信頼の置ける家庭教師を見つけ指導を依頼することしかないと現状の中学受験を取り巻く環境からは言えます。

そのためにこれはマズいだろうという基準をお伝え致しました。この基準をご考慮頂くことが最低限まともな講師を見つけられることになると思います。

現在の中学受験は『元々出来る子が上手くいく受験』であると言えます。保護者にはそのままでは変わらないという現実に向き合い、正しい方向で改善を考えられることを切に希望致します。
その際に、この記事が役にたてば幸いです。

算数の家庭教師を行っております。無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

武田の個人的な思い

ここから先は武田の非常に個人的な思いで書かせて頂いた内容になります。
かなりネガティブかつ個人的な内容になりますので、そういった方向性を好まれない方にはオススメ致しません。







SAPIXを辞めた理由はどうしても組織内では救いきれない子供が生まれてしまい、その状況を何とかすることは組織内にいることでは不可能だと考えたことが理由の大きな一つでした。

しかし実際に家庭教師として活動を始めることでそれ以上に酷い状況が個別指導・家庭教師や少人数指導などの世界には跋扈しているという現実を目に致しました。

もちろん中には優秀で本当に子供のことを考え行動される方もいるのでしょうが、大半は違うと思います。
私が見た一つの経験としてだけですが次のようなものにぶつかりました。元SAPIXの算数講師が指導するというオンライン専門の個別指導塾に頼んでいたが状況が悪くなっていく一方だとお話しをもらい、よくよく話しを伺うとこの講師は私の知っている山◯(何故か最近にサイトでは田◯に名前が変わっていました、謎です)という人でした。いつの間に独立して塾を作っていたんだと驚きました。その後、その塾を検索してみましたが大層ご立派な言葉の数々が塾のサイト・Twitterには載っておりました。
保護者は山◯の指導力の無さにかなり憤慨されていましたが、それはそうだろうと思います。何せ彼はSAPIXに在籍していた期間は3・4年間でしかなく、またその間ですら6年生を土特や単科も任せられないぐらいポンコツとして有名でした、それなりには大学生でも任せられることがあるのにです。

何故そのような講師に指導を依頼したのかと聞くと、SNSでの内容やちゃんと塾として会社になっており、サイトもありまともに思えたということでした。ちなみに彼は今も毎日X(旧Twitter)にて投稿に勤しんでおります、サイトの更新はほとんど無いのですが。

結局は中学受験も保護者が勉強をし詐欺師(言い過ぎかもしれませんが)か本物かを見極めねばならないということです。
例えばかぼちゃの馬車事件のようなサブリース投資などで良くある手口はキレイなオフィス・豪華なパンフレット・聞き心地の良い美辞麗句です。これは中学受験だけでなく、どんな業界にも該当することだと思います。
大事なことは、保護者が学び判断を出来るようにすることなのだと言えます。

他にも情報が玉石混交であることとしては、とある保護者向け受験情報の有名雑誌のオンライン記事で国語の講師の連載を目に致しました。彼もSNSで有名ですが、私も海外の駿台で働いていましたので彼を知っていました。帰国後あのような形でメディアに出ていて驚いたものです。同じ校舎になったことはありませんでしたが、彼の評判と校舎の状況は耳にしております。少なくとも中学受験の結果は惨憺たるものであることは確実に言えます。そもそも香港・シンガポールなどの地域では長年日本人向けの塾をやられている現地塾の方が強く後進組の駿台の方が弱いぐらいです。その彼が中学受験について多く語ることは私には説得力に欠けてしまうと感じてしまいます。

上記の2例で言えることは、どちらも私が見知った人間であり中学受験の能力的には疑問を感じるがSNS界隈では有名なようだということです。素性を知っているから分かるようなことを隠し、美辞麗句を並べられると本当はどうなのかが保護者には分からなくなってしまうということでしょう。
残念ながら、これがインターネット内の情報が玉石混交である良い証拠と言えてしまいます。ある意味、私の話も同じように本当に玉の情報なのかを保護者は考えなければならないということです。

そうなるとやはり、本当に大事なことは保護者が情報を鵜呑みにせず情報の質を判断できるように勉強をなさることが重要だということだと思います。
貴重な子供の時間と機会、そしてお金を失うことが無いようご注意願えればと思います。

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