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男性の眉毛ケア、広島でも増えてます。ウェブ会議もきっかけに、美意識に変化

 眉毛を専門サロンなどで整える男性が、広島でも世代を問わず増えています。コロナ禍で増えたウェブ会議で、男性が画面に映った自分の顔をよく見るようになったことも影響しているとか。ひと昔前なら、男性が眉毛を整えるのはおしゃれ目的の印象でしたが、もはや身だしなみの一つになっているよう。男性たちの美意識の変化が背景にありそうです。(加納亜弥)

人気の理由は、短時間でプロのアドバイスも受けられるから

 「ストレートの右眉に対して左眉は角度があります。形はどっちに近づけますか」。広島市中区のヘアメーク・ネイル専門店「アトリエはるか紙屋町シャレオ店」では、宮田奈緒店長(24)が、やさしく話し掛ける。相手は「眉カットは初めて」という建築士の竹友翔一さん(34)。左眉の角度を取って、柔らかい雰囲気にするスタイルに決まった。

 はさみで毛をカットして全体の形を決め、周りをシェーバーでそると完成だ。2千円で所要時間は10分。竹友さんは「変わるもんですね。なんかすっきりしてる」と納得。施術を勧めた妻の佳枝さん(38)も「若返った。見違える。清潔感もある」と顔をほころばせた。短時間で済み、プロのアドバイスも受けられるのが人気の理由のようだ。

 この店では、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年に133人だった男性客が、21年には1・7倍の230人余りに膨らんだ。世代も幅広い。宮田店長は「マスク姿が日常になり、かえって目立つ目元を気にする男性は増えました。どんな眉毛になるのかと、最初は不安なお客さまは多いけど、自然な仕上がりに安心されますよ」と話す。

 1990年代後半に青春時代を過ごした記者自身、自己流であらゆる眉毛スタイルを模索してきた。歌手の安室奈美恵さんの細眉にあこがれ、中学生から抜き始めた眉はもう原形をとどめない。だからこそ、最初からプロの手で気軽に眉毛を整えられる環境が、うらやましい限りなのだ。

ウェブ会議で顔を見る機会が増えた

 さて、眉毛を整える男性たち。増え始めた一つの要因は、コロナ禍にあるといえる。
 リクルート(東京)の調査研究機関「ホットペッパービューティーアカデミー」の田中公子研究員は「今まであまり鏡を見なかった男性が、ウェブ会議で自分の顔を見つめる機会が増えた」と分析する。男性2241人を対象にしたアンケートでは、約15%が美容院で髪を切るついでに眉もカットしていた。

男性の美意識も変化

 今度は、広島市中区の男性向けエステサロン「パルファム.」に、オーナーの高山知子さん(47)を訪ねてみた。広島でメンズエステがまだ珍しかった2008年に開業。10年以上、男性の美意識の変化を見つめてきたという。
 就活や営業で「眉毛くらい整えろ」と周りから言われたのがきっかけという人も少なくないそうだ。おしゃれというより、身だしなみという認識が広がっている。妻やパートナーの頼みで眉カットを始めるケースも多く、女性事務員に眉毛カットを勧められた会社経営者もいた。

 「ひと昔前だと、眉毛を整える男性は若い世代。自己流で細くなりすぎたりしていた。『男が眉毛を整えるなんて』という硬派な中年層も多かった」と高山さん。それが今や、男性客の注文は眉毛カットが断トツで多い。それに毛穴洗浄も加えたコースが最も人気という。
 「女性の意見を柔軟に、抵抗なく聞ける。そんな男性が増えたのかもしれませんね」と高山さん。なるほど。美しくありたいとの願いに性差がなくなりつつあることが、うれしくもある。